伐採とは? わかりやすく解説

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ばっ‐さい【伐採】

読み方:ばっさい

[名](スル)山林などの樹木切り出すこと。「大木を—する」


伐採

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/19 21:13 UTC 版)

アメリカ合衆国での伐採風景(20世紀初頭)
間伐展示林(東京都あきる野市

伐採(ばっさい)は、森林を伐り倒すことであり、通常は丸太を生産する行為をいう。林業における伐採の種類には主伐(しゅばつ)、間伐(かんばつ、Thinning)、除伐(じょばつ)、皆伐(かいばつ)、択伐(たくばつ)がある。

過剰な伐採により森林の維持・回復が困難になる現象については「森林破壊」を参照。

伐採の方法

チェーンソーが登場するまではで木を切り倒していた[1]。 木を倒す側に斧でに三角の切り込みを入れ、反対側から斧または鋸で切り倒す[1]。切り倒す方向を調節したり木の重みで鋸が挽けなくならないよう切り口に差し込む道具を矢という[1]

このほか伐採の機械にハーベスター(高性能林業機械)がある[2]

斧、チェーンソーを用いて、立ち木を伐採する職業やその手法については「樵#伐採作業」を参照。

主伐

主伐は、森林の樹木を収穫するために伐採すること。林業の主たる収入の源泉。皆伐と択伐がある。樹冠英語版が高く利用価値のある上層木を伐採する上層伐採である。

皆伐

皆伐は、対象となる区画にある森林の樹木を全て伐採すること。主伐の一手法。

皆伐は、伐採のための経費が少なくてすむことから、収入をより多くするためには合理的な方法であるが、周囲の環境に与える影響が大きいことから、近年は区画の面積を小さくして環境への負荷を軽減するようになっている。

なお、日本においては昭和中期までの植林における伐採は、尾根筋を大きく残すもので、皆伐であっても山肌一面を裸にするような施行は行わなかったようである。

択伐

択伐は、対象となる区画から伐期に達した木など一定の基準で樹木を選び、適量ずつ数年から数十年おきに抜き切りして、林内での更新を図ること。

対象となる林分からその成長量分に該当する材積以内の木を伐採するという手法で行なわれることから、持続的な林業経営が行なえる。一方、伐採量の決定が困難である。 また、10 - 20 %程度の本数率で伐採することもあり、残された樹木はそのまま育成され、一定年数後に同様に択伐が繰り返される。 なお、伐採により大きな空き地が生じた場合には、苗木が植栽されることもある。

一般に、択伐は狙った特別な樹木のみを切り、それ以外の樹木は切らないので森林への影響は小さいと考えられる。そのため、刈り跡に新たな樹木が生長すれば、手をつけたことがわからない場合もあり得る。いわゆる原生林といわれる森林においても、実際にはこのような過程があるものが含まれる(人工林天然林の)可能性があり、注意を要する。

なお、環境に考慮して道路を開設しないと、このような判断は正しいとは言えない例がある。たとえば熱帯多雨林の荒廃の一因に択伐があり、この場合、ある樹木に機械を運んで近づけるため、重機が通る幅で周囲を切り倒して進むことになり、1本の木を切るために広い面積の森林を荒廃させている。

ドイツなどでは木材が立ち木の状態のまま販売されることもあるが、森林1ヘクタール分の木に番号を付け、樹種や成長具合、虫の生態などをマーテルスコープ英語版に記録して、木の価値をより慎重に見積もる手法も開発されている[3]

間伐

間伐後のスギ林(神奈川県相模原市

間伐は、樹木の生長に伴って混み合ってきたが主伐には至らない森林で、樹木の生育を促すために間引くための伐採である。森林の荒廃を防ぐことで自然環境を守る事、林業では長期的な収入を得る事を目的とする[4]。また、林床太陽光線が届くようになり、日当たりが改善する事で下草が生育しやすい環境ができる。このため、土壌の流出防止にも繋がることから、土砂災害防止のためにも重要視される保育作業である。

日本国内の人工林太平洋戦争終戦前後に政策的に植えられたスギヒノキが多く、2010年代には伐採期を迎えている。人工林や里山など人の手が入った天然林で行われる。樹木相互の競争に負けた劣勢木や入皮が生じた木などを中心に伐採し、将来木材としての利用価値が高いと思われる樹木を残すなどする定性間伐と、伐採経費を抑えるために機械的に一定量を伐採する定量間伐とに大別される。

