渋谷区 歴史

渋谷区

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 03:21 UTC 版)

歴史

前史

渋谷区の誕生

渋谷区は1932年(昭和7年)に設置された。同年、それまで15区で構成されていた東京市に隣接する5郡82町村が編入され、豊多摩郡に属していた渋谷町千駄ヶ谷町代々幡町の3町をもって東京市渋谷区が成立したのが始まりである[注釈 1]

渋谷区の成立には一悶着があり、必ずしも当時の住民の満足できる結果とはならなかった。渋谷町とともに渋谷区の一部となることになった千駄ケ谷町・代々幡町が、渋谷区になることに消極的であったからである。千駄ケ谷町は昔から四谷区や赤坂区との関係が深く、町域が都心に近かったこともあり、当時「郊外」のイメージが強かった渋谷町と一緒になることには消極的であった[8]。代々幡町も古来より新宿との結びつきが強かったため、新宿に近い淀橋町などと一緒の区を形成することを模索しており、渋谷町と一緒になることには反対の姿勢だった[9]

しかし、東京市編入の際には同じ郡に所属する町村同士で1つの区を形成するというルールがあったため、豊多摩郡の南端にあり互いに隣り合う渋谷町・千駄ケ谷町・代々幡町が合わさって一つの区を形成することは避けられず、千駄ケ谷町・代々幡町も渋谷町と一緒になることを渋々受け入れた[注釈 2]

その後、区の名称を決める際にも、千駄ケ谷町や代々幡町は明治神宮の所在地として全国的に有名だった代々木を採用し「代々木区」とすることを提案したが、渋谷町は「渋谷区」で譲らず3町の間で争いが起きた。妥協策として「宮区」(渋・千駄ヶ・幡ヶの3つの谷、すなわち「三谷(みや)」と代々木にある明治神の「宮」をかけたもの)とする案も出たという[9]。最終的には東京府議会と関係の深い渋谷町議会議員にの圧力で新区名が強引に「渋谷区」とされることになったが、このような経緯は千駄ケ谷町・代々幡町の住民に怨念を残すことになり、千駄ケ谷町では大規模な反対運動も起こった[8]

渋谷町が他の2町に敬遠されたのは、当時の渋谷がまだ未発達だったことが一番の原因である[9]。後に東京を代表する繁華街として成長し、1970年代以降は若者文化の街として君臨する渋谷だが、昔から交通の要衝として栄え東京を代表する繁華街になっていた新宿と比べ、当時の渋谷はまだ発展途上であり、いまだ「郊外」のイメージがつきまとっていた。

渋谷区成立後

1930年代 - 1940年代

1950年代 - 1960年代

渋谷駅(1950年代)
渋谷区(1952年)

1970年代 - 1980年代

1970年ごろまでは、若者の街、若者文化の流行の発信地といえば、何といっても新宿だった。しかし、1970年代になると、それが新宿から渋谷へと移動する動きが始まり、若者文化の歴史は大きく変わっていった(渋谷系#誕生の背景も参照)。この影響で渋谷だけではなく、渋谷区の中にある原宿を含めた渋谷区全体に大きな変化が訪れることになる。その流れは「新宿から渋谷、または原宿を含めた渋谷区全体へ」(つまり原宿表参道代官山裏原宿方面も)と移り変わっていく。1973年には象徴的な出来事として渋谷PARCOの開店があった。

1990年代 - 2000年代

1990年代には渋谷系ブームが起きた。

2010年代 -

2010年代は大規模な再開発が続き渋谷の街は大きく生まれ変わり、外国人観光客も増加した一方、もはや「若者の街」では無いという声が聞かれるようになった[13][14]

2013年(平成25年)3月15日、東横線ホーム、東横線地下化による最終日

過去の出来事

渋谷事件
1946年7月19日東京渋谷渋谷警察署前で発生した抗争事件。警視庁渋谷警察署、暴力団落合一家、武田組および愚連隊万年東一一派の連合隊と、武装した在日台湾人グループとの間に発生。死者は事件当日警察官1人・在日台湾人2名(当日後含め7名)。重軽傷者は35名(警察官1名・在日台湾人34名)。
渋谷暴動事件
1971年11月14日、東京・渋谷において発生した暴動事件。11月14日沖縄県に行われた沖縄返還協定批准阻止のゼネラル・ストライキに呼応して行なわれた「沖縄返還協定批准阻止闘争」で、革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)の学生ら約400人が、渋谷で警戒中の機動隊や渋谷駅前派出所を火炎瓶などで襲撃。警察官1人殉職、警察官3名重傷。

