嘆きの異邦人
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「神曲奏界ポリフォニカの登場人物」の記事における「嘆きの異邦人」の解説
クチバ・カオル 声:立石めぐみ/- 四楽聖トワミ・ファーレンの一番弟子にして、その後継者となるはずだった女性。銀髪のロングに隻眼で、男のような話し方をする。愛用の単身楽団は〈茨姫〉(いばらひめ、Little Briar Rose)。以前のコーティカルテの契約者で、彼女の親友でもあった。前期<嘆きの異邦人>盟主。レイトスとの戦いで、相打ちに近い形で敗れ死亡した。 天才すぎたことと心が優しすぎたがゆえに壊れており、世界の成り立ちや「ダンテ」のことも気付いていてそれらを含んだ「今の世界」に絶望し新たな理想世界を創り出す「再奏世」を志すようになる。全ての罪を己が身に背負い、不条理と不平等が満ちる世界に戦いを挑むべく動乱を起こしたが、再奏世が成功しようが失敗しようが死んで罪を償うつもりだったため、武装蜂起する前日にコーティカルテとの契約解除を行っていた。しかも、自身が従える嘆きの異邦人のテロ活動の影に、何者(エンプティ・セット)かの思惑が絡んでいることも薄々感付いていた。登場の予定がなかったことなどが理由で、女性か男性か判別しにくい名前となっていたが、後に女性と判明。 サンテラ・ボルゾン 声:山岡五郎/上城龍也 後期<嘆きの異邦人>総裁。使用する楽器はピアノで、「再奏世」においては、<無限鍵盤>を担当した。前期<嘆きの異邦人>幹部の唯一人の生き残りで、クチバ・カオルの弟子でもあった。自らが新世界の神となるため、第二次<嘆きの異邦人>動乱を引き起こし「再奏世」を目指した。カオルの後継者を自称し、彼女の理想全てを理解したと豪語しているが、実際のところはその手段を理解しただけで理想の方は全く理解できておらず、神曲楽士の究極を極めるためという彼個人の独り善がりな考え方になっていた。 完全すぎる天才であるがゆえに孤独であり、しかしその事を自分では気付けなかった哀れな人物。ダングイスのような非常に自己中心的な性格をしているが、高い才能が「大事なこと」を気付かせないまま彼に一線を越えさせ、神曲楽士の地位にまで押し上げてしまった。再奏世で一度は神の領域に手を掛けた彼だったが、最後は戦いの中でフォロンによって自身の本質を暴かれ、神曲を奏でることが出来なくなり敗れ去った。そしてフォロン達との戦いの後、その場で戦いを見届けていたスノウドロップとブランカにより奏世楽器回収のついでに捕まえられ、海軍へと引き渡された。その後は筋を通すためと、一度は得た神の全能感を失ったことによる絶望により、獄中で舌を噛み切って自殺した。 アニメ版では世界の種子を破壊された後、フォロンに救いの手を差し伸べられるがそれを拒否。三強の3人と共に海底に沈んでいった。世界の種子 奏世楽器によって奏でられた「始原神曲」により誕生した、次の世界の元となる始祖精霊。まだ明確な意思も役割も持たず、それぞれの始祖精霊に分化すらしていない混沌そのものといえる存在。見た目は一つ目の巨大な球体で、周囲の世界そのものを飲み込みながら成長を続ける。意思がないためボルゾンの神曲で思いのままに操られるが、最後は彼が神曲を奏でることが出来なくなったため活動を停止。世界の崩壊を食い止めるため、コーティカルテによって破壊され消滅する。この際に世界の種子が吸収した世界は全て解放され、何らかの形で復元されたと『神曲奏界ポリフォニカ AFTER SCHOOL』にて語られた。 ライカ 声:佐々木あかり/佐久間紅美 サンテラ・ボルゾンの秘書兼愛人。キネティック版では素肌の上にスーツを着ていた。