そんな中でいわゆる「放置林」の増加による森林の荒廃が深刻化しており、安価な輸入木材の流入に伴う価格下落から、採算が合わずに森林管理が行き届かない地域が増えている。 必要な時期に間伐を行わない場合、材質が低下し製品としての価値が無くなるばかりでなく、森林全体が不健康となり、森林の持つ公益的機能が十分に発揮されないおそれが生ずる。間伐を行わないことにより、細く弱い木が林立してしまった状態は「線香林」「もやし林」と呼ばれる。こうなると日光が下まで届かなくなり、下草が生えなくなるため保水力が低下し、ちょっとした風雨で木は倒れ、表土流出しやすくなる。さらに、線香林化してから無理な間伐を行うと、残った木も自然災害で全滅しかねないため、こうなってしまうと小規模な間伐を少しずつ行うしかなくなる。

そのための方法として、いくつかの列を作り、その部分の木をまとめて伐採する「列状間伐」や、木を伐採せず皮を剥いて立ち枯れさせる「巻枯らし間伐」、表皮を剥がして水分を抜くことで1年ほどで枯れさせる「皮むき間伐」などが実施されている。皮むき間伐は、表皮にナタ竹ベラで切れ目を入れてめくれた部分を人力で引っ張るだけなので重機を必要とせず、水分量が少なくなった後は軽いため簡単に運び出すこともできる。

日本においては、温暖化ガスである二酸化炭素を吸収する森林の機能を維持・拡大する目的もあって森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法(間伐等特措法)が制定されている[5]

除伐

除伐は、将来にわたって育成することを目指すもの以外の種類の樹木の伐採。農における除草に相当。間伐と異なり、目的とする樹木の生長を促すためだけでなく、森林を管理する上で支障となる樹木を除去する側面もある。しかし近年では、生物多様性や環境保全の観点から、目的の樹木でなくても残す方法が認知されつつある(針広混淆林)。

本数調整伐

本数調整伐は、日本独自の用語。主として治山事業において行なわれる伐採の名称であり実際の施業は間伐に酷似するが、主目的が当該保安林機能の維持増進である。

脚注

  1. ^ a b c 山で働く”. 熊本県総合博物館ネットワーク・ポータルサイト. 2019年11月2日閲覧。
  2. ^ ハーベスタ(伐倒・枝払い・玉切り・集積)[リンク切れ]林野庁ホームページ
  3. ^ 「What is Marteloscopes?」
  4. ^ 但し、日本における現状は、高度成長期に需要を見込まれて植林されたものの、木材以外の材料へのシフト、安価な輸入木材の普及などの事情変化から国内森林の経済的価値が低下し、間伐されていない所も多いようである。収入を得る目的というよりは、環境保全、土砂災害防止など已むにやまれぬ間伐をしている所もある。また、費用面から間伐材を運び出せず、山にそのまま放置していることもある。
  5. ^ 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法 林野庁ホームページ(2021年6月23日閲覧)

関連項目


伐採

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/18 16:28 UTC 版)

ヴァナ・ディールの冒険者の生活」の記事における「伐採」の解説

Logging Point」にまさかり使用することで、木材を伐採可能。

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伐採

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 03:51 UTC 版)

アカディ半島」の記事における「伐採」の解説

伐採は19世紀初頭背景地で始まったが、木の種類泥炭地火事頻度などの理由から、実際に発展しなかった。

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伐採

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 23:36 UTC 版)

