乗務員と運転業務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:14 UTC 版)
社員の制服は2014年6月以降はダークネイビーを基調としている。 冬季に上着を着用する場合、駅乗務員などの係員は「PRU(私鉄総連)」のバッジを着用している。夏季は開襟シャツを着用する。なお、役職によって上着の形状が異なり、管理職以上はダブルの上着を着用。制帽に関しては、役職によって巻かれている線の太さが違い、乗務区長・幹事駅長や駅長・副区長・副駅長、各主任などの管理職は赤帯に金線2本。主任補佐、駅長補佐、上席助役、助役は太い銀線1本(駅の当務助役は赤帯が追加される)。助役補佐、役職なしの係員は細い青線1本である。 車掌から運転士に対する出発合図は、電鈴を使用する場合は短2音である。運転士はワンマン列車以外は車掌からの出発合図を受けなければ発車してはならない。大半の車両は「チン、チン」と鳴るベル式の電鈴を装備しているが、2002年登場の300系以降の新造車両はブザーを採用しているため、合図は「プッ、プッ」となっている。また、進行方向後ろの乗務員室からホームが外側にカーブしているなどで、列車全体の乗降確認ができない場合、運転士が見えない部分の乗降確認を行い、車掌に乗降完了を知らせるために鳴らすことがある。この場合も短2音である。 以前、車掌が駅発車時の側面監視をする際、相互直通運転をしている名古屋市交通局や京阪電気鉄道同様、車内電鈴スイッチに手をかけて行い、非常時には電鈴を乱打して(「直ちに停車せよ」を意味する)、運転士に非常ブレーキを要求する方式をとっていたが、2016年夏ごろに大半の鉄道会社同様、車掌弁もしくは非常ブレーキスイッチを掴んで側面監視を行い、非常時には車掌が直接非常ブレーキを扱う方式に変更されている(ただし6000系初期車や100系のように車掌弁が進行方向と逆についている車両や、乗り入れてくる名市交車のように乗務員扉の上に非常ブレーキスイッチがついている場合など、物理的に車掌弁を掴みにくい車両については、引き続き電鈴保持を行うこともある)。 駅到着番線(入線ホーム)の伝達も電鈴が使用される。これは到着番線が列車によって異なる名鉄岐阜駅で主に行われており(それ以外の駅でも行われる場合はあり)、運転士が信号・進路などを確認、電鈴を使用して車掌に合図(1回で進行方向右側、2回で進行方向左側)を送り、車内アナウンスで下車扉を正しく案内できるように補うものである。この場合は、車掌が電鈴を待ってから下車のアナウンスをするケースが多い。 普通列車などが優等列車を通過待ちするときは、停車中の列車乗務員は必ずホームに立ち通過監視を行う。そのとき、運転士はブレーキハンドルを非常ブレーキにセットし、リバースハンドル(主幹制御器に取りつける前進・後進の切り替えハンドル)を所持してホームに立つ。なお、固定式ワンハンドル列車の場合、リバースハンドルの代わりにマスコンキー(固定式ハンドルを動かすために使う鍵)を所持し監視にあたる。ただし、運転席が2階にあったパノラマカー(現在は運用を離脱)では、運転席からホームへの移動が大変なため行わない場合が多かった。車掌はリーズブックと呼ばれる釣り銭の入ったものを持ち、ホームに立つ。原則として、ホームの非常停止ボタン付近に立つことになっている。 運転士のスタフ(社内では「運転時刻カード」と呼ばれている)は進行方向から見て左に置かれている(2000系・1700系と名古屋市交通局3000形・3050形のみ構造上右側)。そのため指差確認はJRのように右手で行わず、左手で行っている(ブレーキハンドルから手を離さないためでもある)。なお、6000系などの2ハンドル車において、力行中マスコンから手を離すとデッドマン装置が動作してしまうため、加速中に指差確認を行う場合は、マスコンから手を離さず、左手人差し指を対象物に向ける動作で済ませている。 運転中の指差称呼はJRに比べて少なめで、基本的に指差確認称呼を行うのは、発車前に行う次停車駅の確認と出発信号機(警戒表示以上)の確認、駅の停止・通過確認で、分岐点(平井信号場と枇杷島分岐点)や待避線がある駅の通過側信号確認時に行い、それ以外(閉塞信号機表示確認・制限速度確認等)では口頭で済ませる。 増解結を行う際、作業を担当する駅員は必ずヘルメットを着用する。作業で使用する旗もしくは合図灯は、赤が「停止」、緑が「進行」である。 速度制限標識は、制限速度の下に曲線(半径m単位)、下り勾配、分岐(方向は矢印で表示)、構内、ATSなどの理由が記載されている。これが数字のみのものは制限速度で通過した場合の速度制限を受ける秒数を表す(JRなどのような距離ではない)。いずれの場合も口頭では制限速度のみを称呼する。 閉塞信号機の名称番号は、キロポストに基づいた起点からの距離 (m) ÷100の近似値が方向により偶数・奇数に分けて付番されている。口頭では現示と進行・停止以外における制限速度のみ(「注意65」「減速85」など)を喚呼するが、豊橋 - 平井信号場間のJR共用区間ではJRの規則に従って「第3閉塞・注意45」「第2閉塞・減速65」のように称呼する。なお、信号喚呼位置標識はJR共用区間を除いて信号警標の基本デザインたる縦長方形で黄色地に黒縞が斜めに2本入ったものである。 ほかに名鉄独特の標識としては、指示速度やパラレル止めなどのノッチ指定を記した力行標や惰行標(通称オフ板)があるが、名古屋本線では1990年代にスピードアップが進む過程で撤去されほとんど残っていない。したがって現在は、本線ではフルノッチに投入し区間最高速度まで上げる走行が原則となっている。なお、制動標(通称H板、本来はHSCブレーキ車用制動標。自動ブレーキ車用はA板であった)については各線とも引き続き掲出され、分岐方(副本線)用の表示にはブレーキ初速度を併記している。 単線区間での列車交換(行き違い)のことを、名古屋鉄道では離合と呼んでいる。
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