注釈

  1. ^ 渋谷町、千駄ヶ谷町、代々幡町のかつての町域は、それぞれ現在の渋谷警察署原宿警察署代々木警察署の管轄地域と一致する。
  2. ^ この際、豊多摩郡の残り10町は、2 - 4町ずつまとめられ、「中野区」「杉並区」「淀橋区」として再編されることになった。
  3. ^ 国際連合大学は国際連合(国連)の自治機関で、学校教育法第1条に規定する大学ではない。しかし、大学院(大学院大学)に準ずる機能を有するため、学校教育法施行規則第156条第4号などによって大学院研究科に相当する機関としても扱われる。

出典

  1. ^ 大辞林』第三版
  2. ^ 国土交通省 第6章 都市構造と鉄道利用に関する分析
  3. ^ 都心三区 | 用語集|タウンハウジング”. タウンハウジング|賃貸マンション・アパートのお部屋探しはお任せください。. 2021年4月4日閲覧。
  4. ^ 【ぶらりぶらり】「北渋」玉川上水の歴史跡 彩る芸術朝日新聞』朝刊2022年10月18日(東京面)同日閲覧
  5. ^ “1968年”を知る Vol.2 若者の街、新宿 変わったこと、変わらないこと”. WWDJAPAN.com (2018年8月21日). 2021年4月29日閲覧。
  6. ^ 第1章 はじめに”. 渋谷区. 2022年7月17日閲覧。
  7. ^ なぜIT企業は渋谷に集まる?その理由を探ると「あるべき職場の未来像」も見えてきた 【シリーズ特集】『令和の渋谷』を徹底解剖②”. FNNプライムオンライン. 2022年7月16日閲覧。
  8. ^ a b 「祝はぬ千駄ケ谷」、『読売新聞』、1932 年 10 月 2 日、夕刊、p.2
  9. ^ a b c 幡ヶ谷郷土史
  10. ^ a b c 散策マップ No.1 『渋谷駅から渋谷のルーツをたずねて』 渋谷区歴史散歩の会平成13年10月発行
  11. ^ 日外アソシエーツ編集部編 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年、66頁。ISBN 9784816922749 
  12. ^ a b c 東京都交通局60年史
  13. ^ 【レポート】今でも本当に渋谷は”若者のまち”か?|渋谷文化プロジェクト
  14. ^ 渋谷がもはや「若者の街」じゃなくなった深い理由 むしろ「若者が集う場所」はつねに変遷してきた | 街・住まい | 東洋経済オンライン
  15. ^ 「渋谷区同性カップル条例が成立 全国初、4月1日施行」朝日新聞、2015年3月31日
  16. ^ 【速報】 渋谷区、東京電力と見守りサービスの社会実証実験を開始 - BCN RETAIL、2017/05/17 15:16配信、同月18日閲覧
  17. ^ 任期満了日(定数)一覧 | 東京都選挙管理委員会”. www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp. 2023年5月2日閲覧。
  18. ^ トルコ共和国イスタンブール市ウスキュダル区との友好交流 渋谷区役所、平成23年5月5日閲覧
  19. ^ 津田塾大学 交通アクセス”. 津田塾大学. 2021年1月26日閲覧。
  20. ^ "Facilities and Location." ブリティシュ・スクール・イン東京. Retrieved on 8 March 2015. "BST Shibuya Campus – (Nursery to Year 3) Address: 1-21-18 Shibuya Shibuya-ku Tokyo 150-0002"(地図
  21. ^ a b c d e f 「家系図」と「お屋敷」で読み解く歴代総理大臣 昭和・平成篇 竹内正浩 実業之日本社 2017年7月21日発売。神山町 (渋谷区)も参照。
  22. ^ 麻生太郎財務相がご近所に建つ「三木谷御殿」に苦虫顔の理由 NEWSポストセブン 2014年1月29日
  23. ^ a b c d e f g h i 出没 アド街ック天国 渋谷松濤 豪邸 テレビ東京 2003年9月13日
  24. ^ “【関東整備局インタビュー】 丹羽克彦道路部長「首都圏3環状完成後も展望」”. 建設資料館 (建設データ). (2017年10月3日). https://kd-file.jp/wp/2004/ 2024年2月4日閲覧。 
  25. ^ 速水もこみち”. 研音. 2021年4月25日閲覧。
  26. ^ BUNKA|AREA 南平台エリア 渋谷文化project 2009年
  27. ^ 池田政権の幕引きを仕切る「池田首相を支えた男」前尾繁三郎(4)政客列伝 特別編集委員・安藤俊裕 日本経済新聞 2011年12月4日





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