ボランとは? わかりやすく解説

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ボラン【borane】


ボラン

名前 Bolan; Borin; Borren

ボラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 10:25 UTC 版)

ボラン(BH3)の球棒モデル

ボラン: borane)は、ホウ素水素化合物水素化ホウ素)の総称で、炭化水素アルカンにちなみ命名された。狭義にはモノボラン (BH3) およびジボラン (B2H6) を指す。

構造

モノボランは不安定で、二量体であるジボランの形で存在する。このとき、水素-ホウ素間の4個の電子のうち2個は通常とは異なる半結合の形になっている。ホウ素-水素-ホウ素の結合は、水素-ホウ素間のσ結合ではなく、ホウ素の空軌道を使っている。水素-ホウ素結合で結びついている4個の水素原子と2個のホウ素原子は同一平面上に位置するが、ホウ素-水素-ホウ素の結合の中間に位置する2つの水素原子は平面の上下にある。

このような結合を三中心二電子結合と呼ぶ。2個の電子で3個の原子が結合しているからである。三中心二電子結合を含む化合物として他に Al2Cl6 がある。なお、通常の化学結合は二中心二電子結合である。

ボランの水素をハロゲン元素で置換した化合物では三中心二電子結合は起こらず、二量体にはならない。4個の原子は同一平面に位置する。

ジボランについては、ジボランの記事を参照。

用途

モノボランは単独では不安定だが、ルイス塩基錯体を作らせることによって安定になる。これらは還元力があるため、有機合成においてカルボニル基や不飽和結合に対する還元剤として用い、いくつかは試薬として市販されている。THFジメチルスルフィドとの錯体は還元力が強いのでカルボン酸などの還元、ヒドロホウ素化反応に用いる。ピリジン錯体は還元力が弱いもののプロトン酸に対して比較的安定であるので、酸性条件下イミンの還元などに用いられる。

種類

ボランの構造には以下の2種類がある。

  • ニドボラン類 (nidoboranes, BnHn+4) — ジボランなど
  • アラクノボラン類 (arachnoboranes, BnHn+6) — テトラボラン (B4H10) など

関連項目



ボラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 01:17 UTC 版)

ホウ素」の記事における「ボラン」の解説

詳細は「ボラン」を参照 ボランはホウ素水素化合物であり、BxHyの組成式表される。ボランの構造にはB-H-Bのような水素による橋架け構造含まれており、通常の化学結合における原子価考え方ではその結合説明できず、三中心二電子結合のような特殊な結合様式とっている。ボランの構造正二十面体構造ホウ素クラスター基本単位として考えることができ、ホウ素数の少ないボランも正二十面体構造からいくつかのホウ素原子脱落した構造としてとらえることができる。ボランのいくつか異性体存在し、たとえばジヒドロデカボラン (B10H16) はホウ素が5原子集まったクラスター2つからなっており、2つクラスター結合方法によって3つの構造異性体存在する。 最も単純なボランはBH3であるが単離することはできず、ジボラン (B2H6) がその他のボランおよびボラン誘導体合成する際の前駆体として利用されるホウ素数の少ないボランは空気との反応性高く自然発火するが、ホウ素数6のヘキサボラン上で空気中で安定存在する。ボランのうち重要なものにはペンタボランB5H9およびデカボランB10H14があり、それらはジボランB2H6熱分解によって生成される多数ボランアニオン知られており、テトラヒドロホウ酸イオン (BH4−) およびその誘導体([BH3CN]−など)は金属塩して還元などの用途広く利用されている。また、ホウ素数の多い多面体ボランアニオンとしては[B12H12]2−などがあり、反応性などについて広く研究されている。 ボランの誘導体としては、ボラン中のBH−と等電子的CH基が置換したカルバボランがあり、ボランとアセチレン反応によって合成される。ほかに硫黄リン砒素なども、ホウ素置換しカルバボラン類似したヘテロボラン誘導体形成するカルバボラン強塩基反応してカルバボランアニオンとなり、たとえばB9C2H112−はシクロペンタジエニルアニオン類似しており遷移金属との間でフェロセン様の錯体形成するまた、ハロゲンアミンアルキル基などはボランの水素置換してボラン誘導体形成する

※この「ボラン」の解説は、「ホウ素」の解説の一部です。
「ボラン」を含む「ホウ素」の記事については、「ホウ素」の概要を参照ください。

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「ボラン」の例文・使い方・用例・文例

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