残留農薬とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 産業 > 農業 > 農薬 > 残留農薬の意味・解説 

ざんりゅう‐のうやく〔ザンリウ‐〕【残留農薬】

読み方:ざんりゅうのうやく

収穫後の農作物残留している農薬農薬ごとに残留基準値が定められている。

[補説] 平成18年2006)、食品衛生法改正によりポジティブリスト制が導入され残留基準値を超える農作物食品販売などが原則禁止となった


残留農薬(ざんりゅうのうやく)(residual agricultural chemicals)

店頭販売される野菜などにそのまま残っている農薬

農作物生産過程害虫駆除生長調節する目的使われる薬剤残ったもの食品衛生法によって野菜果物ごとに基準値定められ基準超える食料品回収命令を受ける。

厚生労働省は、これまで加工食品として扱われ、残留農薬の検査対象ではなかった冷凍野菜について、生鮮野菜と同じ基準今年3月から適用した検疫所での検査結果中国産の冷凍ホウレンソウ基準値大幅に上回る農薬残っていることが分かった

また、農林水産省は、スーパーなどの店頭並んでいる野菜について、残留農薬の検査体制強化した。すると、埼玉県スーパー販売されていた中国産の冷凍ホウレンソウから残留農薬が検出されたという。

いずれのケースでも、有機リン系殺虫剤として使われているクロルピリホス残留していた。直ち健康に影響することはないものの、食品衛生法上の基準超えている。

輸入食品の残留農薬問題相次ぐ中、7月31日国会で改正食品衛生法成立した。この法律によると、検査違反見つかった個別食品だけでなく、特定の国や地域食品包括的に輸入禁止にするという厳し措置を取ることが可能になる

(2002.07.23更新


残留農薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/02 15:06 UTC 版)

残留農薬(ざんりゅうのうやく)とは、食物に残った農薬のこと。

概要

食品衛生法では、農薬取締法で定義される農薬に加え飼料添加物や動物医薬品についても、その残留量が基準を超えてはならないと定められている。残留基準は厚生労働省薬事・食品衛生審議会の答申を受けて厚生労働大臣が定め[1]、別に定めのない限り、厚生労働大臣の定める残留基準は0.01ppmとされており、これを一律基準と呼ぶ[2]

農薬の残留基準は作物の種類ごとに定められている。これは少量しか摂取しない作物と大量に摂取する作物とでは残留濃度が同じでも体内に取り込む量が異なることや、調理の仕方によって取り除かれる割合が異なることなどによる。残留基準を定めるには動物実験を行って一日摂取許容量を決定するなど多大な時間とコストがかかるため、あらゆる作物に残留基準を定めることはできない。

基準値を超えた残留農薬が検出されて問題となるよくあるケースに、その作物に適用のない農薬(無登録農薬)がドリフトなどによって付着してしまったという例がある。この場合、残留していた量が適用のある作物で定められた残留基準に満たなくても、適用のない作物では一律基準が用いられるため、安全性とは無関係に基準値超過となってしまうことがある。

歴史

日本では1951年厚生省リンゴにおけるDDTの残留農薬基準を7ppmと定めたが、指導通知であり法的な拘束力は無かった。1968年に厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会が四食品(リンゴブドウキュウリトマト)別に砒素ベンゼンヘキサクロリド(BHC)、DDT、パラチオンの残留農薬許容量を答申。都道府県や農業団体に通達された[3]

日本国内において、残留農薬への不安は昭和30年代から高まりを見せていた。1956年(昭和31年)8月にライオン油脂から初めて発売された台所用洗剤には、野菜についた残留農薬も低減できる効能がうたわれていた[4][5]

定量が困難な薬剤

テトラサイクリン系抗生物質(TC系)カルシウムなど2価の金属イオンキレートを形成する為、厚生労働省通知の動物用医薬品一斉試験法で定量することは困難であった[6]。TC系は主に成長促進剤として使用されている[7]。また、耐性菌を発現させる原因にもなりえる。

関連項目

脚注

  1. ^ 食品衛生法第十一条
  2. ^ 平成17年厚生労働省告示第497号 食品衛生法第11条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定める量を定める件』(プレスリリース)厚生労働省 医薬食品局 食品安全部、2005年11月https://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/11/h1129-2.html 
  3. ^ 残留農薬から食卓守る 四食品に許容量『朝日新聞』1968年(昭和48年)3月21日夕刊 3版 11面
  4. ^ 石鹸洗剤知識 除菌や時短の訴求が本格化 台所用洗剤が生まれて60年”. 日本石鹸洗剤工業会 (2016年6月15日). 2024年9月29日閲覧。
  5. ^ 世相風俗観察会『現代世相風俗史年表:1945-2008』河出書房新社、2009年3月、75頁。ISBN 9784309225043 
  6. ^ Yoshida E「Study of simultaneous determination of residual veterinary drugs including tetracycline antibiotics in milk and dairy products. (乳および乳製品中のテトラサイクリン系抗生物質を含めた動物用医薬品一斉分析の検討)」『食品衛生学雑誌.』第50巻第5号、日本食品衛生学会、2009年10月、216-22頁、doi:10.3358/shokueishi.50.216PMID 198979472016年10月18日閲覧 
  7. ^ 「家畜に使用される抗菌性物質に対する農林水産省のリスク管理 農水省 (PDF)

外部リンク


「残留農薬」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



残留農薬と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「残留農薬」の関連用語

残留農薬のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



残留農薬のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
時事用語のABC時事用語のABC
Copyright©2025 時事用語のABC All Rights Reserved.
食品安全委員会食品安全委員会
Copyright © 2006 - 2025 Food Safety Commission. All Right Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの残留農薬 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS