開業・さらなる高速化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 15:52 UTC 版)
「北越急行ほくほく線」の記事における「開業・さらなる高速化」の解説
以上の経緯を経てほくほく線は、1997年(平成9年)3月22日に開業し、同時に、上越新幹線と越後湯沢駅で接続して首都圏と北陸地方を結ぶ特急「はくたか」が、ほくほく線経由で運転を開始した。ほくほく線が開業する以前は、首都圏と北陸地方を結ぶ手段は東海道新幹線で米原を経由するルートが一般的であったが、ほくほく線が開業してからは上越新幹線と「はくたか」を乗り継ぐルートのほうが有利になる範囲が拡大された。上越新幹線と越後湯沢で接続しての東京と金沢の間の最速所要時間は3時間43分となり、長岡経由に比べて15分短縮された。なお、ほくほく線開業後、まつだい駅から松之山温泉を訪れる行楽客が増えたという。加えて、沿線では、開業により沿線地域では高校へ自宅からの通学が可能となり、進学時にほくほく線沿線の高校を選ばせたり、高校進学を機にほくほく線沿線に引っ越す事例さえ見られた。上越線が不通になると越後湯沢と六日町のタクシー利用が増加する事例もみられるようになった。 その後、後述するように最高速度について段階的な検証を行い、1998年(平成10年)12月8日から「はくたか」が150 km/h運転を開始したが、この時にはダイヤ改正は行わず、運転上の余裕時分の確保にあてられた。続いて2002年(平成14年)3月23日から当初の予定通りの160 km/h運転が開始され、ほくほく線内においては140 km/hでの運行当時と比較して1分30秒の所要時間短縮が実現した。加えて車両面も高速化が進み、160 km/h運転開始時にJR西日本の485系が160 km/h対応車の681系と交代し、2005年(平成17年)3月1日には、北越急行が160 km/h対応車の683系8000番台を投入したことで、JR東日本の485系が撤退し、以後定期特急列車はすべて160 km/h運転対応の車両となった。 ほくほく線は「雪対策」の節で後述するように周囲の路線と比べ比較的安定的な運用を行っているが、2000年代には度々自然災害に見舞われている。特に2004年(平成16年)10月23日の新潟県中越地震では発生後全線で運転を見合わせ、10月26日より被害の少なかった犀潟 - まつだい間で普通列車に限った臨時ダイヤによる運転を再開し、11月2日に全線で運転を再開した。当初は速度制限つきの運転で、12月17日から160 km/h運転を再開している。また、2005年(平成17年)2月11日より上越線が全面復旧する3月24日までの間、週末を中心にのべ13日にわたって急行「能登」がほくほく線を経由して運転された。2007年(平成19年)7月16日に発生した新潟県中越沖地震では、特急「はくたか」が終日運休となり、翌17日から運転を再開した。 一方、ほくほく線の高規格化が行われるきっかけとなった整備新幹線計画問題については、ほくほく線開業のおよそ半年後の1997年(平成9年)10月1日に北陸新幹線高崎 - 長野間が開業したが、この時点では上越新幹線・ほくほく線経由が石川県東部・富山県・新潟県西部への最速ルートであることから、開業まで運転されていた特急「白山」のような長野駅から北陸地方への接続列車は定期運転されず、「長野(行)新幹線」という愛称が付けられる一因となった。しかし、長野以北についても翌1998年(平成10年)3月12日に長野 - 上越(仮称)間、2001年(平成13年)4月25日に上越(仮称) - 富山間、2005年(平成17年)4月27日に富山 - 金沢 - 白山総合車両基地(仮称)間の工事計画がフル規格で認可され、順次着手されるなど、計画が見直されるたびにフル規格での建設が進められていった。 当時、ほくほく線を運営する北越急行は10日間しか営業していなかった初年度を除いて毎年数億円の黒字となっており。2001年度の営業係数は73.0パーセントと、第三セクター鉄道の中では経営状態は良好であったが、全体の9割が特急による収益で、普通列車の収益は全体の1割にも満たなかった。このため、北陸新幹線開業に備えて、利益を赤字補填用に蓄えることとした。先述のJR東日本の485系を683系8000番台の自社による投入で置き換えたことも、JR東日本側の事情のほか、全便高速化による運用効率向上によるサービスアップ・増収や、JR東日本への車両使用料の支払いを無くし、逆に従来3社で相殺していたJR東日本・西日本線の走行時の車両使用料収入を得るという目的もあった。こうして、最終的には2013年(平成25年)3月31日時点で約92億円の剰余金を持った状態でほくほく線は2015年3月14日の北陸新幹線長野 - 金沢間開業を迎えることとなった。
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