会社法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/24 04:54 UTC 版)
![]() | この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
会社法 | |
---|---|
![]() 日本の法令 | |
法令番号 | 平成17年7月26日法律第86号 |
種類 | 商法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 2005年6月29日 |
公布 | 2005年7月26日 |
施行 | 2006年5月1日 |
所管 | 法務省 |
主な内容 | 会社の設立、組織、運営及び管理 |
関連法令 | 商法、民法、保険業法、金融商品取引法、有限責任事業組合契約に関する法律、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律など |
条文リンク | e-Gov法令検索 |
![]() |
同時に成立した会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号、以下「整備法」)では、関連法律を本法に適合させるための改廃が行われた。
会社法の意義等
会社法には2つの意味がある。1つは固有の法律である「会社法」(平成17年7月26日法律第86号)を指す。
もう1つは「実質的意義の会社法」で会社の利害関係者の利害調整を行う法律のことを指す[2]。「実質的意義の会社法」には、会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則、社債株式等振替法、担保付社債信託法、商業登記法などが含まれる。
その他にも会社にかかわる法律は多数あり取引においては民法や商法、税制に関しては法人税法、また競争政策上会社に制約を課す私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)など多岐に渡る。
「実質的意義の会社法」が持つ特徴は利害関係者の利害調整を主な目的として会社の組織、運営について定めたルールという点である。ここで言う「利害関係者」は主に株主と会社債権者を指す[3]。
歴史
日本では従来固有の法律としての「会社法」は存在しなかった。その代りに会社に関する法の総称(「実質的意義の会社法」)として会社法の用語が用いられていた。
日本で会社に関する最初の一般的規則はお雇い外国人(ドイツ人)、法学者ヘルマン・ロエスレル起草草案をもとに制定された商法(明治23年法律番号32号)1編6章である。その後商法は明治32年に改正され現在の商法、会社法の原型となる。特に商法の会社法規定である商法旧第2編会社(以下「旧法」)は高頻度で大改正を受けつつ、日本の会社に関する一般規定として存続した。
戦後は会社不祥事をきっかけに監査役制度の強化がされ指名委員会等設置会社や業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)の導入など、会社に対する規制が強化される方向に進んだ。一方で資金調達に関しては調達手段を多様化、拡大し、規制を緩和、合理化する傾向が続いている。
2005年6月「会社法」が国会で成立2006年5月に施行された。これに伴いかつて会社法としての役割を果たしていた「旧法」、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法または監査特例法)等は会社法に統合、再編成された[4]。
構成
注釈
- ^ 旧法では株券発行が原則であったため、定款で株券不発行を定めた場合のみ株券不発行とできた。
- ^ 旧法では株式消却により授権資本枠も減少するというのが有力説であり、実務上も同様に取り扱っていた。
- ^ 旧法では、一部の種類株式のみを譲渡制限株式とすることに疑義があった。
- ^ 旧法では、明文の規定なく、一定の事由の規定の方法に一部疑義があった。
- ^ 旧法では、規定がなく、対象株主の同意が必要であった。
- ^ 旧法で認められていた端株制度は廃止され、会社法施行前から端株が存在していた場合のみ端株制度を維持可能となった。
- ^ 「公開会社」とは、その発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう(2条5号)。いわゆる「上場企業」のことではなく、株式公開の有無を問わない。公開会社は、取締役会を置かなければならない(327条1項1号)。
- ^ 公開会社は必ず「取締役会設置会社」となるため、監査役を置かなければならない(327条2項)。
- ^ a b 公開会社である大会社は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない(328条1項)。
- ^ 取締役会を設置しない会社においては、取締役は1人以上置けばよい(326条1項、331条4項)。取締役会を設置しない会社は、代表取締役を設ける必要もない。この場合、取締役が株式会社を代表し(349条1項本文)、取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する(同条2項)。また、定款や取締役の互選、株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることもできる(349条3項)。代表取締役を定めた場合は、代表取締役が株式会社を代表する(349条1項ただし書)。
- ^ a b 監査役会設置会社は、取締役会を置かなければならない(327条1項2号)。
- ^ a b c d 会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない(327条3項)。
- ^ 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない(328条2項)。
- ^ 公開会社でなく大会社でない会社が取締役会を設置した場合、監査役または会計参与のいずれかを置かなければならない(327条2項)。
- ^ 公開会社でない株式会社では、監査役会、会計監査人を置かない場合、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる(389条1項)。
- ^ a b c d 「指名委員会等設置会社」とは、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を置く株式会社をいう(2条12号)。公開会社・公開会社でない会社、大会社・大会社でない会社のいずれも指名委員会等設置会社とすることができる。指名委員会等設置会社は、取締役会、会計監査人、執行役・代表執行役を置かなければならない(327条1項3号、同条5項、402条1項、420条1項)。また、監査役を置いてはならない(同条4項)。
- ^ 旧法では、新事業創出促進法(廃止済み)上の特例を除き、株式会社の場合1000万円、有限会社の場合には300万円が最低資本金とされていた。
- ^ 旧法では、資本の部における計数の変動は、利益処分案ないしは損失処理案を定時株主総会で決議することにより行われていた。剰余金の配当には、最低資本金制度のもとでの財源規制がなされていた。
- ^ 旧法では、資本の部の計数の変更に関する書類としては、利益処分案ないしは損失処理案を作成するものとされていた。
- ^ 旧法では、企業単体の業績のみが取り沙汰されていたが、企業グループでの事業運営の実態を反映したもの。
- ^ 旧法では、連結計算書類を作成できるのは大会社に限られており、会社法上連結計算書類の作成が義務付けられる会社はなかった。
- ^ 旧法では、株式会社のみ社債の発行が認められていた。
- ^ 旧法では、社債等登録法・社債等の振替に関する法律の規定に合致する場合のみ、社債券不発行とできた。
- ^ 旧法では、種類株式の制度は、直接、買収対抗策等を意識したものではなく、買収対策の目的上どこまで実効性ある種類株式が認められるのかには疑問が残った。
- ^ 旧法では、合併の対価として、原則、存続会社の株式および合併等の比率調整のための交付金やそれに代わる自己株式の交付のみ認められていた。
- ^ 旧法では、100%子会社同士の合併などにおいては新株の発行は無意味であることから、法務省民事局通達によってそのような登記も認められるとして、登記実務的に運用上認められていたに過ぎず、明文規定はなかった。
出典
- ^ 会社法 日本法令外国語訳データベースシステム 2021年10月6日閲覧。
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ). “会社法”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2021年8月3日閲覧。
- ^ 伊藤靖史 et al. 2009, pp. 9–10
- ^ 伊藤靖史 et al. 2009, pp. 15–17
- ^ 伊藤靖史 et al. 2009, pp. 25–26
- ^ 川井信之 2021(iBooks、206-207/375)
固有名詞の分類
- 会社法のページへのリンク