トルバス神曲学院
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 14:16 UTC 版)
「神曲奏界ポリフォニカの登場人物」の記事における「トルバス神曲学院」の解説
シダラ・レイトス 声:加古川高(PC版)/石田彰(PS2版)/速水奨(TVアニメ版) トルバス神曲学院の名物学院長。七楽門のシダラ家出身。普段はのほほんとした癒し系の言葉遣いをしており、その容姿も相まって学生達に親しまれている。しかし、神曲楽士としての本来の顔を覗かせた際には、まるで別人のような鋭い雰囲気を漂わせる。ユギリ姉妹の父親ユギリ・パルテシオの師で、彼からプリネシカの件を聞いていたため、彼女の正体を知っていた。 実はかつて四楽聖の中で最強と呼ばれていた男で、そのリーダーを務めていた。そして、奏世楽器<無限鍵盤>の守護者として世界の様々な秘密を知る立場にあったが、奏世楽器の扱いについては破壊すべきという考えを持っており、まだ健在だった頃に一度破壊を試みて失敗したことがある。また、第一次<嘆きの異邦人>動乱時に盟主「クチバ・カオル」を打倒し、コーティカルテを封印し、その場に居合わせた幼いフォロンの記憶を封じた者でもある。学院の創立当初から学院長を務めているが、四楽聖の件も含めて一般人には全ての事実が秘密にされているため、教員や学生達からは単に「学院長」とのみ呼ばれ誰も名前や正体を知らない。フォロン達を除いてそれを知っているのは、政府要人や一部の裏組織の幹部など、ごく限られた人間のみ。 100年以上前の記録からその名前は登場するのだが、その容姿は学生と変わりないほど若々しい。また、防音室での演奏を遥か離れた学院長室で聞いているなど、容姿の若さを含め「単なる人間」とは到底思えない一面を持っている。その正体は、エレインドゥースの力により作られた人体の“器”にレイトスの“魂”のみが入っているという、プリネシカとは少し違う形の半精霊。エレインドゥースの力で延歳しているため普通の人間よりも永く生きている(ただし、必ず魂や精神が老いるためにいつかは死を迎える)。また、容姿も世間の目を欺くために若いままで固定している。そのため、エレインドゥースとの契約解除は直接的に死を意味することになる。 フォロンを神霊使いになりうる逸材と見込んで、彼の育成計画を進めつつ陰からその動向を観察し時には誘導していたが、危機に陥っても自力で窮地を切り抜けさせるために手は貸さなかった。その計画自体もコーティカルテを封印した直後から既に始まっており、やがて来たる戦いに2人を利用すべく12年の歳月を掛けて進められてきた。フォロンのトルバス神曲学院への入学も、進級に際して封印解除されたコーティカルテとの再会も全て計画の内であった。このように目的のためならどんなことでもする冷徹な策士の一面を持つが、そんな酷い人間である自分自身を冷めた目線で見てもいる。 現在は魂の衰弱が進んでおり、時には過労という名目で入院したりもしているが、それでもまだ現役で学院長を務め続けている模様(現在最も新しい時期の話であるエイフォニック・ソングバードでも、まだ学院長をしている記述がある)。エレインドゥース・オル・タイトランテル 声:佐々木あかり/生天目仁美 シダラ・レイトスの契約精霊。始祖精霊の一柱で、翠の女神。始祖精霊の中では、コーティカルテの妹の一人。身長は170cmでコーティカルテと同じだが、エレインドゥースの方がむっちりとした感じとのこと(神奈月コメント)。精霊には珍しい読書家。愛称はエレイン。落ち着いた理知的な性格をしているが、割り切りが早いために時として冷酷に見えることがある。また、自分が気に入った相手には従順に尽くすが、そうでない相手には冷徹で無関心な態度をとり、言動も辛辣になる。そのため、メリディアからは「歩く氷河期到来」だの「超毒舌二重人格」だのと陰口を叩かれている。 