用語・概説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 05:38 UTC 版)
イオマンテの語は、イ(i、'それを')+オマン(oman、'行く')+テ(te、'何々させる(使役動詞語尾)')からなり、すなわち'それを送る'という意味であるが、「それ」とは恐れ多いカムイの名を直接呼ぶ事を避けた婉曲表現であり、従ってイオマンテとは「カムイを行かせる」儀式の意である。また、語頭のiとoの間に渡り音のyが挿入されてiyomante=イヨマンテという発音になることも多い[要出典]。 近代においては単にイオマンテという場合、熊(ヒグマ)のイオマンテが主体とされる。 飼育したヒグマを対象とする儀式はイオマンテ、狩猟によって捕殺した野生のヒグマ(キムンカムイ、'山の神')を対象とする儀式はカムイ・ホプニレ (kamuy hopunire) と呼んで区別する地域もある。「ホプニレ」とはho「尻」+puni「何々を持ち上げる」+re「使役動詞語尾」で「(カムイを)発たせる」の意味。狩猟で殺した直後の獣のカムイは、魂 (ramat) の形で両耳の間に留まっているという。そこでカムイ・ホプニレの儀式では祭壇を設えてヒグマの頭部を祀り、酒食やイナウを捧げてそのカムイに神々の世界に帰ってもらうのである。 本来は、カムイであればどんな(狩猟動物の)カムイでも構わなかったと推考されている。かつてアイヌがかつ本州に居住していた頃に熊送りがおこなわれていたなら対象はツキノワグマであったことはいうまでもない。熊以外の具体例では、シマフクロウ(コタンコロカムイ、'集落の守り神')のイオマンテを一部の地域では重視されているが、梟送りは、カムイ・ホプニレとも呼称される。またシャチ(レプンカムイ、'沖の神')を対象とするイオマンテもある。
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