テニスラケット開発史
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「テニスラケット」の記事における「テニスラケット開発史」の解説
テニスラケットの技術革新は日進月歩であり、テクノロジー革命により軽く、頑丈なものに進化している。 ウッドから、スチールやグラスファイバー、チタンやカーボンなどの素材革命が進み、レギュラーサイズから、デカラケ・厚ラケ・長ラケなどの形状革命など、ラケットを構成するあらゆる要素に画期的な新テクノロジーを駆使した大きいのに軽量、かつ強く反発力のあるラケットが開発された。 20世紀・ウッドラケットの時代は68平方インチでシングルシャフト、フレーム重量380g程とかなり重く、スウィングスピードがないのでしなりを利用してボールを飛ばしていた。戦後まもない1949年にWilsonジャック・クレイマー・オートグラフを誕生させた。このラケットは1981年まで30年以上のロングセラーであった。 フランスのラコステによって、1967年にスチール製フレーム素材のテニスラケットがWilsonT2000として開発されました。1968年にアルミ製、1970年にウッド素材より柔らかいグラスファイバーが取り入れられたが、カーボンに比べて重かったため、フルグラスファイバーの時代は短く、その後1974年にカーボンファイバー炭素繊維フレームが登場した。 カーボン製は形状をいろいろな形に製造しやすいことから、Princeが1976年世界初の大きいサイズのプリンスクラシックを開発した。これまでの70平方インチを110平方インチフェイスに拡大し当時デカラケと呼ばれていた。考案したのは、HEAD創始者ハワード・ヘッドであった。カーボンフレームによるLサイズラケットはテニス史上最大の革命的大転換だった。 1980年代前半ほんの数年でイノベーションが進んで、複合素材台頭し始めレギュラーからデカラケへと移行しウッド時代に終止符を打った。1985年頃はデカラケの全盛時代であった。フェースがかなり大きいデカラケはボールも当たりやすいがスピンが掛けにくく、飛びすぎるデメリットのため、フェイス面積がデカラケより少し小さな100平方インチ前後のミッドラケットが主流になっていった。 その次にイノベーションとなったのが1987年のWilson Profileで当時厚ラケと呼ばれていた。1990年頃になりカーボン・グラファイトの特性を生かしワイドボディフレームの出現で、ラケット開発に革命を起こした。ボールの弾きを決めるのはフレームの硬さで厚いラケットは、その分フレームが硬くしならないので、よくボールを弾く。ただ当初の厚ラケは飛び過ぎるものだったので、中厚ラケットが主流となった。 その後1995年の頃になりラケットの長さが1インチ長い28インチのロングボディラケットPrinceマイケルチャンGraphiteが登場し当時長ラケと呼ばれていた。 HEADがチタンラケット製造を開始。1997年にラケットに革新をもたらした素材チタンは衝撃や腐食、高温にも強い。耐久力に優れ、このスポーツに最適な軽量で強度のある素材チタンをフレームに採用し中空構造で高い反発性を実現している。Wilsonは1998年にチタンと比べ軽く4倍の強度と硬度を備え新素材ハイパー・カーボンを発表。Wilsonは2000年グロメット部にローラー組み込んだローラー・テクノロジーを開発。HEADはインテリファイバー素材を使ってインパクト時に生じる衝撃の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換しグリップに内蔵したコンピュータマイクロチップで10倍増幅を開発。HEADが2003年に世界最先端のニューテクノロジーチタンに比べ3倍の弾力性と強度を合わせ持つ液体金属素材LIQUIDMETALシリーズを開発。 黄金スペックの起源はBabolaTピュアドライブで基本スペックである重量=300g、フレーム厚=25㎜、フェイス面積=100平方インチと同じ組み合わせのモデルがメーカー各社から発表された。 Princeが2005年にグロメットレス新構造フレームは、フレーム上にストリングホールを巨大化させた穴を空けることでグロメットはなく、フレームにストリングを直接張ることによりストリング可動範囲は大きく広がり、スィートスポットの拡大を実現させた。結果、振り抜くときの空気抵抗を大幅に激減させ、スイングスピードのアップした。 Wilsonは2010年にニューテクノロジー新素材BASALT Fiberバサルトファイバーを採用ラケットを開発した。 HEADはINNEGRAファイバーをカーボンファイバーと複合、インネグラ・ハイブリッド・コンポジット複合構造IGを開発した。BabolaTがコアテックスとウーファー・システムにタングステンを織り込んだGTテクノロジーを採用し革新技術アエロモジュラーフレームテクノロジーで強烈なスピン性能を達成した。 HEADは2013年に先進ニューテクノロジー世界最強最軽量の素材Graphineを実現した。 BabolaTが2014年にグリップ部分に搭載された内蔵センサーにより通信機能搭載しワイヤレス通信で端末によるグラフや数値での分析を可能とした。ラケット・メーカー各社が最新ハイテクノロジーを駆使し激化した開発競争が続いてきた結果フレーム・フェイス形状の大型化と共にハイパーカーボン、アルティマムチタンなど素材における軽量化も相次ぐようになったことから反発性能の大幅な向上が続いた。これによりスピン量が増大しボールスピードが上昇した。
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