伐採
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伐採(ばっさい)は、森林の木竹を伐り倒すことであり、通常は丸太を生産する行為をいう。林業における伐採の種類には主伐(しゅばつ)、間伐(かんばつ、Thinning)、除伐(じょばつ)、皆伐(かいばつ)、択伐(たくばつ)がある。
過剰な伐採により森林の維持・回復が困難になる現象については「森林破壊」を参照。
伐採の方法
チェーンソーが登場するまでは斧と鋸で木を切り倒していた[1]。 木を倒す側に斧で幹に三角の切り込みを入れ、反対側から斧または鋸で切り倒す[1]。切り倒す方向を調節したり木の重みで鋸が挽けなくならないよう切り口に差し込む道具を矢という[1]。
このほか伐採の機械にハーベスター(高性能林業機械)がある[2]。
斧、チェーンソーを用いて、立ち木を伐採する職業やその手法については「樵#伐採作業」を参照。
主伐
主伐は、森林の樹木を収穫するために伐採すること。林業の主たる収入の源泉。皆伐と択伐がある。樹冠が高く利用価値のある上層木を伐採する上層伐採である。
皆伐
皆伐は、対象となる区画にある森林の樹木を全て伐採すること。主伐の一手法。
皆伐は、伐採のための経費が少なくてすむことから、収入をより多くするためには合理的な方法であるが、周囲の環境に与える影響が大きいことから、近年は区画の面積を小さくして環境への負荷を軽減するようになっている。
なお、日本においては昭和中期までの植林における伐採は、尾根筋を大きく残すもので、皆伐であっても山肌一面を裸にするような施行は行わなかったようである。
択伐
択伐は、対象となる区画から伐期に達した木など一定の基準で樹木を選び、適量ずつ数年から数十年おきに抜き切りして、林内での更新を図ること。
対象となる林分からその成長量分に該当する材積以内の木を伐採するという手法で行なわれることから、持続的な林業経営が行なえる。一方、伐採量の決定が困難である。 また、10 - 20 %程度の本数率で伐採することもあり、残された樹木はそのまま育成され、一定年数後に同様に択伐が繰り返される。 なお、伐採により大きな空き地が生じた場合には、苗木が植栽されることもある。
一般に、択伐は狙った特別な樹木のみを切り、それ以外の樹木は切らないので森林への影響は小さいと考えられる。そのため、刈り跡に新たな樹木が生長すれば、手をつけたことがわからない場合もあり得る。いわゆる原生林といわれる森林においても、実際にはこのような過程があるものが含まれる(人工林や天然林の)可能性があり、注意を要する。
なお、環境に考慮して道路を開設しないと、このような判断は正しいとは言えない例がある。たとえば熱帯多雨林の荒廃の一因に択伐があり、この場合、ある樹木に機械を運んで近づけるため、重機が通る幅で周囲を切り倒して進むことになり、1本の木を切るために広い面積の森林を荒廃させている。
ドイツなどでは木材が立ち木の状態のまま販売されることもあるが、森林1ヘクタール分の木に番号を付け、樹種や成長具合、虫の生態などをマーテルスコープに記録して、木の価値をより慎重に見積もる手法も開発されている[3]。
間伐
間伐は、樹木の生長に伴って混み合ってきたが主伐には至らない森林で、樹木の生育を促すために間引くための伐採である。森林の荒廃を防ぐことで自然環境を守る事、林業では長期的な収入を得る事を目的とする[4]。また、林床に太陽光線が届くようになり、日当たりが改善する事で下草が生育しやすい環境ができる。このため、土壌の流出防止にも繋がることから、土砂災害防止のためにも重要視される保育作業である。
日本国内の人工林は太平洋戦争終戦前後に政策的に植えられたスギやヒノキが多く、2010年代には伐採期を迎えている。人工林や里山など人の手が入った天然林で行われる。樹木相互の競争に負けた劣勢木や入皮が生じた木などを中心に伐採し、将来木材としての利用価値が高いと思われる樹木を残すなどする定性間伐と、伐採経費を抑えるために機械的に一定量を伐採する定量間伐とに大別される。
そんな中でいわゆる「放置林」の増加による森林の荒廃が深刻化しており、安価な輸入木材の流入に伴う価格下落から、採算が合わずに森林管理が行き届かない地域が増えている。 必要な時期に間伐を行わない場合、材質が低下し製品としての価値が無くなるばかりでなく、森林全体が不健康となり、森林の持つ公益的機能が十分に発揮されないおそれが生ずる。間伐を行わないことにより、細く弱い木が林立してしまった状態は「線香林」「もやし林」と呼ばれる。こうなると日光が下まで届かなくなり、下草が生えなくなるため保水力が低下し、ちょっとした風雨で木は倒れ、表土が流出しやすくなる。さらに、線香林化してから無理な間伐を行うと、残った木も自然災害で全滅しかねないため、こうなってしまうと小規模な間伐を少しずつ行うしかなくなる。
そのための方法として、いくつかの列を作り、その部分の木をまとめて伐採する「列状間伐」や、木を伐採せず皮を剥いて立ち枯れさせる「巻枯らし間伐」、表皮を剥がして水分を抜くことで1年ほどで枯れさせる「皮むき間伐」などが実施されている。皮むき間伐は、表皮にナタや竹ベラで切れ目を入れてめくれた部分を人力で引っ張るだけなので重機を必要とせず、水分量が少なくなった後は軽いため簡単に運び出すこともできる。
