ヤールンサクサとは? わかりやすく解説

ヤールンサクサ【Jarnsaxa】

読み方:やーるんさくさ

ヤルンサクサ


ヤールンサクサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/04 09:02 UTC 版)

ヤールンサクサ
古ノルド語 Járnsaxa
子供 マグニ
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ヤールンサクサ[1]ヤルンサクサイアールンサクサ[2]イェルンサクサ[3]とも。古ノルド語: Járnsaxa)は、北欧神話に登場する巨人の女性の名である。 その名前は「鋼鉄の短剣」(英語: iron sax[4])を意味する。

マグニの母

スノッリ・ストゥルルソンの『散文のエッダ』によると、ヤールンサクサはトールとの間に息子マグニをもうけたとされている。 巨人フルングニルとの戦いが終わり、巨人の脚の下敷きになったトールにマグニが駆け寄る場面で、マグニが「トールとヤールンサクサの子」と紹介されている[5]

なお、ヤールンサクサがマグニの兄弟モージの母だとははっきり明示されていない。

9人の巨人娘の1人

詩のエッダ』の『ヒュンドラの歌』第35節、37節では、太古に誉れ高い者を生んだ9人の巨人の娘のうちの1人としてイァールンサクサ(ヤールンサクサ)という名が挙げられている[6]

ドナルド・A・マッケンジー『北欧のロマン ゲルマン神話』においては、この9人の娘がヘイムダルを生んだ9人の母だとされている。 娘たちのうちヤールンサクサを含む7人がエーギルラーンの娘、ギャールプとグレイプゲイルロズとラーンの娘であったと説明されている[注釈 1]

ところが『散文のエッダ』第二部『詩語法』第23章では、ヘイムダルが「8と1人の母より生まれた獰猛な息子」というケニングで呼ばれているものの、そこに9人の母の名前は出てこない[7]

また、『詩語法』第33章に挙げられているエーギルの9人の娘たちの名は、『ヒュンドラの歌』に登場する9人の娘の名と異なり、ヤールンサクサは含まれていない[8][注釈 2]

脚注

注釈

  1. ^ 『ヒュンドラの歌』および『北欧のロマン ゲルマン神話』(ドナルド・A・マッケンジー著、東浦義雄、竹村恵都子訳、大修館書店、1997年、ISBN 978-4-469-24419-9)160頁に挙げられているのは次の9人である。アンゲイヤ、エイルギャヴァ、ヤールンサクサ、イムズ、エイストラ、アトラ、ウールヴルーン、ギャールプ、グレイプ。なお、この9人がヘイムダルの母であると特定したのが著者なのか、同書8頁に執筆にあたって参考にしたとある『Teutonic Mythology』(スウェーデンの民間伝承学者ヴィクトル・リュードベリ (en:Viktor Rydberg)の著書。題名和訳は『ゲルマン神話』)にそのような記述があったのか、はっきりしない。
  2. ^ 『「詩語法」訳注』34頁に挙げられているのは次の9人である。ヒミングレーヴァ、ドゥーヴァ、ブローズグハッダ、ヘヴリング、ウズ、フレン、ビュルギャ、バーラ、コールガ。

出典

  1. ^ 『オージンのいる風景 オージン教とエッダ』(ヘルマン・パウルソン(en)著、菅原邦城他訳、東海大学出版会、1995年、ISBN 978-4-486-01318-1)で確認した表記。
  2. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』210頁で確認した表記。
  3. ^ 『北欧神話と伝説』(ヴィルヘルム・グレンベック著、山室静訳、新潮社、1971年、ISBN 978-4-10-502501-4)で確認した表記。
  4. ^ Orchard (1997:97).
  5. ^ 『「詩語法」訳注』27頁。
  6. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』210頁。
  7. ^ 『「詩語法」訳注』24頁。
  8. ^ 『「詩語法」訳注』34頁。

参考文献

関連項目


ヤールンサクサ

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 03:01 UTC 版)

固有名詞

ヤールンサクサ

  1. 土星50衛星固有

語源

北欧神話巨人ヤールンサクサより

関連語




固有名詞の分類


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