プロメテウス (木)」の記事における「伐採」の解説

1950年代年輪年代学研究者らは、最も長く生きている木を見つけ出そう活発な調査行なったというのもそうした年輪分析様々な研究目的応用可能だからであり、具体的に過去の気候評価考古遺跡年代測定、そして生命潜在的に持つ最大寿命いかほどかという基本的な科学的問題対す取り組みといったものが挙げられる。エドワード・シュルマンは、カリフォルニアホワイトマウンテンズ生えているものに限らず、ブリスルコーンパインは知られている限りで最も長く生きる種であることを発見した。これにより、シュルマン1957年に4700歳以上と見積もったメトシェラより長寿の、ブリスルコーンパインの古樹発見しようという興味一気掻き立てられた。 ドナルド・ラスク・カリー(英語版)は当時ノースカロライナ大学チャペルヒル校大学院生で、年輪年代学小氷期気候変化研究していた。1963年に彼はスネーク・レンジにおけるブリスルコーンの個体群全般、特にホイーラー・ピークのものに着目するようになったいくつかの木のサイズ成長速度成長形態から、彼はその山には非常の樹齢の長い標本があることを確信する至りいくつかの木からコア・サンプルを採り、それらが樹齢3000年超えることを発見した。しかし WPN-114 からは他の木と同じようにコア・サンプルを得ることができなかった。ここから、話が食い違ってくる。コア・サンプルを採る代わりに木を伐り倒して輪切りにしたのは、カリーがそう望んだからか、森林局の職員がそう勧めたからかは明らかでない。またコア・サンプルを得られなかった理由はっきりしない一説には、唯一の長いボーリング機を壊してしまい(あるいは抜けなくなってしまい)、その調査期間末まで代わり調達できなかったのだという。他にも、2個あったボーリング機を両方壊してしまったとか、コア・サンプルを採るのが難しすぎたとか、コア・サンプルだけでは木の輪切りほど決定的な情報得られないからといった話が出されている。 加えて、ホイーラー・ピークのにおいてプロメテウスがどれだけ目立っていたかについても見解分かれている。伐採を決めたカリー森林局の職員は、プロメテウスその森に数多くあった大きな古樹一本に過ぎなかったと断言している。しかし伐採の決定実行に関わった者のうち少なくとも一人は、プロメテウス目に見えて独特で、その一帯の他の木よりも明らかに古かった確信している。関係者少なくとも一人が言うところには、カリー当時はそれを認めており(カリー自身否定しているが)、他のメンバーらは、外見判断する限りプロメテウスは他より明らかにとても古い木だ議論していたそうである。 他にも不明瞭な点として、カリー研究領域考えると、このような古樹をなぜ伐り倒す必要があったのかという事がある。小氷期始まったのは高々600年前であり、彼はその期間に関していくらでも他の多くの木からデータを得ることができたであろう。しかし1965年の『Ecology』誌に掲載されカリーの原報 (original report) において、彼は小氷期紀元前2000年から現代までとし、現在受け入れられている説よりはるかに長い期間を設定している。これが当時主流の説だったかどうかは不明である。この論文で、カリーは木を伐り倒した理由として、小氷期研究有用であるという点に加えて、(年輪年代学者らが議論してたようにこれほど長寿のブリスルコーンパインはカリフォルニアホワイトマウンテンズ限って見られるものなのか調べたかったという点を挙げたともあれ理由何であれプロメテウス1964年8月に伐り倒され輪切りにされ、まずはカリーが、後年には他の研究者らがそれらのいくつか持ち出して調査した最終的に輪切りやその欠片様々な場所に落ち着き、それには例えグレートベースン国立公園ビジター・センター、イーリー・コンベンション・センター(ネバダ州イーリー英語版))、アリゾナ大学年輪研究所アリゾナ州ツーソン)、合衆国森林局の森林遺伝学研究所カリフォルニア州プラサービル)など、一般に公開され施設もある。

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伐採

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 15:06 UTC 版)

屋久杉」の記事における「伐採」の解説

1560年大隅正八幡宮鹿児島神宮)の改築にあたって屋久島からスギ・ヒノキ材が運ばれたことが同神宮石碑記されている。これが記録に残る初の屋久杉の伐採利用である。 また1587年九州制圧後、石田三成島津義久命じて屋久島木材資源量調査行っており、1590年頃に小豆島大型船11隻が京都方広寺大仏殿造営のための屋久杉材を大阪運んだとされる江戸時代入り屋久島出身薩摩藩仕えていた日蓮宗の僧で儒学者泊如竹屋久島島民貧困を目にして屋久杉の伐採を島津家献策したとされ、1640年頃から山岳部奥地本格的な伐採が始まった屋久杉は船材・建築材など様々な形製品化されたが、多く平木呼ばれる屋根材加工され出荷された。屋久杉薩摩藩により専売制のもとにおかれて販売独占された。島民薩摩藩年貢として主に平木納め、またそれ以外様々な産物平木換算して石高計算され、いわば「平木本位制」ともいうべき経済統制おこなわれたまた、年貢割り当て以外の屋久杉は、米その他の品物と交換される形で薩摩藩買い上げられ、島民収益となった明治時代1873年地租改正で島の90%以上が国有地とされ、島民による伐採が制限された。これを不服とし屋久島側が国有林払い戻し返却)を求めて裁判起こす敗訴した。しかしこれによる島の経済的困窮問題となり、1921年山林局鹿児島大林区署によって「屋久島国有林経営大綱」が発令された。大綱内容次の4点前岳部分地元利益になるよう取り扱う 薪炭林利用可能にする 伐採・造林には地元就業誘導しトリモチ原木ヤマグルマ供給努める 国が林道建設屋久島一周道路費用負担をする 判決国有林化が決定し屋久杉伐採は本格的に開始される2001年各種保護区以外の国有林では伐採可能な林分を切り尽くし天然屋久杉伐採は終了した

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