無限鍵盤を捜すために公社職員に変装してトルバス神曲学院に潜入したり、薬と神曲でダングイスを操り人形にしてフォロンに接触を図ったりした。常に冷静で闘い慣れしており、真の姿になったコーティカルテを前にしても平静を失わない。ボルゾンに代わって指示を出すこともあるが、楽士としての実力で得た地位ではないために三強達には格下扱いされている。キネティック版では明確な描写はなく生死不明。取り込まれていたとしても種子の破壊により解放されているため、世界のどこかで何らかの形で復元されていると考えられる。 アニメ版では奏世楽器の探索のためユフィンリーと接触するなど、ややテンションの高い感情的な人物として描かれた。アニメ版でのフルネームはカラザキ・ライカ。キネティック版と違い、世界を滅ぼすボルゾンへの盲目的な愛に基づく己の行動に迷いは一切なく、その純粋な想いから生まれる神曲でユフィンリーとウォルフィス達を苦しめたが、階下からゴリアーデの放った精霊雷の槍に貫かれて絶命した。彼女の想いは後にユフィンリーからボルゾンへ伝えられたが、届くことはなかった。バルゲス・ゴルト・グリディアム 声:むらさきヒカル/遠藤大智 ライカと契約するリカントラ形態の中級精霊。狸と人を合せたような姿を採る。豊富な戦闘経験を持った精霊だが、いかにも小悪党といった性格をしている。精霊雷で作った幻影で身を包んで二足歩行の狸(信楽焼の狸が近い)の姿を偽装し、ダングイスの契約精霊と偽って学院に潜入したこともある。その際にコーティカルテにより「タヌキモ(タヌキモドキ)」という渾名を付けられる。無限鍵盤を巡る攻防戦でレイトスとエレインドゥースによって滅殺される。 サモン・サーギュラント 声:菱田盛之/岐部公好 後期<嘆きの異邦人>で三強とされる超一流の神曲楽士の一人。前期<嘆きの異邦人>が動乱を起こした際にはまだ組織に参加していなかった。脂ぎった小太りの中年親父で、他の2人と違い性格は温厚だが、目的のためにはたとえ人を殺すことになっても躊躇わないという面があるため決して善人だとも言い切れない。黒いスーツに黒いサングラスをかけているなど、体型も併せて色々と怪しい濃い外見をしている。「再奏世」においては、<虚空連鼓>を担当した。再奏世の最中に世界の種子に取り込まれて死亡したはずだったが、コーティカルテが世界の種子を破壊したため復元され、キネティックノベル『神曲奏界ポリフォニカ AFTER SCHOOL』で再登場。当人からすれば、再奏世の途中からの記憶が途絶え、気がつけばいつの間にか組織は無くなっていて身一つで知らない場所に放り出され、誰とも分からない殺し屋(実は陸軍だった)に追われる日々を送るという散々な始末。存在が復元されるまでの間の記憶が無いため、レイトスに全てを聞くまでは動乱の結末は当然のこと、自分達が一度死んだことも知らなかった。 神曲楽士としての究極を目指した他の異邦人メンバーとは異なり、彼は病気で亡くしたたった一人の家族である娘を取り戻すために再奏世に参加していた。そんな彼がずっと続けている黒尽くめの格好は、喪服を意味している。娘が死んだ後、全てに絶望し己の命すらどうでもいいという孤独感に苛まれた彼は、そんな時にイアリティッケと出会い契約する。そして世界を再奏世すれば娘を取り戻せると考え、自分がどのような罪を犯そうとも、自分が新しい世界の養分となろうとも、娘を取り戻せるなら構わないと決意する。その目的の元に嘆きの異邦人に参加してテロリストとなったが、奏世楽器を演奏した際に一時的に感じた何もかもがどうでもよくなるほどの全能感を危険だと感じて忌避し、もう演奏しようとは考えていない。 陸軍の特装奇兵による残党狩りに一時は絶体絶命の所にまで追い詰められるが、逃げ回った挙句にそれと気付かず偶然たどり着いていたトルバス神曲学院にて、ミゼルドリットの仲介によりかつての敵であるシダラ・レイトスに命を救われる。