日本においては、温暖化ガスである二酸化炭素を吸収する森林の機能を維持・拡大する目的もあって森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法(間伐等特措法)が制定されている[5]。
除伐
除伐は、将来にわたって育成することを目指すもの以外の種類の樹木の伐採。農における除草に相当。間伐と異なり、目的とする樹木の生長を促すためだけでなく、森林を管理する上で支障となる樹木を除去する側面もある。しかし近年では、生物多様性や環境保全の観点から、目的の樹木でなくても残す方法が認知されつつある(針広混淆林)。
本数調整伐
本数調整伐は、日本独自の用語。主として治山事業において行なわれる伐採の名称であり実際の施業は間伐に酷似するが、主目的が当該保安林機能の維持増進である。
脚注
- ^ a b c “山で働く”. 熊本県総合博物館ネットワーク・ポータルサイト. 2019年11月2日閲覧。
- ^ ハーベスタ(伐倒・枝払い・玉切り・集積)[リンク切れ]林野庁ホームページ
- ^ 「What is Marteloscopes?」。
- ^ 但し、日本における現状は、高度成長期に需要を見込まれて植林されたものの、木材以外の材料へのシフト、安価な輸入木材の普及などの事情変化から国内森林の経済的価値が低下し、間伐されていない所も多いようである。収入を得る目的というよりは、環境保全、土砂災害防止など已むにやまれぬ間伐をしている所もある。また、費用面から間伐材を運び出せず、山にそのまま放置していることもある。
- ^ 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法 林野庁ホームページ(2021年6月23日閲覧)
関連項目
伐採
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「ヴァナ・ディールの冒険者の生活」の記事における「伐採」の解説
「Logging Point」にまさかりを使用することで、木材を伐採可能。
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伐採
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伐採は19世紀初頭に背景地で始まったが、木の種類、泥炭地、火事の頻度などの理由から、実際には発展しなかった。
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伐採
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「プロメテウス (木)」の記事における「伐採」の解説
1950年代に年輪年代学の研究者らは、最も長く生きている木を見つけ出そうと活発な調査を行なった。というのも、そうした年輪の分析は様々な研究目的に応用可能だからであり、具体的には過去の気候の評価、考古遺跡の年代測定、そして生命が潜在的に持つ最大寿命はいかほどかという基本的な科学的問題に対する取り組みといったものが挙げられる。エドワード・シュルマンは、カリフォルニアのホワイトマウンテンズに生えているものに限らず、ブリスルコーンパインは知られている限りで最も長く生きる種であることを発見した。これにより、シュルマンが1957年に4700歳以上と見積もったメトシェラより長寿の、ブリスルコーンパインの古樹を発見しようという興味が一気に掻き立てられた。 ドナルド・ラスク・カリー(英語版)は当時、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の大学院生で、年輪年代学で小氷期の気候変化を研究していた。1963年に彼はスネーク・レンジにおけるブリスルコーンの個体群全般、特にホイーラー・ピークのものに着目するようになった。いくつかの木のサイズ、成長速度、成長形態から、彼はその山には非常の樹齢の長い標本があることを確信するに至り、いくつかの木からコア・サンプルを採り、それらが樹齢3000年を超えることを発見した。しかし WPN-114 からは他の木と同じようにコア・サンプルを得ることができなかった。ここから、話が食い違ってくる。コア・サンプルを採る代わりに木を伐り倒して輪切りにしたのは、カリーがそう望んだからか、森林局の職員がそう勧めたからかは明らかでない。またコア・サンプルを得られなかった理由もはっきりしない。一説には、唯一の長いボーリング機を壊してしまい(あるいは抜けなくなってしまい)、その調査期間末まで代わりを調達できなかったのだという。他にも、2個あったボーリング機を両方壊してしまったとか、コア・サンプルを採るのが難しすぎたとか、コア・サンプルだけでは木の輪切りほど決定的な情報が得られないからといった話が出されている。 加えて、ホイーラー・ピークの森においてプロメテウスがどれだけ目立っていたかについても見解が分かれている。伐採を決めたカリーや森林局の職員は、プロメテウスはその森に数多くあった大きな古樹の一本に過ぎなかったと断言している。しかし伐採の決定と実行に関わった者のうち少なくとも一人は、プロメテウスは目に見えて独特で、その一帯の他の木よりも明らかに古かったと確信している。