第一次<嘆きの異邦人>動乱においてクチバ・カオルとコーティカルテのコンビの打倒に成功するが、その戦いで致命傷を負ったシダラ・レイトスを生かすために、自らの力を裂いて“器”を作り出しそこに“魂”を移した。現在はレイトスの延歳効果と擬似的な肉体の維持に力の大部分が裂かれているため、中級精霊以下程度の力しか出すことが出来ない。契約解除することで元の状態に戻れるが、今のところ彼女にその意志は無く、レイトスの魂が限界を迎えるまでは彼と共に歩むという選択肢を選んでいる。 ウォルフィス・ヴォダ・セイフォーン 声:加古川高/- 精霊契約ではなく常駐雇用されて、トルバス神曲学院で警備や授業のサポートをしているセイロウ枝族の中級精霊。愛称はウォルフ。その姿は、一般的なセイロウ枝族が採る青白い巨躯の狼型。<青騎士>の異名を持つセイロウ枝族に相応しい、義理堅く生真面目で面倒見のよい性格をしており、狼というより大型の番犬といった風情。学院生からの人気が高く、ペットの犬のように思われている節がある。学院長と並んで創立当初から学院にいる古株であり、幾多の生徒達を見守り見送ってきた。中級精霊だが、神曲に関する選り好みが少ないためにこの仕事をしている。だが時として、敵の神曲の影響を受けてしまうというフリーの精霊ならではの弱点もある。 ギガちゃん 声:由宇翼/- ペルセルテに懐いている学院常駐精霊のボウライ。キネティック版・小説版では「くぴ」と鳴いている。アニメ第2期では「ギガー」と鳴いている。一般的なボウライより少しだけ知能が高く、ペルセルテとプリネシカが学院見学に来た際に学院内の案内をしてくれた。ボウライはどの個体も同じ姿なので人間には識別が困難なのだが、ペルセルテだけはギガちゃんと他のボウライの区別ができる。 本来ボウライには個体名などはないのだが、見学の際にペルセルテが命名。以降、在学期間中ペルセルテがその名前を使い続けていたため、他の学生達からも同じように呼ばれることになった(名前を呼ぶと反応するため、それで区別している様子)。 フォロンやペルセルテ達が卒業した後も学院にいるので、学院生であるサジ・シェリカとも交流がある。たまに学院を抜け出してペルセルテの元に遊びに行っていることがあり、ホライズン崩壊事件でも彼女と行動を共にし救助に尽力した。また、ペルセルテが学院に入学し最初に召喚した精霊でもある(ユギリ・ペルセルテの項 参照)。プリネシカは「ギガさん」と呼んでいる。 ユズリハルルカ・ナ・ダフニーフィラム 声:浜田夏樹/- トルバス神曲学院に常駐雇用されているフマヌビックの中級精霊。身長166cm、B87W58H88。藍色の着物を纏った黒髪の少女の姿をしている。初出はコミック版のカーディナル・クリムゾンで、著者である緋呂河ともがデザインしたオリジナルキャラ。出番も1シーンのみで最初は名前すらなかったが、その後短編集「まぁぶる すぺしゃる」にて小説の方にも登場することとなり、そこで正式に名前が付けられた。これ以降、榊一郎の担当するクリムゾンシリーズやエイフォニック・ソングバードシリーズにも時々登場するようになる。 ウォルフィスやミゼルドリット同様に学院と労務契約を結んでおり、学生からは愛称の「ユズリハ」と呼ばれている。学院の渉外担当を請け負っているため、ウォルフィス達と異なり学生の遭遇率はかなり低い。そのため学生たちから稀少存在扱いされており、「ユズリハを見ればその日一日は幸運に恵まれる」という噂が生まれ、幸せの精霊という渾名が付けられている。突発的な事態に弱いのか、精霊美人コンテストへの出場に際して理不尽極まる要求をしてくるユフィンリー相手にパニックに陥り、ただの人間である彼女に精霊であるユズリハが腕ずくで拘束されるという失態を見せた。これ以降弄られ役が定着し、登場するたびに何かしら酷い目に合わされる率が高くなった。 プリネシカの専門課程への進級試験の際、彼女の神曲に応じて姿を見せた。