ルノー・日産の資本提携と日産の復活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 09:11 UTC 版)
「カルロス・ゴーン」の記事における「ルノー・日産の資本提携と日産の復活」の解説
1999年3月27日にルノーが日産の株式の36.8%を取得し、ルノーと日産の間で資本提携が結ばれ、同年6月、ゴーンはルノーにおける役割を維持したままで、最高執行責任者(COO)として日産に入社した。翌年2000年6月に日産自動車の取締役に就任。さらに2001年6月に日産の最高経営責任者(CEO)に選出された。 ゴーンが入社した当時の日産は約2兆円(200億ドル)の有利子負債を抱え、国内販売でもラインナップされた46モデル中、3モデルだけが利益をあげている状況だった。ルノーからの巨額な資金投入が行われた上で、ゴーンの指揮下、両社の間でプラットフォームやエンジン、トランスミッションなどの部品の共通化、購買の共同化などを通じて両社のコストダウンを行う。 「日産リバイバルプラン」の下、東京都武蔵村山市にあった日産自動車村山工場などの生産拠点の閉鎖 や子会社の統廃合、航空宇宙機など余剰資産の売却 や21,000人(総従業員の14%)を目標とした早期退職制度による人員の削減など大幅なリストラを行った。同時に新車種の投入、インテリア・エクステリアデザインの刷新やブランドイメージの一新などの計画を次々に敢行。また、鋼板調達先を選別強化・集約しコスト削減を図ったことは「ゴーンショック」と呼ばれ、日本の鉄鋼業界再編の契機となった。 日産自動車社内の公式言語を日本語から英語に変更し、初めてのキー・グローバル戦略会議は、ヨーロッパや北米の幹部も出席して開催された。日本の商慣習にとらわれない過激な手法に、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「公共の怒りの対象となる」とのコメントを掲載するなど、先行きを危惧する声も少なからずあったが、ゴーンは自らテレビコマーシャル出演し、インタビューに応えるなど、積極的にメディアに登場。 残された日産自動車社員および株主・関係者への配慮を見せ、日産自動車株主総会を日本語で行うなど、全ての利害関係者に向けて社内改革をアピールした。その結果、1998年には約2兆円あった有利子負債を、2003年6月には全額返済(社債を発行して、銀行からの借入金を全部返済している)。1999年度には1.4%であったマージンは2003年度には11.1%へと増加させる成果をあげ、12%前後まで落ちた国内シェアを20%近くまで回復させた。 同時に、2002年にゴーンが打ち立てた3か年経営計画「日産180」(全世界での売上台数を100万台増加させ、8%の営業利益率を達成し、自動車関連の実質有利子負債をなくす)における販売台数目標達成のために、計画終了(2005年9月30日)前に集中して新型車投入を行ったことによる、計画終了以降の国内販売台数の深刻な低迷や、「ゴーン以前」に入社した居残り組と、「ゴーン後」に入社した中途採用組の社内闘争など、深刻な問題を残したままの親会社への復帰に疑問の声も上がっている。 2005年5月には、ルノーの取締役会長兼CEO(PDG)にも選ばれ、これによりゴーンはルノーと日産というフォーチュン・グローバル500にリストされる2社を同時に率いる世界で初めてのリーダーとなった。ゴーンは両社の株式持ち合いと同等所有権を含む戦略的パートナーシップを統括するルノー・日産アライアンスの社長兼最高経営責任者(CEO)も兼務している。2010〜2014年の間、ルノー・日産アライアンス(AvtoVAZを含めた)は、全世界自動車市場の約10%のシェアを維持し続けている。2014年の時点でアライアンスは世界第4位の自動車グループとなった。 2006年以降、関連会社の日産と歩調をあわせるようにルノーの業績も悪化していることもあり、ルノーの取締役会長兼CEO(PDG)になった後の2006年2月には、日産に対するリストラのような従業員の解雇を行わずに、2009年の販売台数を2005年の約250万台から80万台多い330万台とし、2009年の売上高に対する営業利益率を6%にするという内容の中期経営計画「ルノー・コミットメント2009」を発表した。 2011年3月11日、大規模自然災害となった東日本大震災が発生した。ゴーンは地震と津波による被害の復旧支援活動を率先して行う に留まらず、震災による打撃とともに、福島第一原子力発電所事故の影響下にあった、福島いわきエンジン工場の操業回復をいち早く決定。再構築を推進、奨励する為、自ら頻繁にテレビ番組などに登場した。さらに、2011年5月にゴーンは、最低100万台の日本国内での自動車およびトラック生産をコミット。 2012年6月に、OAO AvtoVAZの取締役会の副会長に選ばれ、翌2013年6月には会長に任命された ルノーは、2008年に、会社の25%の株式を取得した後、OAO AvtoVAZ との戦略的パートナーシップを始めていた さらに、極度の経営不振の状態にあった日産自動車を立て直したということで、他社の社外取締役に招聘されている。 2013年6月に、ゴーンはロシアの会社アフトワズの会長に任命された。ゴーンは2016年6月まで、この地位を保持した。2018年に、特別背任の疑いで、グレッグ・ケリーとともに日産の会長を解雇された。特別背任の容疑があるため4度再逮捕された
※この「ルノー・日産の資本提携と日産の復活」の解説は、「カルロス・ゴーン」の解説の一部です。
「ルノー・日産の資本提携と日産の復活」を含む「カルロス・ゴーン」の記事については、「カルロス・ゴーン」の概要を参照ください。
- ルノー・日産の資本提携と日産の復活のページへのリンク