そこで匿われたサーギュラントは、傷が癒えるまでの暇つぶしついでの講師の真似事で学生達と触れ合ったことで以前の自分を取り戻し、助けられた恩を返すために奏世楽器の秘匿に協力することになった。目的が果たされた後はトルバスから姿を消し、ほとぼりが冷めるまでヴィレニス辺りでイアリティッケと親娘を装って潜伏することにした模様。 社会人編では居酒屋の厨房で働いていたが、エンプティ・セットに対抗するために人手が必要になったユフィンリーからの連絡を受ける。イアリティッケ・シン・ゴルオット 声:甲斐祐子/悠木碧 サモン・サーギュラントと契約する、外見年齢10歳から13歳程度の少女の姿をしたフマヌビック形態の上級精霊。身長は142cmで、体型はコーティカルテ(幼)と違い、胸はまな板で体付きも幼い完全幼女体型とのこと(神奈月コメント)。髪も瞳の色も人間と大差なく、ゴスロリ風の衣装を纏っているため一見すると非常に愛らしい人間の少女に見えるが、蝶の翅のように見えるデザインの黄金色の羽根を持つ。この羽根は通常時は他の精霊と変わらない程度の大きさだが、大きな力を使う際などに展開して非常に巨大なサイズとなる。殺戮する黎明(スロータラス・ドーン)という二つ名を持ち、幼く残忍な性格(ようするにサド)で人間は解体すると楽しい玩具くらいにしか考えていない。組織の裏切り者を粛清する役割を担っており、それを嬉々として行っていたことから同胞である異邦人構成員達からも恐れられていた。だが、サーギュラントには親のように懐いている。三強の契約精霊の中では最も強く、単純なエネルギー量だけなら始祖精霊であるコーティカルテにも匹敵するほどの破格の強大さといわれる。だが、それゆえに常に力押しで全てが片付いていたため、力の使い方自体は非常に大雑把で拙い。再奏世の最中に世界の種子に取り込まれて一度消滅したが、種子の破壊によりサーギュラントと共に復元された。クリムゾンS第5巻ではコーティカルテと共に表紙を飾っていて、敵方の登場人物の中で唯一単行本の背表紙を担当している。 生まれついての強大過ぎる力が災いし、生まれてよりずっと精霊達からすら恐れ避けられていた過去を持つ。現在のサディスティックな性格もそうした境遇が育んだもので、強者は残忍で恐れられるものだと、孤独感を振り払うために自分を誤魔化したことが発端となっていた。そうして過ごして来たある時、黄昏の公園で娘を亡くした絶望を抱え、一人孤独に神曲を弾き続けるサーギュラントと出会う。孤独な者同士、同じモノを抱える魂に惹かれ契約を申し出たイアリティッケは、その時よりサーギュラントと共に行動することが喜びとなった。内心ではサーギュラントの一番大切な者になりたいと願っていたが、亡き娘に敵うことは不可能だとも悟っており、これまではその願いを押し殺してきた。 世界に復元された後、特装奇兵の巧みな連携でもはや自分を維持できなくなる寸前にまで傷つけられ一旦は死を覚悟するほど追い詰められるが、火事場の馬鹿力を発揮し自分を抱えて逃走し続けたサーギュラントのおかげで、トルバス神曲学院へと逃げ込むことができ九死に一生を得る。そして不承不承ながらも奏世楽器の秘匿に協力することになった彼女は、チームを組むことになったコーティカルテと激しい喧嘩を繰り返しながらも穏やかな日常に少しずつ馴染んでいった。全てが終わった後学院から姿を消した彼女は、サーギュラントの一番大切な者になりたいという願いを叶えるために、羽根を消していれば人間にも見える自分の容姿を利用した潜伏方法を提案する。その内容は、サーギュラントが父親で自分が娘。ほとぼりが冷めるまでの間は、二人はヴィレニス辺りで、サーギュラントは神曲楽士ではなく普通の仕事をし、自分はどこかの学校に学生として通ってみるという生活だった。 