進級試験で呼び出されたため、その際に受けた神曲をツケ扱いとして、今度何か用を思いついた時にはいつでも呼ぶようにと言い残した。神曲を受けたことでプリネシカの身体の事情には気付いたが、口外はしていない。 コマロ・ダングイス 声:菱田盛之/浅沼晋太郎 裕福な家の出身で、フォロンより二つ年上の後輩。使用する楽器は主にギター。自信過剰なイヤミキャラで、フォロンにはいつも見下した態度で接してくる。自分がシダラ・レイトスを超える天才であると思い込んでいるが、実際のところは単なる誇大妄想。自分に都合の悪いことは次の日には綺麗さっぱり記憶から消去される という特技?を持っており、そのためにどんなに失敗しようが顰蹙を買おうが全く成長することが無い。しかしそんな彼にも弱点があり、専属メイドのシノノメ・リュンナの長年に渡る躾により、メイドという単語を聞いただけで拒絶反応を起こし恐慌状態に陥るようになってしまった。 演奏家としての技術はレンバルトにも劣らないほど優れているが、自己中心的な思考しか出来ないために今までは神曲を奏でることが出来なかった。しかし、第二次<嘆きの異邦人>事件でようやく「聴いてくれる他者」の存在を自覚するに到り、神曲楽士としての切っ掛けを掴んだのだったが、再奏世の影響による記憶の改竄で、その体験は自分の洋上コンサートに殺到した観客が暴動まで起こしたという別の記憶に変わってしまい、神曲楽士ではなく音楽家となり世界中に自分の演奏を聞かせることが使命だと明後日の方向へ開眼してしまった(本人曰く、自分の下で全ての音楽(神曲含む)は統一され究極になる)。フォロン曰くある時期から「忘れる」ことを辞めたことで前に進めるようになり、学院を卒業後は「ちょっと偉そうで変わった演奏家」として芸能活動をしており、ある程度売れているようである。 アヤキ キネティックノベル版において彼女が描かれているCGが存在するが、その時は名無しキャラ。後に出たコミック版にて名前が付けられた。フォロンとレンバルトの専門課程クラスの委員長を務める少女。黒髪のロングヘアー。レンバルトに好意(ただし対抗意識やらの混じった興味という意味合いも強い)を持っていたが、結局それが実ることは無かった。ただ、コーティカルテがレンバルトに関して「アヤキ委員長と仲がいいので」と言っていることから、友達付き合いとしては卒業まで続いていた模様。フォロンがコーティカルテと同じ部屋で生活していることを聞き、「風紀が乱れる」と教務課に主張。その結果としてフォロンたちは二人部屋に移動することとなった。 ミナベ・トレス トルバス・スピリット・フェスタにおいて、メガフロート<ホライズン>でフォロンを中心にした合奏を披露する予定の、選抜生徒による模範演奏に参加した基礎課程二年の生徒。陽気な性格で、お祭り好きでゴシップ好きな賑やかな少女。一方的に参加要請をする運営側とそれの賛否で揉めた学院側とのゴタゴタが生徒に漏れ、敬遠されていたこの模範演奏に自ら立候補したのも、単に楽しめればいいという理由から。講師であるフォロンの女性関係に興味津々なため、場の空気を読まず質問をしてはコーティカルテを激昂させていた。ホライズン崩壊事件での出来事は、精霊に神曲を捧げることの意義や様々な立場の人間や精霊がいるということを、彼女が改めて考える機会になった。 カザマル・ナルニアーテ 学院に雇われている非常勤講師で、現役の神曲楽士。恰幅のいいおばさんで、面倒見が良いため生徒からも信頼されている。トランペットを主制御楽器としたトランク型の旧式単身楽団を愛用しているが、これは据え置き型のため、一度展開すると演奏中はその場から移動できなくなる。実力はそれなりに高く、昔は自分の事務所を持っていた。しかし結婚して家庭に入ってからは、育児や家事などの主婦業と神曲楽士との両立が難しいということで事務所をたたみ、収入は落ちるが代わりに時間の融通が利く学院の仕事に就いた。