Z・N編成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 08:24 UTC 版)
「新幹線N700系電車」の記事における「Z・N編成」の解説
2011(平成23)年5月、JR東海は700系の老朽取り替え車として改良型となるN700系1000番台(通称「N700A」、「A」はAdvanced(アドヴァンスト、「進歩」の意の形容詞)の頭文字)を投入することを発表 し、2012(平成24)年8月21日に落成第1編成が公開された。現行の0・3000番台をベースとしているため、外観もほぼ同じであるが、安全性・定時制の確保、環境性能・乗り心地の観点からいくつもの改善が行われている。X・K編成との区別から「ラージA」とも呼ばれている。 主な改善点は以下の通り。 車体構造 キャリパー式車輪ディスクブレーキのブレーキディスクのボルト締結方式を、内周締結式から中央締結式に変更することで、制動距離を削減(700系比20 %、N700系比10 %の短縮)。 台車振動検知システムの採用。 車体傾斜装置の動作範囲を曲線半径5,000 m未満の曲線にまで拡大することで、乗り心地を改善。(半径2,500 mで275 km/h、半径3,000 mから4,500 mでも動作させて285 km/h) リサイクル性の観点から、台車カバーをステンレス製に変更。 電動車両全車の主変換装置を、走行中に受ける床下の走行風を利用して半導体素子の冷却を行い、小型軽量化を図ったブロアレス主変換装置 (TCI101) に統一。原設計は東芝が担当。性能を落とすことなく、N700系のブロワレス主変換装置 (TCI100) と比べて容積比75 %、質量比85 %となる小型軽量化を達成。 モニタ中央装置と各車両のモニタ端末機を接続する通信回線伝送容量を100 Mbpsから1 Gbpsに向上させ、新たに搭載されたモニタ幹線データ記録装置に対応。 ATC情報を活用した定速走行装置を搭載。 接客設備 従来はグリーン車のみに採用されていた吸音床構造を普通車にも採用。さらに、グリーン車の内壁には新たに制振パネルを搭載することで、さらなる静音化を図っている。 座席の模様を薄い色に変更。「普通車はより明るく、グリーン車はより落ち着いた」雰囲気とした。 座席の背もたれのヘッドレストの改良。 トイレや洗面室の電灯を、利用者が来ると明るくなる、調光機能付きLED照明に変更。従来のN700より車内照明の電力を2割削減した。 自動販売機の廃止(2013年末投入分より)。 扉上のドア開閉予告灯装着。(従来のN700には付いてないため、車内からではロゴマークの変更と共に相違点がある唯一の存在) デッキに乗務員と通話できる緊急通報装置が付けられた 外観上の区別のため、車体横にはAdvancedの「A」をあしらったロゴマークが刻まれる。編成記号は G 。また2019年度の最終増備車(G47 - G51)では、15号車外の喫煙ルームの窓がなく、外見で判別可能。 営業運転開始は2013年2月8日。一番列車は、「のぞみ203号(G3編成)」と、「のぞみ208号(G2編成)」で、東京駅と新大阪駅においてそれぞれ出発式が行われた。N700Aは限定運用ではなく、G編成はZ・X編成と、F編成はN・K編成とそれぞれ共通運用が組まれている。当初は東海道区間のみの運用だったが、2013年3月16日ダイヤ改正より山陽新幹線への乗り入れも開始された。編成一覧の通り、JR西日本製造分を含め、製造メーカーから関西2社が外れている。 JR東海は、2012年度に6編成、2013年に7編成の計13編成を投入して700系を置き換えた。費用は2011年計画時の概算で660億円である。 JR西日本も、2013年11月下旬にN700A(N700系4000番台)を1編成投入した。編成記号は F 。 さらに、JR東海は2014(平成26)年度から2016(平成28)年度末にかけ毎年度6編成ずつ、計18編成を追加投入した。費用は2013年2月における計画発表時の概算で880億円である。新たにトイレ便座に温水洗浄機能を加えられた。これにより2016年度末にはN700Aが31編成、N700改造車(元Z編成)が80編成となり、同社の新幹線車両全体の8割以上がN700Aタイプとなった。JR西日本も2014年11月のプレスリリースのとおり、2015年度、2016年度に4編成ずつ投入した。 JR東海は、2016(平成28)年度から2019(令和元)年度にかけて計20編成を追加投入し、2019年度末にはすべての車両をN700Aタイプとした(2015年10月に計画発表)。続いて、JR西日本も、2017(平成29)年度から2019年度にかけて15編成を追加投入した(2016年12月計画発表)。 費用はJR東海の場合、車両の製造費・改造費で1040億円。これらの編成の主な改善点は以下の通り。 新たなブレーキライニングの開発により、地震ブレーキの停止距離を従来のN700Aタイプと比較して約5 %短縮 パンタグラフの状態監視機能の追加 台車振動検知システムの強化 ATC状態監視機能の強化 既存のN700Aタイプにもこれらの機能を反映させる改造工事が2017年度から2019年度にかけて行われた。 JR東海は、2021(令和3)年度から2023(令和5)年度にかけ保有するN700Aタイプに対し、N700Sの一部機能を追加する改造工事を進めている。対象はこの間に廃車予定となる編成を除く86編成に実施する。これらの編成の主な改善点は以下の通り。 N700Sで採用しているブレーキシステムを搭載(地震ブレーキの停止距離をN700Aタイプ(3次車)比で約5 %短縮) 異常時に乗客が指令所の係員とも通話できる「車内通話装置」の客室両端部への設置拡充 車両で稼働する機器の状態監視機能の強化
※この「Z・N編成」の解説は、「新幹線N700系電車」の解説の一部です。
「Z・N編成」を含む「新幹線N700系電車」の記事については、「新幹線N700系電車」の概要を参照ください。
- Z・N編成のページへのリンク