テニスンの詩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 15:57 UTC 版)
テニスンが語り直した伝説においては、シャロットの女は直接外の世界の現実を見ることを禁じられている。かわりに彼女は鏡を通じて世界をみるさだめにあり、そこでみたものを日がなタペストリーに織っている。はるか彼方で恋人たちが連れそい歩く姿を目にすれば、絶望はいっそう深くなる。日ごと夜ごと、彼女はうずく心をおさえて自分を落ち着かせた。ある日、ランスロット卿が馬を進める姿を鏡のなかにみつけた彼女は、無謀にもキャメロット城のほうをみてしまい、すぐさま呪いが降りかかった。嵐が吹きすさぶなか、彼女は「シャロットの女」と船首に彫った舟でそこを脱出する。死を目の前に、キャメロット城を目指して舟を出したシャロットは哀歌をうたう。シャロットの亡きがらはすぐにキャメロット城の騎士や貴婦人に見つかるが、その中にはあのランスロット卿もいた。彼はその魂をあわれんで神に祈りをささげる。 〔第4部から〕かくて 蒼茫たる川のあなたカメロットの方を 予あらかじめおのがわざはひを知悉せる ある膽太き予言者の 斯うと観念せる時のやうに 玻璃の如き面地して 姫はカメロットの方を見つめき かくて その日のくれがたに つなげるくさりを解きて 姫は舟底に 打臥しぬ 滔々たる河水は 姫を載せて はるかあなたへと流れ去りぬ 此のシャロットの姫を載せて テニスンは同じ筋書きをアーサー王伝説を題材にした叙事詩である『国王牧歌』のエレインの章で語り直している。しかしこのバージョンでは、最後の旅において舟をこぐのは家臣の一人である。
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