夫の名前はアークスタ、息子の名前はロニール。 反精霊団体「真実の道程」によって家族を人質にとられ、やむなくメガフロート<ホライズン>にて奏始曲「地獄変」を演奏し、ホライズン崩壊の直接的な原因を作ることになった。フォロン達によって拘束された後はおとなしく縛に付いていたが、<聖カエルレウムの虐殺>の影響で暴れ始めたミノティアスから生徒達を守るため、ミナベ・トレスに拘束を解かせて奏始曲を演奏することで逆に暴走を押さえつけた。その後も生徒達の指揮を執ってフォロンの神曲演奏を合奏により援護し、ディエスを倒すための手助けをした。事件解決後は、罪としてはいくつかの条例違反や無許可の神曲演奏だけで、しかも家族を人質に取られていたという事情も考慮され、情状酌量により執行猶予付きの軽い刑罰で済んだ模様。 ニシカ・ポークト トルバス神曲学院で精霊社会学を教える講師。神曲楽士の資格を有しているが、実は精霊を嫌悪する反精霊主義者。一方的に執心していた女性精霊を手に入れようと楽士になったが、神曲が合わなかったために彼女から契約を拒否されたという卑俗な理由で精霊を憎み始めた。だが結局、憎悪や怒りなどの感情も中途半端にしか持てていない。神曲学院の講師を引き受けたのも、講師という上の立場から未熟な学生を見下して優越感を得るため。その憎しみの正体は、中途半端な才能があったため自分は何でも出来る優れた人間なんだと優越感を抱いていたが、現実という壁に阻まれて挫折し、その責任を精霊に被せることで自尊心を保ったというもの。それゆえ、精霊を嫌いながらも神曲楽士という地位は捨てられず、精霊を害する手段を得ても後が怖くて実行に移せないというとんだ小物。 ギーネスという裏の出版物をさばく人間と繋がりがあり、彼から<聖カエルレウムの虐殺>の譜面のコピーを手に入れていた(ただし奏始曲だと勘違いしている)。譜面とそれを手にしたニシカ・ポークトを処分しに来たディエスに追われた際、身を守るために奏始曲だと勘違いしたまま<聖カエルレウムの虐殺>を演奏し、事態をさらに悪化させて被害を拡大させた。そのあまりの無様さがディエスの考える「人間らしさ」に見事に当てはまり、彼からは「豚」呼ばわりされ、「気に入った」証に一息ではなくじっくりと嬲り殺してやろうと宣言されていた。事件解決後は、事態悪化の原因とはいえ、実際にやったことはいくつかの条例違反や故買容疑に無許可の神曲演奏だけで、<聖カエルレウムの虐殺>の演奏に関しては故意ではなかったために、軽い刑罰にしか問えなかった模様。 クガノ・リュネア 三つ編みの髪型で眼鏡を掛け、いつも手袋を付けているカティオムの同級生。身体が弱く、頻繁に薬を服用している。反精霊主義者クガノ・ハブロスの孫娘で、トルバス神曲学院の生徒でありながら精霊嫌い。しかし、精霊を殺す方法を知るためにはまず精霊自体を知らなければならないと考え、トルバス神曲学院へと入学した。フォロンとカティオムは彼女にどこか自分達と似た部分を感じ取り、リュネアを放っておけないと常に気に掛けている。それがコーティカルテとシェルウートゥに妙な具合に誤解され、事態をさらにややこしくしていた。また、リュネア自身もフォロンとカティオムに対して何かを感じ、特に苛立つ存在として嫌っていた。 かつてカーマインという精霊に両親を殺された過去があり、彼女の一連の行動は全てカーマインへの復讐のための準備だった。両親が殺されたことがきっかけで精神に異常(いわゆるトラウマ)を来たしており、時折発作のように湧き上がる凶暴な破壊衝動を抑えるために自傷行為まで行っていた。そのため、手袋で隠している手は傷だらけになっている。しかし、「ホライズン崩壊事件」の際に明らかになった両親の死とカーマインの行動の本当の理由を知ったこと、この事件で祖父やカーマインが背負った重荷を理解したことで、前を向いて生きるようになる。