アイ‐クラウド【iCloud】
iCloud
別名:Apple iCloud
iCloudとは、Appleが提供するクラウドサービスである。2011年6月にベータ版の提供が開始された。
iCloudはいわゆるパーソナルクラウドで、写真や音楽、文書としったコンテンツをクラウド上に保存し、かつ、iCloudを共有する他のデバイスに自動的に配信して共有するという、「プッシュ型」のオンラインストレージである。iPhone、iPad、iPod touch、Mac、Windowsマシン、それぞれでiCloud上のストレージを共有することができる。プッシュ型で配信されるため、使用中のデバイスのどれかでコンテンツが変更されると、自動的に他のデバイスのコンテンツも更新が反映されるようになる。
iCloudの前身に位置するサービスとして「MobileMe」がある。「MobileMe」もクラウドを通じてプッシュ型のコンテンツ同期を行うストレージサービスである。MobileMeでは、主に連絡先、カレンダー、メールなどのデータを扱うサービスとして提供されていたが、iCloudではこれに加えて、App StoreやiBookstoreで購入したアプリや電子ブック、過去にiTunesを通じて購入した全ての音楽などもアップロードして同期することが可能になっている。MobileMeとはシームレスに連携するよう設計されているため、手間いらずで移行できる。
iCloudは2011年5月31日に開催されたカンファレンス「世界開発者会議」(WWDC)で初めて発表された。2011年6月7日にはベータ版の提供が開始されている。ベータ版の提供開始時点では、iCloudの正式バージョンは秋に提供予定と発表されている。
参照リンク
iCloud - (Apple)
オンラインストレージ: | Dropbox Google Cloud Storage Google Drive iCloud クラウドストレージ RealTimes SugarSync |
iCloud
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/22 03:26 UTC 版)
開発元 | Apple |
---|---|
初版 | 2011年10月12日 |
最新版 | 14.1[1] / 2022年12月13日 |
対応OS | macOS Big Sur 11以降 Windows 10以降 iOS 15以降 iPadOS 15以降 |
対応言語 | Multilingual |
ライセンス | プロプライエタリ・ライセンス |
公式サイト | www |
iCloud(アイクラウド)は、Appleが提供しているクラウドサービスである。
概要
2011年4月に、iCloud.comというドメイン名でウェブストレージサービスを提供していたXcerion社から、Appleが450万米ドルでドメインを買い取った。2011年6月6日のWWDC 2011でiOS 5と同時に発表され、その後開発者向けにベータ版が提供されていた。10月12日に正式にサービスが開始された。Amazon Web ServicesやGoogle Cloud Platformを使用して構築されている[2][3]。
前身のクラウドサービスであるMobileMeが有料であったことに対し、iCloudは5GBまでは無料で利用することができる。iCloudの登場により、MobileMeは2012年6月30日で提供終了した。
歴史
- 2011年4月 - Xcerion社からiCloud.comドメインを取得。
- 2011年6月 - WWDC 2011でiCloudが発表され、開発者向けベータ版が提供される。
- 2011年10月 - iCloudが正式にリリース。
- 2014年8月31日 - 著名人を狙ったフィッシングにより、iCloudから米国人気女優やモデルなど著名人のプライベート画像が多数流出する事件(2014年iCloudからの著名人プライベート写真大量流出事件)が発生。写真のなかにはヌード写真も含まれていた[4][5]。
- 2014年9月17日 - iOS 8で、前述の事件をふまえてiColudへのログインにも2ファクタ認証を採用したり、iCloudのデータ復元時にメールと通知を送って利用者に知らせるなどの対策が取られた[6]。
提供サービス
- iCloud.com
- パソコンのウェブブラウザ上でメール、連絡先、カレンダー、iPhoneを探す、iWorksの書類データにアクセスできる。iOS 6.0からはメモやリマインダーへのアクセス、iOS 8.0からはiCloud DriveやiCloud Photo Libraryへのアクセスも可能となった。
- iTunes in the Cloud
- iTunes Storeで購入した楽曲やアプリ、書籍コンテンツを自動的に他のiCloud対応端末にダウンロードできる。購入履歴からアクセスしてダウンロードすることも可能。日本では開始当初は楽曲自動ダウンロードサービスは行われていなかったが、2012年2月22日より対応した。iOS 6.0からはストアアプリでのチェック履歴の共有も可能となる。
