現行印鑑登録制度成立の背景とは? わかりやすく解説

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現行印鑑登録制度成立の背景

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 02:24 UTC 版)

印鑑登録」の記事における「現行印鑑登録制度成立の背景」の解説

印鑑印章)は近世以降日本一般庶民の間でも商業権利契約の際に広く使用されるようになっていたが、登録制度による公的な裏付け開始されたのは1871年明治4年)の太政官布告第456号「諸品売買取引心得定書」によるもの最初である。市町村制施行以前であったことから、各地域有力者である「身元町村指配の庄屋或は年寄共方」に印鑑帳を置き、これに住民印鑑印章)を押捺して保管する形式を採った。 その後1878年明治11年)の太政官達32号府県官職戸長職務の慨目」において「町村内の人民の印影簿設置」が戸長後年市町村長に相当)の事務一つとされ、以降印鑑登録自治体の長が任を負う自治事務となった以後1888年明治21年)の市制町制実施1947年昭和22年)の地方自治法施行後もこの原則踏襲された。 印影簿保管方式による印鑑登録証明は、登録されたものと同一印影押捺され書類市町村役場窓口持参する方式を採る。市町村職員印影簿と提出書類印影対比し同一印影認められる場合に、提出書類に「登録され印影認める」旨の証明印を市町村長名で押印してこれを証明したこの方式は、印鑑登録証明の頻度低く市町村単位小さかった時代には一応機能していたが、太平洋戦争後、市町村合併進行して市町村役場1箇所あたりの登録印影数が大きく増加し、更に経済活動活発化により、各種契約申請において印鑑登録証明の添付求められる頻度高くなると、運用困難さ顕現化した。 もとより印鑑印章)は繰り返し使用によって徐々に摩滅し、また押印時の力のかけ方や、紙・朱肉の質の違いによって、押捺ごとに印影微細な差異生じることは避けられないこのような印影につき、市町村職員磨耗前に記録され印影簿との視認詳細に対比して書類1通ごとに証明与え作業自体非効率繁雑であった1950年代以降は、例えモータリゼーション進展により、自動車販売業者新車登録のために、顧客押印済み書類一度数十単位役所窓口持ちむような事例増加し自治体担当者証明手続事務作業忙殺された。更には書類印影真偽巡って、これに証明与えた市町村利害関係者から責任問われ民事訴訟起こされる事態少なからず発生したのであるこのように印影簿式の印鑑登録制度では市町村側への負担増大する一方であり、また個々市町村取扱基準まちまちであったため、自治省に対して全国統一して運用される印鑑登録法の制定」を求める声が昭和30年代以降全国市町村から高まった。だが、当時3000以上存在した全国市町村で、それぞれ条例もしくは長年慣例によって運用されていた印鑑登録制度を、一斉に統一制度移行させることは現実として難しく自治省法制定の必要性認めながらも、二の足を踏む状態が続いた相前後して実用的な複写機開発に伴い市町村役場印影簿から印影複写した印鑑登録証明を発行し押印され印影との照合判断契約申請当事者委ねることが合理的であるという着想浮上した条例改正し複写式の印鑑証明方式導入する自治体1960年代徐々に増え始めた。 しかし、1960年代初頭時点では「青焼」と呼ばれるジアゾ複写機事務用の小型場合湿式複写用いる関係で複写印影のにじみ、歪み危惧され、またゼロックス代表されるPPC複写機複写変質はほとんど生じないものの、普及初期装置導入コスト極めて高価という課題があった。更に一部法務局金融機関などは、当初複写式の印鑑登録証明を公的証明として認めることに消極であったこのため1960年代後期でも旧来からの窓口証明方式維持する市町村大勢占めた。 それでも印鑑証明申請件数年々増加する一方で在来方式での事務処理増大放置できる状態ではなくなっていた。複写印鑑証明大量申請にも速やかに対応できる合理的手法であることは明らかで、1970年代に入るとPPC複写機普及に伴う導入コスト低下もあり、複写方式への移行趨勢となった。 また実情から見て法律制定は困難と判断した自治省は、1974年に「印鑑登録証事務処理要領」というガイドラインを示す形で実質的な統一基準とし、各市町村にはこれに沿った形で複写式の印鑑証明用い印鑑条例制定させるという現実的な妥協策を示した。 この結果1974年以降数年間のうちに、全国ほぼ全ての市町村自治省の処理要項沿った条例整備され、登録印影複写印鑑証明として交付する方式一般化して、現在に至っている。

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