その後もカーマインのことは嫌いだと口にはしながらも、もう以前のように本気で嫌悪し殺したいと思うようなことはなくなっていた。フォロンとカティオムとリュネアが、互いに感じていた「何か」は、精霊によって人生を変えられた者同士=同類であるということだった。 オミ・カティオム メニス帝国でも屈指の大企業である、オミテック工業の御曹司。オミ家の教育方針の賜物により、真面目で理性的な克己心の強い少年として育っている。ユギリ姉妹の友人で、彼女らには弟のように可愛がられている。シェルウートゥに恋しており、後継者としての道を捨ててでも人と精霊との壁を乗り越えようという苦難の道を選んだ。 「クラト・ロヴィアッド事件」を通じてフォロンとコーティカルテに出会い、2人の関係の在り方に理想と憧れを抱いている。事件解決後、フォロンの後を追って神曲楽士となるべく、それまで通っていた名門高校を中退してトルバス神曲学院へと入学する。今一番楽しみにしている授業は、月に1回のフォロンの特別講義。シェルウートゥ・メキナ・エイポーン カティオムの恋人で、神曲抜きで人間と関係を持っている珍しい精霊。上級精霊の中では平均的な力を持つ。清楚で美しい深窓の令嬢を思わせる容姿をしており、その性格は理性的で真面目だが少々気が弱い処がある。ストレスを内に溜め込むタイプで、思い詰めるあまり暴走気味な行動に出ることも。 クラト・ロヴィアッドの野心の被害者で、前の契約楽士モノミ・ラシュドージア を殺され支配楽曲「天国変」の実験台にされていた。その最中にカティオムと出会い、些細な触れ合いを重ねる中で互いに好意を持ち合うが、「天国変」により狂わされ存在の危機にあるシェルウートゥにその想いを受け入れることは出来なかった。だがフォロンとコーティカルテ、そしてカティオムの想いにより窮地を救われて以降は、奏始曲の後遺症を治療しながら常にカティオムに寄り添っている。 コドウ・ティント/アズール/ヴェルデ 声:すずきまこと/- ヴィレニスの神曲楽士養成学校「クララス音楽学院」から、サーフェルスと同時期にペルセルテたちのクラスへと転入してきた三つ子。身長は155cmで、胸はプリネシカと同じくらいのCカップとのこと(神奈月コメント)。特殊な環境で育ったために無感情に見えるほど無表情(レンバルト曰く感情と表情が一致させられていないだけ)で、世間一般の常識に著しく欠ける。ティントが赤、アズールが青、ヴェルデが緑のチョーカーを身につけている。三人ともが同じ型から抜き出してきたかの如くそっくりであり、髪型や声、仕草などでは判別がつかない。それぞれを判別する方法は服の襟に隠れたチョーカーの色だけだったが、ペルセルテの案でチョーカーを髪飾りとすることで少しは判別しやすくなった。ティントはフォロン担当、アズールはレンバルト担当と意味不明の行動を取ることもあったが、皆との触れ合いの中でその無感情ぶりも少しずつ変化していき、かろうじて好意と呼べるような微妙な反応を示すようになっていった。 まるで揃いの人形のような彼女らの正体は、第六教導団所属の実験部隊の兵士で、軍が極秘裏に生み出した精霊奇兵。禁忌の存在であることのカモフラージュとして、新たに<特装奇兵(アマルガム)>と名付けられた存在だった。名前も戸籍も全て仮のもので、本来は<特装奇兵>認識番号19(ティント)、21(アズール)、45(ヴェルデ)が正しい呼び名。第一次<嘆きの異邦人>動乱終結の頃より軍が研究を重ねた末に到達した完成体で、融合に適正を持つ肉体的・精神的に同質の人間を量産して、各人に個性が生まれないように調整や訓練を施し、部隊全てが均質な兵士となるよう考慮されている。そのため完璧な連携を誇り、精霊文字を刻んだ精霊への絶対的な武器「対精霊剣」を用いて三位一体で敵を葬る。人格や精霊の力も当時の不安定な精霊奇兵とは比べ物にならないほど安定しており、安定した半精霊であるプリネシカと比べても、身体能力や精霊部分の力の強さ、安定度は段違いに高い。