- iTunes Match
- iTunes in the Cloudの有料オプションサービス。年額24.99ドル(日本では年額3,980円)を支払うことで、ユーザーが持っている音楽ファイルとiTunes Storeの販売情報をマッチングし、iTunes Storeで販売されている楽曲の場合は256kbps・DRMフリーの音楽ファイルがダウンロード可能となる。販売されていない楽曲はクラウド上に最大25,000曲をアップロードできる。日本では2014年5月2日よりサービスを開始した[7]。
- フォトストリーム
- iPhoneなどで撮影した写真を自動的に他の端末に転送する。iCloudのストレージとは別にフォトストリーム用の領域が用意され、最新1000件の写真を30日間保存することができる。iOS 5.0.1まではフォトストリーム内の写真の個別削除ができなかったが、iOS 5.1で個別削除に対応した。iOS 6.0からはフォトストリームを複数人で共有できるようになり、対応端末間で画像を閲覧・共有可能なほか、Apple TVやWeb上でも見ることが可能となる。2023年7月26日にサービス終了。
- iCloud Photo Library
- iOS 8.3から対応するサービスで、撮影した写真や動画を自動的にiCloud上に保存でき、iCloud対応端末からどこでもアクセス可能になるほか、フォトレタッチツールなどで編集を行った際にその結果が自動的に同期される。iOS 12リリース後に「iCloud写真」に名称変更される。
- iCloud 用 iWork
- iWorkをWebブラウザ上で利用できるようにしたWebアプリケーションで、書類データの閲覧だけで無く、編集も可能となっている。2012年8月27日よりベータ版が一般公開され、2018年6月現在正式サービスが行われている。 iWorkを始めとする対応アプリで作成・編集・保存した書類などのデータをWindows 7以降を搭載したPCやOS X Mavericks 10.9以降を搭載したMacとの間で同期できる。またiCloud.comにアクセスすることでパソコン上にiWorkなどで作成・保存した書類やデータをダウンロードする、またはパソコンで作成した書類などをアップロードすることが可能となる。
- iCloud Drive
- iOS 8およびOS X Yosemite、Windows 7以降で使用可能なクラウドストレージサービス。従来までのiCloud対応データだけでなく、様々なファイルをクラウド上に保存・共有できる。FinderやWindows Explorer、iOSのファイルアプリからフォルダやファイルの管理も可能となり、ドラッグ&ドロップで保存できる。
- Mail Drop
- iCloud Driveと連携した電子メール用のストレージサービス。最大5GBでのファイルを送受信でき、添付したファイルはiCloud上に保存され、OS X Yosemiteの標準メールアプリではクラウドを意識する事なくシームレスに扱う事が可能となる。それ以外のメールソフトではiCloudへのリンクとして扱われる。
- iCloudバックアップ
- iOS端末にある各種データをストレージ上にバックアップを行う。通常はWi-Fi及び電源に接続された時に自動でバックアップ作業が行われる。これによって新しい端末を購入した際のデータ移行や、初期化して元の状態に戻す時の復元作業も、Wi-Fiを経由することでパソコンを使わずに行うことができる。
- iCloudタブ
- iOS 11.0、macOS Sierra以降のSafariで対応する機能で、表示していたタブの同期が可能となる。これにより、自宅のMacで見ていたWebサイトがiPhoneやiPadのSafariに自動的に同期され、外出先でも続きを読むことが可能となる。
- iCloudキーチェーン
- iOS 8.4.1およびOS X Yosemite 10.10.5以降を対象にしたサービスで、iCloudにアカウントIDやパスワード、クレジットカード情報を登録しておくことで、Safariで指定したパスワードを入力するだけでこれらの情報が自動的に入力される。
- iOS 16、iPadOS 16、macOS Venturaより、パスキーを用いたパスワード管理に対応した[8]。
- ファミリー共有
- iOS 8, OS X Yosemiteから対応するサービスで、一家庭(最大6人まで)で購入したコンテンツや写真、カレンダー情報、地図での位置情報の共有が可能となる。また、登録したクレジットカード情報を共有し、カードを管理する親アカウントに子アカウントからコンテンツを購入していいか許可を申請することもできる。
- MobileMeからの継承サービス
