用語及び定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 08:09 UTC 版)
「ISO 80000-1」の記事における「用語及び定義」の解説
この規格では以下の用語を定義している。 量(quantity) 現象・物体・物質の性質であって、数と計量参照(reference)によって表すことのできる大きさを持つもの。 量の種類(kind of quantity), 種類(kind) 相互に比較できる量に共通する側面。例えば直径・円周・波長は「長さ」という同じ種類の量であり、熱・運動エネルギー・位置エネルギーは「エネルギー」という同じ種類の量である。 量体系(system of quantities) 量の集合であって、それらの量に関連する矛盾しない方程式の集合を持つもの。 基本量(base quantity) 与えられた量体系の部分集合として慣習的に選択された量であって、その部分集合の中の量が、その部分集合の中の他の量で表現できないもの。 組立量(derived quantity) 量体系において、その体系の基本量によって定義された量。 国際量体系(International System of Quantities), ISQ 7つの基本量(長さ・質量・時間・電流・熱力学温度・物質量・光度)を基本とする量体系。 量の次元(quantity dimension), 次元(dimension) 数値因子を除外し、基本量に対応する次元のべき乗の積として表現した、量と量体系の基本量の依存関係。 次元1の量(quantity of dimension one), 無次元量(dimensionless quantity) その量の次元の、基本量に対応する次元の指数が全て0である量。 測定単位(measurement unit), 単位(unit) 同じ種類の二つの量の比を数として表現することで比較できるようにするために、協定によって定義・採用された実数のスカラー量。 基本単位(base unit) 協定によって採用された基本量の測定単位。 組立単位(derived unit) 組立量の測定単位。 一貫性のある組立単位(coherent derived unit) 与えられた量体系と選択した基本単位の集合において、1以外の比例定数を含まない、基本単位のべき乗の積である組立単位。例えば、キロメートル毎時は3600(秒)という比例定数を含むため、一貫性のある組立単位ではない。 単位系(system of units) その倍量・分量を含む基本単位・組立単位の集合であって、与えられた量体系において、与えられた規則に従って定義されるもの。 一貫性のある単位系(coherent system of units) 与えられた量体系に基き、各組立量の測定単位が一貫性のある組立単位である単位系。 体系外の測定単位(off-system measurement unit) 与えられた単位系に属さない測定単位。 国際単位系(International System of Units), SI 国際度量衡総会(CGPM)によって採択された単位系であって、国際量体系に基づく、単位の名称と記号・SI接頭語の名称と記号およびそれらの使用規則を含めたもの。 単位の倍量(multiple of a unit) 与えられた測定単位に1以上の整数を乗じて得られる測定単位。例えばキロメートルはメートルの倍量であり、時間は秒の倍量である。十進の倍量を表すにはSI接頭語を使用する。 単位の分量(sub-multiple of a unit) 与えられた測定単位を1以上の整数で除して得られる測定単位。例えばミリメートルはメートルの分量であり、平面角の秒は度の分量である。十進の分量を表すにはSI接頭語を使用する。 量の値(quantity value), 値(value) 量の大きさを表現する、数と計量参照との組合せ。例えば「ある棒の長さ:5.34 m」「ある円弧の曲率:112 m−1」などである。 量の数値(numerical quantity value), 数値(value) 量の値の表現における数で、計量参照の役目を果たす数以外のもの。例えば、「物質量分率 3 mmol/mol」の量の数値は「3」で、単位は「ミリモル毎モル(mmol/mol)」である。単位のうち「ミリ」は0.001という数を表しているが、これは「計量参照の役目を果たす数」であるので、量の数値には含まれない。 量演算(quantity calculus) 順序尺度量以外の量に適用される数学の規則・操作の集合。 量方程式(quantity equation) 与えられた量体系における量の間の数学的関係で、測定単位から独立しているもの。例を以下に示す。 T = 1 2 m v 2 {\displaystyle T={\frac {1}{2}}mv^{2}} (ここで、Tは運動エネルギー、mは質量、vは速さ) n = I t F {\displaystyle n={\frac {It}{F}}} (ここで、Fはファラデー定数、nは1価の成分の物質量、Iは電流、tは電気分解の継続時間) 単位方程式(unit equation) 基本単位・一貫性のある組立単位・他の測定単位の間の数学的関係。例を以下に示す。J := kg m2 s-2 1 km/h = (1/3.6) m/s 単位間の換算率(conversion factor between units) 同じ種類の量を表す二つの測定単位の比。例えば、「km/m=1 000」「h/s=3 600」。 数値方程式(numerical value equation), 数量値方程式(numerical quantity value equation) 与えられた量方程式と特定の測定単位における、数量値の間の数学的関係。例えば、運動エネルギーの量方程式 T = 1 2 m v 2 {\displaystyle T={\frac {1}{2}}mv^{2}} において、m = 2 kg、v = 3 m/sとすると、 { T } = 1 2 × 2 × 3 2 {\displaystyle \{T\}={\frac {1}{2}}\times 2\times 3^{2}} という、Tが9 Jであることを示す数値方程式が得られる。 順序尺度量(ordinal quantity) 協定による測定手順によって定義できる量で、同じ種類の量が他にあるときに、それらの量の間で代数演算はできないが、大きさに従って全体の順序関係を確立することができるもの。例えばロックウェル硬さ、オクタン価、腹痛の主観的レベルなど。 測定目盛(quantity-value scale, measurement scale) 大きさに従ってその種類の量の順位付けするのに使用する、与えられた種類の量の、量の値の順序集合。例えばセルシウス温度目盛、ロックウェル硬さ目盛、時計の目盛など。 順序尺度量の値の目盛(ordinal quantity-value scale) 順序尺度量の測定目盛。 協定による参照目盛(conventional reference scale) 公式の合意によって定義された測定目盛。 名義的性質(nominal property) 現象・物体・物質の特性で、大きさを持っていないもの。性別、色、国名コード、分子配列など。
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