無明逆流れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 06:37 UTC 版)
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『無明逆流れ』(むみょうさかながれ)は、南條範夫の連作時代小説短編集『駿河城御前試合』の一篇「無明逆流れ」を漫画化した、とみ新蔵の劇画作品。1967年発表。
あらすじ
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寛永6年、後に寛永御前試合として知られる11組の真剣試合が、駿府城で行なわれた。中でも第1試合は壮烈を極めるものであったという。
対戦者2名が試合場に現れた時、観客は驚きの声を上げた。なぜなら、東側の幕から現れた男は容姿端麗ながらも両目が盲いており、西側の幕から現れた男は左手の腕が付け根からなかったのである。西側の男の眼が、異様なほどの殺意と憎悪に光った……。
原作・シグルイとの違い
約210ページの短編作品であり、大胆な脚色により長編作品となった『シグルイ』と比べると、原作に近い内容となっている。
原作・『シグルイ』との主な違いとしては、まず、いくと清玄が惹かれあうようになったエピソードが追加されていることが挙げられる。暴漢に襲われそうになったいくを清玄が助けた時から互いに惹かれており、虎眼に悪いと感じながらも隠れて逢引を行なっていた、という背景が説明されているが、これは原作にはない。
また、清玄が盲目となり、虎眼流道場へ討ち入りを行なうようになるまでの経過も異なっている。 シグルイでは、いくと清玄は二人とも一旦飛騨の山奥に匿われた後再起を図るが、本作では清玄は放逐された後、失意のうちに各地を点々としており、それをいくが探し出して再起を促すという流れになっている(原作ではこの間の描写そのものがない)。また、同棲を始めて以降は、いくが仕立ての仕事を行なって生計を立てていることがわかる。
さらに、本作の清玄は、理不尽な殺され方をした按摩の弔いのために山賊を倒すエピソードが追加されたり、いくへ純粋な感謝の気持ちや愛の心を向けていることが描写されるなど、『シグルイ』で見られる人間離れし、怪人然とした人物像の清玄とは異なり、正義感があって人間的な感情を持った人物として描かれている。
最も原作・『シグルイ』と異なる要素は、清玄に成敗されて復讐を誓った元山賊頭、黒伏甚内の存在である。前述の按摩の弔い勝負の際、両腕を切られて不具の身の上にされた黒伏は、それを恨みに思って伊良子を暗殺する機会を窺っているという人物であり、原作では特に説明されていなかった徳川忠長の家来の馬が暴走するエピソード(『シグルイ』には存在しない)では、黒伏が裏で関わっていたことが判明する他、藤木に打倒伊良子のヒントを与えるなど、重要な役割を担った人物となっている。
藤木と三重の関係も原作に対し、より突っ込んで描かれており、藤木は三重に夜這いを敢行するような(『シグルイ』では贈り物を渡しに行っただけである)、より情熱的な人物として描かれている。
『シグルイ』に影響を与えたと考えられるエピソードも存在する。駿府城家老の三枝(『シグルイ』では掛川藩目付の柳沢頼母)に伊良子仇討ちの申請に行った際、剣の腕前を披露するが、この際「正座の姿勢から一気に飛び上がり、空中で回転しながら屋敷の天井の桟(横木)を剣で切り取り、再び正座で着地する」という技を見せている。『シグルイ』では、これが桟ではなく真後ろに居た人間である。原作には、このようなシーンは存在しない。
なお、原作の「剣士凡て斃る」の一篇は本作に存在しないため、小村との因縁や笹原との対決のエピソードはない。黒伏との二人きりの会話の後、藤木が去っていく場面で幕が降ろされている。
無明逆流れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/08 00:25 UTC 版)
第1試合は見物者を大いに驚かせた。西側から現れた剣士・藤木源之助は、左腕のつけ根から先が無かった。それに付き添うのは20歳位の美女・三重。一方、東側の剣士・伊良子清玄は右足を引きずるだけでなく盲人だった。そして、彼にも年増ながらも凄艶な美女・いくが付き添っていた。だが、周囲がさらに驚いたのは清玄の異形の構えだった。それは盲人が地面に杖を突き立てるように、剣を突き立て、跛足の指で挟むという奇怪な構えだった。それはあらゆる流派で見た事も聞いた事もない構えであり、これこそ、城下でも評判の無明逆流れという秘剣だった。対峙する2人の剣士、そしてそれを見守る2人の女、この4名には逃れられぬ因縁があった。 伊良子清玄(いらこ せいげん) 盲目跛足の美剣士。御前試合の時点で齢30余り。かつては岩本虎眼の門下の師範代で、「一虎双竜」の1人と謳われていた。剣風は俊敏軽捷。両目を岩本虎眼に斬られて盲目となり、また牛股権左衛門との対決の際に右足を負傷し、以来歩行が不自由となっている。 藤木源之助(ふじき げんのすけ) 隻腕の剣士。御前試合の時点で年齢27、8歳。均整のとれた顔貌をしている。岩本虎眼の門下の師範代で、「一虎双竜」と呼ばれた1人。伊良子と立会った際に左腕を失う。 岩本虎眼(いわもと こがん) 濃尾一帯に名の聞こえた無双の達人。伊良子や藤木の剣の師。「鬼眼」と恐れられる眼は、見据えた相手を金縛りにする。 牛股権左衛門(うしまた ごんざえもん) 岩本虎眼の門下の師範代で、「一虎双竜」と呼ばれた1人。牛の如く巨大な体をした容貌魁偉の偉丈夫。 三重(みえ) 岩本虎眼の一人娘。清楚な美女。 いく 岩本虎眼の愛妾。妖艶な年増女。虎眼が妻の死後に抱えた何人もの妾の1人で、元は松阪の商家の娘。
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