- 電子メール (@mac.com @me.com)、連絡先、カレンダー、ブックマーク、メモ、どこでもMy Macがそのまま継続して利用可能となる。iOS端末検索機能の「iPhoneを探す」もそのまま利用できるのに加えて、友人の端末位置情報を検索する「友達を探す」も利用可能となる。なお、iWebやiDisk、ギャラリーについては継承されない。なお、Windowsでのブックマーク同期はSafariのWindows版が提供されなくなっているため、当初からはInternet Explorerが、コントロールパネルの3.0からはMozilla FirefoxとGoogle Chromeが対応ブラウザとなっている。
- iCloud プライベートリレー
- iOS 15とmacOS Montereyでリリースされた機能。Appleが運営する1のプロキシとAkamaiなど他社が運営する2のプロキシ(ISPと1のプロキシではアクセス先が暗号化されているためユーザのIPアドレスのみしかわからず、2ではアクセス先の情報だけを1のプロキシから取得・復号するため、この連鎖内でユーザのIPとアクセス先はそれぞれ分かってもその両方を組み合わせて確認することはAppleでもできない)の計2つのプロキシサーバを介し、DNSレコードの情報や位置情報をAppleやプロバイダを含めて知られなくなる機能。SafariのWebサイト・DNSクエリ全てと一部アプリで発生する通信(具体的には保護されていないHTTP通信全て)に適用される。iCloud+サブスクリプションの一つとして利用可能。
- メールアドレスを非公開
- webサービスにメールアドレスを登録する際などに利用する所謂「捨てアド」を作成できる機能である。ランダムに一意のメールアドレスを作成でき、届いたメールは指定したApple Accountのメールアドレスに自動的に転送される。MacやiPhone,iPadの設定アプリやSafari appから利用できる。利用にはiCloud+のサブスクリプション契約が必要である。
システム要件
最小システム条件は、iOS 10を搭載したiPhone(5以降)、iPad(第4世代以降)、iPad mini 2、iPod touch(第6世代)、またはMacOS Sierra 10.12以降をインストールしたMacである。MacやPCとの連携には、MacOS Sierra 10.12以降をインストールしたMac、またはiTunes 12.7・Windows 10搭載PCが必要である。ウェブ版のiCloud.comの利用には、最新バージョンのSafari、Firefox、Google Chrome、Microsoft Edge、Operaの利用が推奨されている[9]。
脚注
出典
- ^ “Windows 用 iCloud 14.1 のセキュリティコンテンツについて”. 2023年6月15日閲覧。
- ^ “アップル、「iCloud」の「Google Cloud」利用を認める--「Azure」から変更か” (日本語). CNET Japan. (2018年2月27日) 2018年9月10日閲覧。
- ^ “iOS Security - iOS 12.3 - May 2019”. apple.com. 2019年6月10日閲覧。
- ^ 「iCloud」にハッキング攻撃か、セレブのプライベート画像が多数流出,ITpro,2014年9月2日
- ^ Apple、アカウントハッキングは確認するもiCloudシステムの侵害は否定 2014/09/03 鈴木 英子=ニューズフロント ITpro,2014年9月3日
- ^ AppleのクックCEO、セキュリティ対策方針を表明――セレブ写真流出で, ITmedia エンタープライズ, 2014年9月9日
- ^ これがずっと夢だった。アップルがiTunes Matchを日本でサービス開始!,Gizmodo,2014年5月2日
- ^ “Apple、iOS 16で導入される共有とコミュニケーションのための新しい方法を発表”. Apple Newsroom (日本). 2023年5月9日閲覧。
- ^ “iCloud のシステム条件 - Apple サポート (日本)”. Apple Support. 2024年10月10日閲覧。
関連項目
- macOS
- iOS
- iPadOS
- visionOS
- iTools/MobileMe
- iPhone
- iPad
- iPod touch
- Mac
- Apple Vision Pro
- 2014年iCloudからの著名人プライベート写真大量流出事件
外部リンク
iCloud
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/30 00:22 UTC 版)
「Backup (ソフトウェア)」の記事における「iCloud」の解説
iCloudにはアプリケーションとしてのBackupは提供されていないが、iOS端末にある各種データをストレージ上に自動でバックアップを行う仕組みが用意されている。
※この「iCloud」の解説は、「Backup (ソフトウェア)」の解説の一部です。
「iCloud」を含む「Backup (ソフトウェア)」の記事については、「Backup (ソフトウェア)」の概要を参照ください。
- iCloudのページへのリンク