フィリピンでの評判
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「超電磁マシーン ボルテスV」の記事における「フィリピンでの評判」の解説
本作品は世界各国で放送されたが、1978年に放送を開始したフィリピンでは特に大人気で、最高視聴率が58%を記録した。当時テレビアニメといえばアメリカ作品しかなかったフィリピンでは、子供たちにとって『ボルテスV』の登場は衝撃的な出来事で、『ボルテスV』の成功を契機に、フィリピンに次々と日本のロボットアニメが輸入されることになった。 フィリピンでは、子供の人気とは裏腹に、大人たちの『ボルテスV』への反発が存在した。当時の放送の担当者には、本作品による子供への悪影響を心配した親や教師から「本作品の内容が暴力的であり、道徳的でない」としたものや「子供がボルテスVに夢中になるばかりにキャラクターグッズを欲しがったり、勉強をしなくなったりする」ことを心配する抗議の声が寄せられた。また、第二次世界大戦後のフィリピンでの反日感情からボルテスVの武器を侍の刀の象徴であるとか、旧日本軍の賛美や戦時中の行いを正当化したもの、軍人精神を称えるものと捉えたり、本作品を皮切りに日本企業が台頭してくることを警戒する声もあり、民間で抗議団体も結成された。 最終話直前の1979年8月、時の大統領フェルディナンド・マルコスが放送禁止を宣言し、国営放送での『ボルテスV』は放送中止された。このフィリピンでの『ボルテスV』を巡る話題は、日本でもマスコミを通じて紹介された。まず『週刊読売』1979年2月4日号では、フィリピンでの『ボルテスV』人気を報じた。続いて、1979年8月29日付の『東京新聞』では、当時のマルコス大統領が暴力的として中止に乗り出したことを伝えた。『週刊アサヒ芸能』1979年10月4日号も放映中止事件を扱っている。いずれも俗悪な暴力番組のため放送中止になったという扱いだった。 国営放送で本作品の残りの回が放映されたのは、エドゥサ革命でマルコス政権が倒れた直後の1986年であった。そのため「ボルテスVを放映させるために革命が起き、マルコス政権が倒れた。」というジョークが語られることがあるが、この放送再開時にはかつてのような熱狂的ブームも抗議活動もなかったという。 評論家の岡田斗司夫は、1996年に出版した『オタク学入門』で、ストーリー後半が革命を示唆する内容であったため、独裁的な政権運営を行なっていた当時のマルコス政権による政治的圧力で放送が禁止された、と解釈している。「かつて国を追われた名門出の改革者で、長年の苦難を乗り越え帰国、革命を起こすラ・ゴール(地球名は剛健太郎)」は、当時亡命中で後に暗殺された元上院議員ベニグノ・アキノを連想させなくもない。 一方、フィリピン人スタッフ制作でこの問題をテーマにした番組『NHKスペシャル・ドキュメンタリーアジア発』第1回「フィリピン『日本製アニメに何を見たか』-ボルテスファイブを知っていますか?-」(1991年9月30日放送)では、フィリピン人から見た打ち切り問題の原因が論じられている。政治的判断によりボルテスが打ち切られたとする意見に対し、番組内では、『ボルテスV』を配給していた企業が「政界のその筋にパイプを持っていなかったため、我が社だけが不公平な扱いを受けた。ビジネスにはよくある話である」と説明している。また、上述のように第二次世界大戦後のリアルな反日感情を持ち『ボルテスV』に反対していた大人の世代と、強い反日感情を持たず「ボルテスVが面白かったので見ていただけで、ボルテスVでさえあればどこの国の製品でも構わなかった」と考える子供の世代とのジェネレーションギャップなどといった、様々な観点が紹介されている。 さらに時代が下り、1999年から『ボルテスV』の再放送が始まると、リバイバルブームになった。最高視聴率が40%を超え、日本語の主題歌「ボルテスVの歌」も大ヒットした。朝の時間帯に放送していたため、子供が学校になかなか行こうとしなかったという話もある。主題歌を歌った堀江美都子がフィリピンでライブを行った際は、国賓並みの待遇を受けたという。当時の『東京新聞』では、現地に駐在の記者が、主題歌の日本語歌詞を入手した現地の人に「英語に訳してくれ」といわれ、「Even if...」と訳していったというエピソードを掲載している。 2006年、安倍晋三総理夫妻がフィリピンを訪問した際、昭恵夫人が訪問した施設において、現地の若者たちは本作品のエンディングテーマを歌って迎えた。 2017年12月10日、『超電磁マシーン ボルテスV』の放送40周年を記念し、フィリピン・マニラにてキャラクターマラソン&ファンイベントを開催。5 kmのキャラクターランと堀江美都子による「ボルテスVの歌」ステージショーを実施した。2020年1月、実写によるリメイク版『Voltes V Legacy』の制作が発表された。これは2022年放送予定のテレビシリーズで、主役のボルテスチーム5人の役名は、剛健一がスティーブ・アームストロング、峰一平がマーク・ゴードン、剛大次郎がロバート・ビッグ・バート・アームストロング、剛日吉がリトル・ジョン・アームストロング、岡めぐみがジェィミー・ロビンソンに変更されている(en:Voltes V: Legacy参照)。
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