エンマの裁きの対象者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/09 10:11 UTC 版)
「エンマ (漫画)」の記事における「エンマの裁きの対象者」の解説
「その存在・理念・行動が無駄な殺生を増やす」と冥府に判断され、エンマの裁きの対象となる人物達。裁かれる理由は様々で、単に大量殺人を起こす(または指示)した者、戦争を起こす権力者などもいれば、伝染病を広めて死者を出す恐れのある者といった自身の意思とは関係なく罪を背負った人間や、誰かを助けようとして大量死の原因になる(支配層の悪人を殺して世の中が乱れる、口減らし要員を助けて餓死者が増える等)といった根が善人である人間もいる。自身の正義感に従っていたり、やむを得ぬ事情を抱えていたりする場合が多く、複雑な人間関係がエンマを葛藤させることになる。 彼らはエンマにより全身の骨を抜かれて殺害される。ただし骨は、その人間を慕う者(死者も含まれる)の数だけ体内に残る。そのため、骨の総数を上回る人間に慕われる者は、たとえ裁きの対象となっていても骨を抜くことはできない(信頼を失い骨を抜けるようになったことはある)。 数が多いため特徴的な人物だけを載せる。 なお、対象者には実在の人物もいるが、忠実とは異なる経緯を辿っているものもいる。 黒部鬼政(くろべ おにまさ) 単行本第1巻(第1話)に登場。本作最初の裁きの対象者。 1500年頃の戦国時代日本の人物。黒部家の当主で領国の国主。冷酷無情かつ無慈悲であり、逆らう者は女子供でも殺す。しかし、先代当主の時代に人質として自身の嫁に入った水沢家の姫・雨茶には優しく、雨茶も鬼政を慕っている。 悪名高い自分にわずか7歳の幼い娘を躊躇いもなく差し出した水沢を快く思っておらず、先代を殺して同盟を決裂させる。その後、水沢と敵対関係になり、鬼政のために自ら牢に閉じこもった雨茶を見て、水沢を完全に潰すために戦を推し進める。 水沢との戦で多くの死者が出るため裁きの対象となり、雨茶の妨害も敵わずエンマに骨抜きされる。骨は雨茶の思いの分として1本だけ残った。 なお、単行本巻末での書き下ろしエピソードによると、鬼政の死後に雨茶は水沢の国に戻ったらしく、鬼政の仕草が癖になっていた。 荊軻(けいか) 単行本第3巻(第10話)に登場。エンマが初めて骨抜きに失敗した人物。 紀元前227年の燕の暗殺者。家には200人以上の孤児がおり、きつく当たっているが内心では自覚がないものの思いやっている。 秦王を殺すよう命令を受け、エンマから秦王の死が再び戦乱を招き多くの死者を出すと警告されるが、秦王暗殺を決行しエンマに骨を抜かれそうになる。しかし、孤児たちの思いにより骨は一本も抜けず、暗殺にも失敗したため、燕が攻められる前に孤児たちと共に燕を去る。 スーホ 単行本第5巻(第17話)・第7話(第28話)・第8巻(第29話)に登場。骨を抜く理由が無くなり、生き延びた人物。そして、主要人物であるナユタの関係者でもある。 7世紀のモンゴルの遊牧民の少年。兄弟同然の仲の愛馬「ナユタ」と共に暮らしていた。エンマにナユタを手放すよう警告されるも無視したが、ナユタが王を傷つけてしまったことが原因で村人を殺されそうになり、自身の手でナユタを殺す。ナユタが死んだことで裁く理由がなくなったため、骨を抜かれずに終わる。 その後、王へ復讐するために軍に入ったが、王が急死したため機会を失い、ナユタを殺したのは王でも他の誰でもなく自分自身だという事実に向か合わされて錯乱。軍馬を全て逃がしたため、目を潰されたうえで捨てられる。そして、その後は道すがら出会った人々に救いの手を差し伸べつつ、償いの旅を続けていた。そして、200年後に再会したナユタの許しの言葉を聞き、身体が崩れて土に還る。 彼の思いが、人を裁けなくなっていたエンマに再び人を裁く使命を担うことを決意させる。 扶蘇(ふそ) / 胡亥(こがい) 単行本第6巻(第21話・第22話)に登場。 紀元前210年の秦の人物。兄弟であり、兄の扶蘇は将軍、弟の胡亥は皇帝である。胡亥は穏やかで心優しい人柄で宮中の人間や一般の民から慕われており、扶蘇は対照的に残酷な所業で恐れられているが、兵士には慕われている。 幼き頃のクーデター未遂で親族を失い、扶蘇は優しく非情になれない弟を守るために暴力装置を担うようになるが、兄の思いを知らない胡亥は人殺しを厭わなくなったその姿に苦悩するようになり、兄弟間ですれ違いが起きる。 エンマは扶蘇の骨を抜こうとしたが、兵士たちの思いにより失敗し、直後に身体を燃やされて消滅する。その後、胡亥の決断によって扶蘇は処刑されることになり、弟の成長を見た彼は微笑みながら死ぬ。しかし、暴力装置が失われたことで次第に民が増長して暴動が相次ぐようになり、そうなって初めて兄の思いを知った胡亥は、兄をも超える残虐性を持った強権的な皇帝となる。それからしばらく経ち、クーデターが起きる中で、再び現れたエンマの変わらぬ姿勢を見て、彼女の裁きを受け入れる。骨は扶蘇の思いの分として1本だけ残った。 エンマの干渉によってより多くの犠牲を出し、裁きの対象も増やしてしまった事例であり、感情が芽生え始めたエンマを苦しませることになる。 皆森絵麻(みなもり えま) 単行本最終巻(第30話・第31話)に登場。エンマが骨を抜いた最後の人物。 2010年日本の女子中学生。エンマの前世であり、姿はエンマとうり二つ。末期の肺がんに侵された母を救うための研究をしていたが、研究の結果パンデミックを起こす細菌が誕生してしまうため、裁きの対象になる。母を救うことだけを考えており、周囲の人間を顧みないため、エンマの警告を無視する。 当初エンマは絵麻に感情移入して骨を抜くことを躊躇ってしまっていたが、互いに向き合って心情を理解しあうことで、躊躇いをなくして絵麻の骨を抜く。残った骨の本数は言及されていないが、右手小指の2本が残っているのが確認できる。
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