露呈と内情および論争点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 02:43 UTC 版)
「タイガー・テンプル」の記事における「露呈と内情および論争点」の解説
寺院の動物保護哲学には欠陥があると主張され、ケア・フォー・ザ・ワイルド・インターナショナル (Care for the Wild International) という組織は、2005年から2008年の間に収集された情報に基づき、当寺院は絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 (CITES) 、タイとラオスの国内法に違反して、ラオスのトラ農場の所有者とトラをひそかに交換 (闇取引) していると主張する。同組織は、この寺院が1992年のタイ野生動物保護法のもとで、必要とされる免許を持たないトラの繁殖飼育施設として操業していると主張した。 「タイ野生生物友好基金 (Wildlife Friends Foundation Thailand、以下, WFFT)」の創設者エドウィン・ウィーク (Edwin Wiek) によると、この寺院の活動は、タイが署名している野生動物に関する国際条約であり、トラなどの保護された野生動物の商業的繁殖を禁止しているワシントン条約に違反しているという。これまで当局によるトラ救出策はすべて失敗しており、2015年での試みも失敗に終わっているが、ウィークは、これは寺院とその指導者であるプラ・ウィスチサラテン (Phra Wisutthisarathen) の影響によるものだと考えている。 ケア・フォー・ザ・ワイルド・インターナショナルの報告書に基づき、国際人道協会、アメリカ動物園水族館協会、世界動物保護協会、世界自然保護基金など39の保護団体が協力して、「国際トラ連合 (The International Tiger Coalition)」の名称でタイ国立公園局長に書簡を送った。書簡では、寺院に対して、ラオスとの間で12頭のトラを輸出入していること、公認された保護増殖プログラムとの関連性がないことに対して措置を講じるよう、また、寺院でトラの血統と保護プログラムへの価値を判断するために、寺院内でトラの遺伝子検査を行うよう事務総長に要請した。報告書では、「寺院には施設や技術、認定された動物園との関係、さらには適切な方法でトラを管理するという意思がなく、営利目的でトラを保有していた」と結論づけている。 2006年12月、ABCニュースは、寺院に3日間滞在したが、動物に薬物の投与や虐待があった形跡を見つけることはできなかった。インタビューを受けたタイ人と西洋人の両従業員は「動物はよく扱われている」と主張した。住職は、「トラを繁殖させて野生に放つことが最終的な目標である」と述べた。 2014年、ケア・フォー・ザ・ワイルド・インターナショナルは、トラの記念日に合わせた国際的キャンペーンの中で、トラと写真の自撮りをやめるよう呼びかけた。同団体のフィリップ・マンスブリッジ (Philip Mansbridge) 最高経営責任者は、「人々はすぐに、私たちが過剰に反応しているか、その楽しみを台無しにしているだけと思うでしょう。しかし実際に、1枚の写真を撮るだけで、その動物 (トラ) が一生、苦しむことになる。」と述べたと伝えられる。同団体は、トラ寺院のような場所で、捕獲されたトラが観光客やボランティアに危害を加える事件が年間60件にのぼると見積もっている。 2015年2月2日、森林管理官による正式な調査が開始された。最初に追い出された後、彼らは翌日、令状、警官、兵士を携えて戻り、保護された野鳥を捕まえ、敷地内にトラを収容した。鳥獣保護観察所の所長は、公園には鳥を育てるための適切な許可がないと述べた。トラの記録に関するさらなる調査が行われるまで、トラは拘留された。 2016年の1月と5月に、オーストラリアの組織であるシーフォーライフ (Conservation and Environmental Education 4 Life, Cee4life) から、9年間に及ぶ調査報告書が発表された。最初のレポートには、寺院でのトラの失踪に関するカメラ映像、録音、目撃証言が含まれている。第2報には、トラの胴の部分の販売、贈答、国際輸送の証拠が含まれている。ナショナルジオグラフィックは、そこの僧侶たちが寺院でトラと営利の繁殖、販売、搾取事業を行っていると主張した。翌年5月、タイ当局は動物を押収し、施設の閉鎖を試みた。タイでは、商業利用等を目的としたトラの繁殖は、ワシントン条約により禁止されており、トラは絶滅危惧種として国の財産とされている。 2016年の5月下旬、警察と野生生物の当局は、寺院のすべての生きているトラを救出する活動を開始。当局は、40匹以上のトラの赤子の死体を見つけ、冷凍庫からは他の動物の身体の一部が多数、見つかった。国立公園局の代表者は、トラの子は立ち入り直前に死亡したと主張する一方、寺は何ヶ月もトラの誕生を報告していなかった。これは隠れた違法繁殖の兆候と見なされた。また、生きているサイチョウ約12羽も無許可で所持していたとして押収された。住職の秘書は、トラの皮の小片、2匹分のトラの皮、トラの牙10本を含む1000個以上のお守りを持ち、現場を出ようとしたところを止められた。秘書と他4名は、野生生物密輸の疑いで調査されている。手入れ当初、寺院は非公開だった。6月3日には、別の30頭のトラの子どもの死骸が英語のラベルが貼られた容器の中で発見され、それらが売りに出されていた可能性が示唆された。
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