「Q」の投稿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:31 UTC 版)
「Q」は、4chanと8chan(現・8kun)に数千件の投稿を行っている。これらの投稿は「ドロップ」(drops)や「パンくず」(breadcrumbs)と呼ばれ、暗示的で謎めいており、検証不可能なものが多い。中には暗号化されたメッセージと思われる文字列も存在する。「Q」は、「言い過ぎた」とか「最後まで秘密にしておかなければならないこともある」という風に、いわくありげな口調で投稿を行っている。また、秘密結社に対して最終的には勝利するということを信者に信じさせるために、「計画を信じろ」「ショーを楽しめ」「来るものを止めることはできない」といったフレーズを多用している。「Q」のメッセージは通常、すべてが計画通りに進んでおり、トランプが優勢で、敵対者は全員刑務所送りになると主張する内容となっている。また、「Q」は信者らに「白ウサギを追え(Follow the White Rabbit)」と述べ、自分で「真実」を調べることを推奨した。Qアノンの信者らは、ハッシュタグやFacebookのグループ名に「白ウサギ(White Rabbit)」というフレーズを使用するようになった。このFacebookグループは、2020年に約9万人のメンバーを擁するまでに成長した。 2017年に始まった初期の投稿の大部分は、外国勢力と「ディープステート」の共謀に関する主張で占められている。2018年には、「オバマ政権はイランや北朝鮮に技術を供与する計画を立てていた」などの地政学的な陰謀論に言及した。その後、「Q」は新たな標的へ移行し、「全米家族計画連盟は利益のために胎児を搾取している」などと主張したり、秘密結社のメンバーであるとしてルース・ベイダー・ギンズバーグなどを非難する投稿を行った。この数年間、ロシア疑惑や児童買春、ジェフリー・エプスタイン、アンティファ、およびハンター・バイデンなどが話題となった。「Q」のメッセージは時間とともに曖昧なものになっていき、信者自身の信念と重ね合わせ、新たなバリエーションの陰謀論を展開できるようになった。 作家のウォルター・カーン(英語版)は、「Q」は証拠を直接提示するのではなく「手がかり」を少しずつ出すことで信者を魅了しており、数ある陰謀論の中でも革新的なものであると評している。彼は「インターネットに投稿される物語の読者は、それを読みたいのではなく書きたいのである。提供された答えは望んでおらず、それらを検索したいのだ」と述べている。しかしながら、「Q」のメッセージは、以下のようなすぐに真偽が判明する具体的な予言に依存していることが多い。 国外逃亡の場合に備えて複数の国でHRCの身柄を引き渡す取り決めが昨日発効済み。パスポートは10月30日の午前12:01にフラグを立てられることが承認された。大規模な組織化された暴動と米国からの逃亡者の発生が予想される。NGが活動している間はUS Mが作戦を実行する。本当かどうか確かめるには、NGのメンバーを探し出して10月30日に主要都市で行われる任務に就いているかどうか聞いてみると良い。 —4chanの/pol/で行われた「Q」による最初の投稿。2017年10月28日。 ヒラリー・クリントンは逮捕される寸前であり、国外逃亡を試みる。 2017年11月3日に「嵐」が始まる。 2018年2月1日に国防総省を巻き込んだ大事件が発生する。 2018年2月10日に大統領に狙われた人々が一斉に自殺する。 2018年2月16日にロンドンで自動車爆弾テロが発生する。 トランプによる軍事パレードは「決して忘れられないものになる」。 ファイブ・アイズは「長くは続かない」。 2018年4月10日に重慶で何か大きなことが起こる。 2018年5月に北朝鮮に関する「爆弾発言」の暴露がある。 2018年3月にヒラリー・クリントンによる悪行の「決定的証拠」となる動画が現れる。 ジョン・マケインは上院議員を辞任する。 マーク・ザッカーバーグはFacebookを辞職して国外逃亡する。 その次はTwitterのCEOであるジャック・ドーシーが辞職に追い込まれる(上記のザッカーバーグに対する言及のあと)。 フランシスコ法王が重罪で逮捕される。 2021年1月10日9時(東部標準時)にドナルド・トランプが「世界緊急放送システム」を用いて世界に向けて声明を発する。 「Q」は、外れた予言や虚偽の主張を意図的なものであるとして何度も退けており、「偽情報も必要だ」と主張している。これを受け、心理学者のステファン・ルワンドウスキー(英語版)は、陰謀論の「自己欺瞞的性質」を強調して論じた。それによると、「Q」はもっともらしい否認を行っており、陰謀論と矛盾する証拠があっても「信者の心の中では妥当な証拠と化す」という。「Q」は、上記の外れた予言と同様に、以下のような多数の根拠のない主張を展開している。 北朝鮮の金正恩はCIAが任命した傀儡の支配者であるという主張。 ドイツのアンゲラ・メルケル首相はアドルフ・ヒトラーの孫娘であるという主張(2018年3月1日)。 「銃乱射事件はすべて秘密結社によって行われている偽旗作戦である」という主張(2018年7月7日にデイリー・ビーストの記事が指摘)。 下院議員で民主党全国委員会委員長のデビー・ワッサーマン・シュルツは、エルサルバドルのギャング「マラ・サルバトルチャ」を雇ってDNC職員のセス・リッチを殺害したという主張(2018年2月16日)。 バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョージ・ソロスらはトランプに対するクーデターを計画しており、国際的な児童売春組織に関与しているという主張。 ロバート・モラーによるロシア疑惑の捜査は、実際には上述のクーデターに対するトランプ主導の反撃であり、トランプは民主党を極秘裏に調査するために、ロシアとの共謀を装ってモラーを任命したという主張。 一部のハリウッドセレブは小児性愛者であり、ロスチャイルド家は悪魔崇拝のカルト教団を率いているという主張。これは、1970年代から出回っている政治的疑惑や噂と同種のものである。一般的には、捜査官が既存の悪魔崇拝カルトを利用して左翼活動家をおびき寄せて脅迫したり、フランクリンの児童買春組織疑惑(英語版)の場合には、エリート共和党員による悪魔崇拝的な性的虐待を行ったりすることが疑惑の中心となっていた。昔の陰謀論と今回のQアノンの大きな違いは、共和党員ではなく民主党員が悪役にされている点である。
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