現行制度における無期刑との区別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/15 08:02 UTC 版)
「重無期刑」の記事における「現行制度における無期刑との区別」の解説
無期刑とは、刑期に「期」限が「無」いことを意味し、これは刑期を定めない、あるいは刑期の上限を定めないという絶対的不定期刑を意味するわけではなく、刑期の終わりが無い、つまり刑期が一生涯にわたるものを意味する。英語では「Life(一生涯の) imprisonment(拘禁)」との語が充てられている。しかし、「一生涯にわたって拘禁する」というのは、あくまでその刑が持つそもそもの性質(名目)であり、刑法に仮釈放や恩赦の規定が存在しなければ実際にも一生涯拘禁されるが、仮釈放の規定があれば実際に一生涯拘禁されるとは限らない。このため、日本の現在の刑法制度における無期刑は必ずしも受刑者を一生涯拘禁するものではない。そこで、この重無期刑は、本当の無期刑を創設しようというものである。死刑には社会復帰の可能性はないが、現行法制度下における無期刑には社会復帰の可能性があるため、中間刑として社会復帰のない無期懲役の導入すべきとの主張と死刑を廃止した上で導入すべきとの主張の2つがある。これに関連した動向としては、2003年に「死刑廃止を推進する議員連盟」によって、仮釈放のない重無期懲役刑および重無期禁錮刑を導入するとともに、死刑の執行を一定期間停止し、衆参両院に死刑制度調査会を設けることを趣旨とする「重無期刑の創設及び死刑制度調査会の設置等に関する法律案」が発表され、国会提出に向けた準備がなされたが、提出が断念された。しかし、2008年4月には同議連によって、再度「重無期刑の創設および死刑評決全員一致法案」が発表され、同5月には、同議連と死刑存続の立場から重無期刑の創設を目指す者とが共同して超党派の議員連盟「量刑制度を考える会」を立ち上げ、その創設に向けた準備を進めたが、国会議員の多数派の賛成は得られなかった。
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