ユスーポフ家の人々、及び関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 05:40 UTC 版)
「オルフェウスの窓」の記事における「ユスーポフ家の人々、及び関係者」の解説
レオニード・ユスーポフ 侯爵家の若き当主でロシア陸軍の指導者の1人。第3部におけるサブキャラクターの中では最重要人物である。 崩壊寸前の体制側にありながら侮れない存在で、アレクセイら革命勢力にとっては最も手強い敵である。単なるエリートではなく頭脳明晰で、軍人としては職務遂行にあたって妥協を許さぬ自他共に厳しい人物。辣腕を振るう有能な将校としてロシア軍部内や貴族界では「氷の刃(やいば)」との異名で恐れられている。 貴族社会の腐敗に絶望している誇り高い人物であり、皇帝への忠義一途のあまり、宮廷に巣食う腐敗の元凶の一つ・ラスプーチン及びその一派と激しく対立、たびたび嫌がらせを受ける。ロシア入国直後にデモ隊と軍隊の衝突に巻き込まれて負傷したユリウスを保護、この際、ユリウスの父親がロシア皇帝から密かに託されていた莫大な隠れ資産に関する秘密を隠蔽するため、当初は皇帝の命だったが、後にはアレクセイをおびき寄せる目的でユリウスを軟禁するが、女性であることを知り次第に彼女を愛するようになる。しかし、やがて記憶喪失に陥ったユリウスを立場や暴力を利用してわがものとすることはなかった。ユリウスをめぐってはアレクセイと言わばライバル関係にあると言えるが、アレクセイと同様に故国ロシアを愛し、また共に貴族の家柄に生まれながらも思想的に正反対のスタンスに立ち、その意味でもライバルである。しかし、弟リュドミールの命の恩人であるアレクセイを追いつめ切ることができないなど義理堅い面もあり、皇帝ニコライ2世から命令されたユリウス殺害も彼女を愛するがゆえに実行できないなど手段を選ばぬ非道な人物ではないことが覗える。また、駐屯中の農村で婦女暴行事件を引き起こした兵士に対しては「我々軍人は野盗や山賊ではない」「陛下より賜った貴重な弾薬を愚かな暴行に用いることは許されない。死を以て償わさせる」として絞首刑の厳罰を科すなど、必ずしも体制寄りの発想ではなく民衆を慰撫する思考も持っていた。 自身の考えが歴史の流れに逆らっていることを自覚しながら、帝政崩壊後も帝政復活を目指しクーデター計画を遂行すべく工作。しかし、臨時政府に計画が露見、自決によって最期を遂げる。アレクセイを罠に嵌めて射殺するが、クーデターを実行する前にユリウスにアレクセイと共にロシアを離れるよう警告するなど、国内に留まらなければ危害を加えずにいた思い遣りも見せた。モデルは実在したフェリックス・ユスポフ公爵)だが、原作者が彼の人格形成の上で参考にした真のモデルは2・26事件(1936年)で主導権を取った青年将校の1人ということである。 ヴェーラ・ユスーポフ レオニード・ユスーポフ侯の妹。 気は強いが心優しく芯の強い女性で、ユリウスにも暖かく接していた。侯爵家の使用人エフレムと秘かに恋仲になっていたが、彼の正体がスパイ目的で潜入したゲオルギー・バザロフなる革命家であったと兄レオニードによって知らされた上射殺され、深く傷つく。ユスーポフ侯等のクーデター発覚後、身分を偽り、国境を越えてユリウスをドイツへ送り届け、自身は亡命した模様。アナスタシアの親友でもあった。なお、ロシア語の人名としては、女性は姓が格変化するため、「ヴェーラ・ユスーポワ」となるはずであるが、劇中ではアナスタシア婚約直後のストラーホフ伯爵以外からは呼ばれていない。 リュドミール・ユスーポフ ユスーポフ侯、ヴェーラの年の離れた弟。 ヴェーラによって育てられた。幼いとき列車に轢かれそうになったところを、アレクセイに助けられた経緯がある。後に、兄レオニードの薦めに従って陸軍士官学校に入校するが、その心の純粋さから成長と共にロシア宮廷の腐敗に怒りを抱くようになり、またアレクセイに強い影響を受け、最後には侯爵家を捨ててボリシェビキに転向、革命の闘士となった。その後、ユリウスと共に国外亡命しようとする姉ヴェーラと偶然再会したが、見逃す。この時、バザロフは心からヴェーラを愛し苦悩していたのであって、決してヴェーラの心をスパイ目的で利用していたのではなかった事実をヴェーラに伝えた。 セルゲイ・ロストフスキー ユスーポフの部下。階級は大尉。 任官以来ユスーポフ侯に仕え、常に忠実な部下であり続けた。ユスーポフ侯の極秘任務として反逆者を装いボリシェビキに潜入、真意を知らぬユリウスが罠だと漏らしたことで危機を免れた末にアレクセイを死に追い込む。アレクセイの死と死産で心を閉ざしたユリウスの見舞いにヴェーラに同行したため、ユリウスの怒りを買い、また、ケレンスキーに姿を見られてしまったため、クーデターが露見してしまう。ヴェーラとユリウスを脱出させた後、ユスーポフ侯の後を追って自決。ユスーポフ侯に「ユダの汚名を被ることを厭わぬ部下」と言わしめた。 アデール ユスーポフ侯の妻で、皇帝ニコライ2世の姪。 自尊心が強く、政略結婚であったこともあって夫に対する愛情は薄かったのか堂々と浮名を流していたが、自分自身でも気付かぬ部分ではユスーポフ侯を愛していた。ユスーポフ侯を陥れようとするラスプーチンの差し金もあって離婚するが、その後初めて自分の本当の気持ちに気づいて激しく後悔し、少しでもユスーポフ侯の役に立とうとラスプーチン暗殺に協力する。
※この「ユスーポフ家の人々、及び関係者」の解説は、「オルフェウスの窓」の解説の一部です。
「ユスーポフ家の人々、及び関係者」を含む「オルフェウスの窓」の記事については、「オルフェウスの窓」の概要を参照ください。
- ユスーポフ家の人々、及び関係者のページへのリンク