関係者の少なくとも一人が言うところには、カリーも当時はそれを認めており(カリー自身は否定しているが)、他のメンバーらは、外見で判断する限りプロメテウスは他より明らかにとても古い木だと議論していたそうである。 他にも不明瞭な点として、カリーの研究領域を考えると、このような古樹をなぜ伐り倒す必要があったのかという事がある。小氷期が始まったのは高々600年前であり、彼はその期間に関していくらでも他の多くの木からデータを得ることができたであろう。しかし1965年の『Ecology』誌に掲載されたカリーの原報 (original report) において、彼は小氷期を紀元前2000年から現代までとし、現在受け入れられている説よりはるかに長い期間を設定している。これが当時の主流の説だったかどうかは不明である。この論文で、カリーは木を伐り倒した理由として、小氷期の研究に有用であるという点に加えて、(年輪年代学者らが議論していたように)これほど長寿のブリスルコーンパインはカリフォルニアのホワイトマウンテンズに限って見られるものなのか調べたかったという点を挙げた。 ともあれ理由は何であれ、プロメテウスは1964年8月に伐り倒されて輪切りにされ、まずはカリーが、後年には他の研究者らがそれらのいくつかを持ち出して調査した。最終的に輪切りやその欠片は様々な場所に落ち着き、それには例えばグレートベースン国立公園ビジター・センター、イーリー・コンベンション・センター(ネバダ州イーリー(英語版))、アリゾナ大学年輪研究所(アリゾナ州ツーソン)、合衆国森林局の森林遺伝学研究所(カリフォルニア州プラサービル)など、一般に公開された施設もある。
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伐採
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 15:06 UTC 版)
1560年頃大隅正八幡宮(鹿児島神宮)の改築にあたって屋久島からスギ・ヒノキ材が運ばれたことが同神宮の石碑に記されている。これが記録に残る初の屋久杉の伐採利用である。 また1587年の九州制圧後、石田三成が島津義久に命じて屋久島の木材資源量の調査を行っており、1590年頃に小豆島の大型船11隻が京都方広寺大仏殿造営のための屋久杉材を大阪へ運んだとされる。 江戸時代に入り、屋久島出身で薩摩藩に仕えていた日蓮宗の僧で儒学者の泊如竹が屋久島の島民の貧困を目にして屋久杉の伐採を島津家に献策したとされ、1640年頃から山岳部奥地の本格的な伐採が始まった。 屋久杉は船材・建築材など様々な形で製品化されたが、多くは平木と呼ばれる屋根材に加工され、出荷された。屋久杉は薩摩藩により専売制のもとにおかれて販売が独占された。島民は薩摩藩に年貢として主に平木を納め、またそれ以外の様々な産物も平木に換算して石高が計算され、いわば「平木本位制」ともいうべき経済統制がおこなわれた。 また、年貢の割り当て分以外の屋久杉は、米その他の品物と交換される形で薩摩藩に買い上げられ、島民の収益となった。 明治時代、1873年の地租改正で島の90%以上が国有地とされ、島民による伐採が制限された。これを不服とし屋久島側が国有林の払い戻し(返却)を求めて裁判を起こすが敗訴した。しかしこれによる島の経済的困窮が問題となり、1921年に山林局鹿児島大林区署によって「屋久島国有林経営の大綱」が発令された。大綱の内容は次の4点。 前岳部分を地元利益になるよう取り扱う 薪炭林利用を可能にする 伐採・造林には地元就業を誘導しトリモチ原木(ヤマグルマ)供給に努める 国が林道建設と屋久島一周道路の費用負担をする 判決で国有林化が決定し、屋久杉伐採は本格的に開始される。 2001年、各種の保護区以外の国有林では伐採可能な林分を切り尽くし、天然屋久杉伐採は終了した。
※この「伐採」の解説は、「屋久杉」の解説の一部です。
「伐採」を含む「屋久杉」の記事については、「屋久杉」の概要を参照ください。
「伐採」の例文・使い方・用例・文例
- その年の材木の伐採量は2千トンだった
- 森林伐採がオセロットの生息地を減らした。
- その伐採者の腕はとても太かった。
- 森林伐採によって風景が変わった。
- その駅前の街路樹が伐採されている事が気になった。
- この地域で新たに森林が伐採される。
- この地域で新たに森林が伐採されることになれば、環境への影響が深刻である。
- 山林(の樹木)を伐採する.
- 森の木を伐採する.
- 森林地帯を伐採する.
- その種は森林伐採によって絶滅した.
- 開発のため樹木が伐採され山が崩されてゆく.
- 森林の伐採が今日の深刻な環境問題のひとつになっている.
- (木のような)何かを伐採する行為
- 火事や伐採で縮小していた森林の再生(植林)
- 材木用に木を伐採する仕事
- キングは以前はこれらの森林を伐採していた
- 伐採、火事などの後に、森を再建する
- 下生えの伐採された松
- 伐採(あるいは火事や風)によって木くずが散らかった森の空き地
伐採と同じ種類の言葉
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