オーストリア=ハンガリー帝国海軍
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「ホルティ・ミクローシュ」の記事における「オーストリア=ハンガリー帝国海軍」の解説
ハンガリーの首都ブダペストの南東に位置する、現在のヤース・ナジクン・ソルノク県ケンデレシュ市の在郷貴族の家に生まれた。 1886年、当時、ハンガリーで唯一の海港都市だったフィウメ(現在のクロアチア領リエカ)市の海軍兵学校で教育を受け、オーストリア=ハンガリー帝国海軍に入隊、兵曹長。1899年から教育艦「アルテミダ」艦長。1903年から「ハプスブルク」の水雷士官を務め、数ヵ月後に「ザンクト・ゲオルク」に異動。1907年から帆船「ラクロマ」一等士官に異動。1908年、コンスタンティノープル(イスタンブール)海軍泊地長に昇進。翌1909年に艦隊勤務から離れて、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の侍従武官を拝命した。ホルティは終生フランツ・ヨーゼフ1世を敬愛し、度々賛辞を口にしている。 1914年7月28日の第一次世界大戦開戦時、アントン・ハウス大将が統帥するオーストリア・ハンガリー帝国海軍は、戦艦16隻、巡洋艦12隻、駆逐艦23隻、水雷艇62隻、潜水艦6隻、補助艦艇7隻、汽船(商船)12隻を擁していた(世界第7番目の海軍力)。開戦直後の1914年8月、ホルティはフランツ・レイフラー少将麾下のアドリア海方面艦隊所属第3戦隊旗艦戦艦「ハプスブルク」艦長に就任する。しかし、僅か4ヶ月後の同年12月には巡洋艦「ナヴァラ」艦長へ異動となる。ハウス大将は開戦当初より、海軍力の温存を図りアドリア海各地の港湾都市へ艦船を分散させ、頻繁に艦船の移動及び人事の異動を繰り返した。フランスを主力とする連合国艦隊との直接対決を避けた『アドリア海を逃げ回る』その姿勢を、帝国内の新聞各社は大いに非難した。しかし当時の状況としては、帝国海軍の実力に鑑みてこれは正しい判断であり、連合国艦隊との艦隊戦となれば、短期間の内に保有艦船を大きく損耗し、アドリア海の制海権を早々に喪失していた可能性が高いと言われている。開戦時、帝国海軍は人材不足、特に士官不足に陥っており、開戦と同時にフィウメの海軍兵学校の士官候補生を繰り上げして卒業させ、帝国海軍士官として任用した。この様な状況は当時から広く列強にも知られており、帝国は専ら陸軍国であり、海軍は沿岸警備程度の実力と評価されていた。イギリス=フランス=イタリアの三国連合艦隊は、アドリア海の制海権を握り、帝国を中欧内陸へ封じ込めるべくオトラント海峡を封鎖した(オトラント海峡封鎖)。帝国海軍は寡兵ながら潜水艦・巡洋艦による夜戦を度々決行、善戦するも、封鎖を突破する事が出来なかった。その様な戦況の中、1917年5月、海上封鎖を破るべく、オトラント堰攻撃作戦指揮の大命がホルティに下った。後のオトラント海峡海戦 (1917年)である。ホルティは軽巡洋艦僅か3隻で構成された主力部隊と、別動隊の駆逐艦2隻で連合国艦隊の特殊掃海艇約100隻が守るオトラント堰を攻撃。無謀とも言える作戦であったが、イタリア海軍の駆逐艦ボレアと貨物船1隻を早々に撃沈。更に特殊掃海艇14隻を撃沈した。オトラント堰襲撃の報にイタリア海軍のアルフレッド・アクトン提督率いる東地中海艦隊がオトラント堰へ駆けつけるもホルティ艦隊に大敗を喫し、連合国艦隊の主力たるイタリア海軍の東地中海艦隊は事実上壊滅した。ホルティは旗艦「ナヴァラ」が大破しながらも善戦し、遂に三ヵ国によるアドリア海海上封鎖を破る。この武勲によりホルティは大佐から少将へ昇進、ハンガリー国内はオトラント海戦の大勝利に沸いた(オトラント海峡海戦)。翌1918年、帝国海軍提督マクシミリアン・ニェゴヴァンに代わり帝国海軍総司令官に就任。同年10月、アドリア海を南下し、ユーゴスラビア・アルバニア沿岸の攻略を計画したが、作戦の要となる戦艦「セント・イシュトヴァーン」がイタリア海軍の水雷艇による雷撃を受け撃沈。この作戦は中止された。10月30日、中将に昇進。11月3日のヴィラ・ジュスティ休戦協定により、艦隊は活動を停止。尚、この時、敗戦の混乱に乗じてモンテネグロの城塞都市コトルで発生した暴動を、208名の陸戦隊を指揮し鎮圧している。 アドリア海を主戦域とした地中海中東部で、イギリス・フランス・イタリアの三大海軍国を相手に、艦艇数の少ない帝国海軍を率いて互角に渡り合い、大戦間を通じて終始軍事的優位を保った提督として、ホルティの名声はハンガリー国内で不動の地位を得た。
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