虎眼流の技法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 16:01 UTC 版)
初代当主である岩本虎眼が修行中に用いていた(我流の?)兵法などを前身としたものであるらしい。真剣はたやすく折れるという理由により「刀が折れないよう剣を極力打ち合わせない」、「無駄に斬り込まず、最小の斬撃で倒す」など実践的な剣法と、当身技を多用する柔術など、独特な技法が含まれている。主要な技法には強力な握力や指の力を精密に操ることが求められる。稽古では袋竹刀などではなく、木刀で直に打ち合うなど、非常に過酷ではあるが、総合的に見ると新たな技の開発や、個人の創意工夫が認められているなど、自由度が高い武術である。以下に主な技法を挙げる。 虎拳(こけん) 手首を用いた当身技。虎眼はじめ多くの門人が使用する基本技だが、あまりの速度ゆえ常人の動体視力では捉えることもかなわず、その威力は一撃で人体を骨ごと破壊する。空手で主に払い技として使用されている「孤拳」と類似しているが、作中では幾人かこの技で撲殺されており、明らかに攻撃用である。 流れ(ながれ) 中目録以上にのみ伝授される秘伝の技。刀を片手で背後に担ぎ、そこから相手に向かって刀を横に薙ぐ技であるが、刀を振ると同時に、手を刀の鍔元から柄尻まで横滑りさせることで「人体は三寸斬り込めば致命傷になりうる」という虎眼流の理を元に、相手に間合いを誤認させ、切先による最少の斬撃で相手を倒すことを旨としている。 原理が単純であるがゆえ、刀をかつぐ以外にも様々な応用がきく。技術として、強靭な握力と精妙な制御が必要とされる。 流れ星 / 星流れ 虎眼が生み出した必殺剣。免許皆伝を与えられた者のみが使うことを許されており、その域に達しない者は、技を見てはならないという掟がある。開眼の地である秋葉山昆嶽神社は虎眼流にとって聖地とされる。 右手の人差し指と中指の間で剣の柄を挟み、左手の指で刀身を掴んで力を溜めてから放すことが要点で、これにより爆発的な速度を持つ斬撃を放つことが出来る。更に流れの要領で柄を指の間で滑らせ、間合いを伸ばす。これに加え、刀を放つ際に身体を回転させることで、周囲の物を一刀両断とする。 虎眼が主君の前でこの技を披露した時、6人の囚人の首を一度に撥ね、内2人の首は胴の上に乗ったままだったという。 藤木、牛股、伊良子らもこの「星流れ」を使うが、3人それぞれで型が微妙に異なるが、全て「星流れ(流れ星)」とされる。 作中、技の名称が「流れ星」と「星流れ」の2つで呼ばれるが、どのような基準で区別されているかについて作中では言及はされていない。原作では虎眼流の奥義は「流れ星」となっているが「秘剣流れ星」において、主人公の使う技は「星流れ」という名称が用いられている。 原作の「流れ星」は「対手の首を狙い、流星の如き神速で横薙ぎの一閃を放つ、一太刀が必殺の秘剣」とされ、細かい描写はされていない。山口版は、これをもとに大幅なアレンジを加えている。。流れ星の掴み(仮称) 人差し指と中指の二指で刀の柄を挟むように握る、星流れに用いられる掴み。本来ならかなり高次の門弟にしか伝授されない秘技(と推察される)が、藤木が自力で辿り着き、伊良子の仕置きの際に他の門弟にも見せたことから興津など未伝授の者にも使われるようになる。 拳の星流れ(仮称) 藤木が虎眼のヒントにより星流れの原理を習得した際、自ら編み出したと思われるもの。星流れの原理を応用し、拳をもう片方の掌で抑えて力を溜め、その反動で裏拳を高速で放つ。威力が数段増しており、命中した丹波の下顎を完全に削り飛ばした。 飛猿横流れ(ひえんよこながれ) 逆回転によって、後回しに流れを放つ技。正面より上半身のみを捻る通常の流れとは異なり、全身の回転を利用し、更には踏み込みを加えるため、流れの攻撃範囲を遙かに凌駕する。 原作の「無明逆流れ」では藤木が独自に編み出した技として登場する。「流れ星」に改良を加えた技であり、対手の左肩にぶつかるように接近し、飛びこみざまに横薙ぎに払う。 練り(ねり) 鍛錬法の1つ。巨大な木剣「かじき」を使用し、素振り一挙動を小半刻(約30分)かけて行う。力んだ際に奥歯が粉砕するのを防ぐため、手拭を口にくわえて行う。 涎小豆(よだれあずき) 虎眼流の入門儀式。豇豆(ササゲ)の甘露煮に水飴を絡めたものを入門希望者の額に一粒貼り付け、当主である岩本虎眼がそれを抜き打ちで十文字に寸断するというもの。この際、同席者は刀の刃で指を切って出た血を同様に自らの額に付ける。抜き打ちが成功した後は、同席者全員で「お美事(みごと)にございまする」と斉唱するのが習わしである。清玄はいくの乳首に載せた米粒で成功させている。 簾牙(すだれきば) 藤木源之助と牛股権左衛門が、対 伊良子清玄戦に向けて開発した構え。清玄の「無明逆流れ」対策(下段封じ)として考案された。 右手を流れ星の骨子の掴みで構え、左手に脇差を構える。想定された伊良子の攻撃方法が下段からの斬撃であることから、左に構えた脇差で攻撃を受け止め、右手の刀で反撃することを目的としている。 実戦では両名ともに敗れた。藤木は無明逆流れを脇差しで受けたが威力に負けて左腕を切断される。牛股はかじきで土砂を弾いて浴びせ逆流れをはね上げようとするも、怯まずに逆流れを決行した伊良子の軌道を読み切れず敗れる。
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