その戦闘力は、対精霊装備も相まって三対一の条件下でならコーティカルテですら苦戦するほど。そんな彼女らだったが、こと諜報戦となると全くの無力で、常識の無さが任務の支障となっていた。フォロンやレンバルトに対する浸透工作も当然に上手くいかず、上官のサーフェルスも頭を抱えるほどだった。 奏世楽器奪取の作戦において、一人で戦いを挑んできたイアリティッケを破り、一時はコーティカルテをも退かせたが、フォロンが閃いた案により連携を崩され、ヴェルデを無力化されたことで数の優位と連携による隙の無さが崩され敗れる。その後は、人でも精霊でもない自分達は兵器であるという事実のみが存在意義と矜持を与えてくれるということを語り、作戦が失敗してもなお戦う意志を失わなかったが、これ以上の戦いは無意味と判断したサーフェルスの撤退命令によりフォロン達の前から去っていった。事件後は事後処理で第六教導団の指揮官も更迭され、軍内に行き場を無くしてサーフェルスの下に留まっていたが、彼の口添えで未だ処分保留中の他の特装奇兵達に先駆けて情報局への配置転換辞令が下り、一般常識などの再教育の結果次第で他の仲間達も全員情報局に引き取られることを知らされた。 社会人編ではサーフェルスの部下として活動している。 ツエシロ・サーフェルス 声:浜さとる/- 第二次<嘆きの異邦人>動乱の1年後に、ティント達の転校と同時期にトルバス神曲学院に講師として雇用された優秀な神曲楽士。身長182cm。主制御楽器はピアノ。著名な神曲楽士から連盟で推薦を受けるほどの経歴の持ち主であり、未だ若いにもかかわらず並の神曲楽士の10倍にもなる経験を積んでいる。神曲楽士には変わり者が多いのだが、彼は青年実業家のようにきっちりとスーツを着こなしていて、礼儀も弁えた常識的な言動をする。その無難な服装・態度・言動は、突出した存在へ対する周りからの風当たりを強くしないようにするためだと言い訳しているが、実際の中身は学院長(レイトス)と腹の探りあいをするほどの食えない人物。講師としては大変優秀で、退屈で人気もない法律学の授業を面白いものへと変えて教室を学生で埋めるほどだった。ティント曰く、彼の神曲(魂の形)はどこかフォロンに似ているものがある模様。 本職は陸軍情報局所属のスパイであり、階級は陸軍大尉。奏世楽器の在り処を調査するため、急遽チームを組むことになったコドウ三姉妹と共に陸軍より派遣されてきたエージェントだった。その立ち居振る舞いも全て職業柄から来ているものであり、コーティカルテ達が感じた違和感はそこに起因していた。任務ならば感情に左右されず親しい人間ですら殺せるほどに命令に忠実な軍人でありながら、任務を離れれば良心的な人物でもあり、内心では今回の作戦に、ひいては特装奇兵の存在やそれを生み出した者達の行動にも疑問を抱いていた。 ティント達特装奇兵の境遇に同情しながらも着実に任務をこなしていた彼だったが、結局作戦は失敗に終わり命令を出していたタカ派の将軍たちも失脚、任務終了に伴い学院を去った。しかし、スキャンダルの種になると軍上層部に疎まれ行き場を無くしていた特装奇兵達を、特殊戦用人員として引き取るよう情報局に口添えし、まずはその最初のメンバーであるティントらを人間らしくする再教育を担当することになった。 小説シリーズの社会人編にも登場し、ティント達を部下に相変わらず情報局のエージェントとして働いている。軍内部の内偵の過程で不正な資金の流れを追う内に、エンプティ・セットの組織と軍との繋がりへと辿り着き、狙われていたツゲ事務所の面々に協力することになる。
※この「トルバス神曲学院」の解説は、「神曲奏界ポリフォニカの登場人物」の解説の一部です。
「トルバス神曲学院」を含む「神曲奏界ポリフォニカの登場人物」の記事については、「神曲奏界ポリフォニカの登場人物」の概要を参照ください。
- トルバス神曲学院のページへのリンク