アニメ版2期では最後まで生き残ったが、ボルゾンが敗れた後サモンが「手の震えが止まらない」と言ったところで抱きついて一緒に海底に沈んでいった。精霊なので生死は不明。 イツキ・エイヤーズ 声:辻井健吾/佳月大人 後期<嘆きの異邦人>で三強とされる超一流の神曲楽士の一人。紳士然とした風貌をしているが、その口調は丁寧ながらもけれん味に溢れている。奏世楽器を得るために若きストリートギャング達を利用して各地でテロを起こし、用済みとなったらあっさり切り捨てる冷酷さを持つ。「再奏世」においては、<永劫並弦>を担当した。再奏世の最中、世界の種子に取り込まれて死亡したが、復元後の現在どうしているかは不明。一度は陸軍の異邦人残党狩りに遭遇しているが、上手く逃げおおせた模様。 アニメ版では世界の種子に取り込まれることはなく、気づかぬ内に見えるべきものが見えなくなっていたと悟り、それでも「テロそのものには意味が在った」と言い残し、海底に沈んでいった。ゴリアーデ・ドゥナン・ムオンダ 声:菱田盛之/杉崎亮 イツキ・エイヤーズと契約するリカントラ形態の上級精霊。筋骨隆々な人の体躯に鷲面の頭を持つパワーファイター。見た目通り力押しが得意な反面、思考が単純で搦め手に弱い。再奏世の最中、それを阻止しようと戦うウォルフィスを排除するため諸共にドミティエムによって貫かれ、その攻撃の威力の大半を受けて真っ二つになり消滅。ゴリアーデが盾になっていたおかげでウォルフィスの方は瀕死の重症で留まり、かろうじて消滅を免れた。 アニメ版ではドミティエムからの攻撃は受けておらず、逆に自ら放った精霊雷の槍が階上にいたライカを貫いた。 ウコン・タリヴァーナ 声:すずきまこと/吉田聖子 後期<嘆きの異邦人>で三強とされる超一流の神曲楽士の一人。花魁言葉で話し、見た目通りの享楽的な性格の毒婦。第一次動乱時はまだ学生でありながら組織に参加していた。異邦人側が戦いに敗れた後かろうじて戦場から脱出できた彼女は、全てを失って生き延びるために娼婦に身を堕としていた時期がある。この暗い過去が心の闇を増幅させ、その歪んだ神曲に惹かれたドミティエムと精霊契約を結んだ。 「再奏世」においては、<至極吹管>を担当。再奏世の最中、世界の種子に取り込まれて一度死亡したが、種子の破壊により復元。三強の中では唯一生死不明となっていたため、陸軍からは世界復元の際に存在が消えてしまった可能性も指摘されていた。しかし、実際は陸軍の追跡を上手くかわし、ドミティエムと共に生き延びていた。 アニメ版ではライカと仲が悪く、嫌味ばかり口にしている。最後は世界の種子に取り込まれることはなく、第二次<嘆きの異邦人>動乱は楽しかったと言い残し、海底に沈んでいった。ドミティエム・オド・ニイェン 声:新田祐一/金光宣明 ウコン・タリヴァーナと契約する男性のフマヌビック形態の上級精霊。見た目は鎧を着た武人風。ゴリアーデとは対照的な技巧派で、その戦闘技術はコーティカルテにこそ劣るものの相当高度な領域にある。刀使いであり、刀に精霊雷を纏わせた防御困難な一撃を放つ。大儀のためになら自身をも含めた犠牲をなんら厭わないという考え方を持っており、状況によっては仲間であろうとも平気で切り捨てる。再奏世の最中、世界の種子に取り込まれて消滅したが、種子の破壊により復元された。名前の元ネタは、「どう見てもドニー・イェン」をもじったものであり、名付けたのは大迫純一である。 アニメ版では、当初鉄仮面を被っていて顔は見えなかったが、11話で素顔をさらしたのち、石油プラントの外からのエレインドゥースの渾身の精霊雷攻撃を受けて一足早く消滅している。
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