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池内友次郎

池内友次郎の俳句

わが弾くに耕す土の響きかな
春草に野はまろし白き道を載せ
追ふ如くをとめと走る野路夕立
 

池内 友次郎

【英】:Ikenouchi, Tomojirou
[日本]  1906~1991

2006年4月 執筆者: 須藤 英子

俳人高浜虚子次男として東京生まれる。亡命ロシア婦人のニコルスカヤからピアノを、亡命ポーランド人のルビエンスキから和声を習う。慶應義塾大学予科中退後、パリへ留学日本人として初めパリ音楽院入学しビュッセルらに作曲音楽理論を学ぶ。帰国後は、フランス音楽理論書多数翻訳。自らも《和声法講義》を執筆するなど、活発な著述活動を行う。同時に東京芸術大学教授として教育活動にも専心ドイツ音楽主流としていた当時日本の音楽教育界に、フランス式作曲音楽理論持ち込んだ父の影響から俳句創作にも従事。『池内友次郎全句集』など、いくつかの句集残している。脳内出血のため85歳逝去レジオンドヌール勲章シュバリエ章、勲三等旭日中綬章受章文化功労者門下生には矢代秋雄松村禎三林光三善晃などがいる。

ピアノ独奏曲

ピアノ合奏

室内楽


池内友次郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 22:22 UTC 版)

池内 友次郎
生誕 1906年10月21日
出身地 日本東京府東京市麹町区
死没 (1991-03-09) 1991年3月9日(84歳没)
学歴 慶應義塾大学予科中退
パリ音楽院中退
ジャンル クラシック音楽
歌曲
職業 作曲家、音楽教育家、俳人
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池内 友次郎(いけのうち ともじろう、1906年明治39年〉10月21日 - 1991年平成3年〉3月9日)は、日本作曲家音楽教育家・俳人

経歴

俳人高浜虚子の次男[注釈 1]として東京市麹町区富士見町(現:東京都千代田区富士見)に生まれる[1]。5歳から鎌倉に育ち、鎌倉師範附属小学校(現:横浜国立大学教育学部附属鎌倉小学校)から開成中学校を経て慶應義塾大学予科に入る。この頃、亡命ポーランド人のステファン・ルビエンスキーより和声法を学ぶが、ドイツ色の強いフーゴー・リーマンの和声法や対位法の教科書に反発し、慶應義塾大学予科を中退して1927年小松耕輔のつてでフランスに渡る。同年10月、パリ音楽院に入学。フォーシェビュッセルらに師事して作曲技法の吸収に邁進した。一時帰国の期間を挟み、10年後の1937年に正式に日本へ帰国。

帰国後は、コロムビア日本放送協会大映などでの短期間の活動の後、理論書を中心とした執筆・翻訳活動や後進の指導に尽力した。1937年より日本大学芸術科で教鞭を取る。1943年より同科主任、1949年まで務める。1947年からは東京芸術大学作曲科教授に就任し、後に同図書館長、音楽学部長を歴任する。1958年相愛女子大学音楽学部作曲科主任となる。1974年、東京芸術大学を退官し名誉教授となる。1962年レジオンドヌール勲章「シュバリエ」を受章、1977年勲三等旭日中綬章を受章。1986年文化功労者となる。1991年脳内出血のため逝去。

池内は日本人として初めてパリ音楽院に入学し、フランス流の作曲技法を日本に持ち帰り、教育者として戦後日本の作曲・音楽教育水準の底上げに貢献した。音楽理論を中心に多数の翻訳書・著書があり、門下からは多数の作曲家を輩出している。

東京音楽学校の設立以降、日本における西洋音楽教育はドイツの流れを汲むものが主体であった。しかし、池内が教授に就任して以降の東京藝術大学では、作曲・ソルフェージュの教育は次第にフランス流のものに置き換わり、その影響は同大学のみならず日本の音楽教育全体に及んだ。

創作ではソナチネや弦楽四重奏曲などの作品を遺したが、1950年代後半以降はほぼ音楽教育に専念した。

最初の妻・芳枝との間に3人の子があった。芳枝の死後、1973年ピアニスト遠藤郁子と再婚した(晩年に離婚)。芳枝との間の次女の池内睦子(ヴァイオリニスト)は、アメリカ人ピアニストでパシフィック大学教授のレックス・クーパーと結婚しており、睦子とレックスの間に生まれた娘がチェリストのクリスティーナ・レイコ・クーパーである[2]

俳人としては、フランス留学以前から父の影響で創作を始め、父の主宰する俳句文芸誌『ホトトギス』にも参加していた。句集に『調布まで』『池内友次郎全句集』などがある。

主な作品

管弦楽曲

  • 短章組曲 op.2(1934年以前)
  • 馬子歌(1937年) - JOAK委嘱による「国民詩曲」の一つ。
  • 交響的二楽章(1951年11月4日放送/芸術祭参加)[3]

室内楽曲、器楽曲

  • 日本古謡によるバラード op.8(vc, pf, 1934以前初稿、1936年改訂)
  • 絃四重奏曲 op.6(1934年以前)
  • ピアノのためのイントロダクションとアレグロ op.7(pf, 1934以前)
  • Divertissement Fugue op.10-2 (pf, 1936)
  • 八重奏曲 (1938年)
  • 絃四重奏曲 - 前奏曲と追走曲(1946年)
  • ピアノのためのソナチネ(小奏鳴曲 第1番、1954年)
  • ヴァイオリンのためのソナチネ(小奏鳴曲 第2番、vn, pf, 1956年)
  • チェロのためのソナチネ(小奏鳴曲 第3番 vc, pf, 1957年)
  • 礼奏(ピアノ連弾、1958年)

声楽曲

  • あまりりす op.3(vo, orch, 1929年)
  • こすもす op.9(vo, orch, 1929年)
  • 月見草 op.1(vo, orch, 1931年)
  • 櫻 op.5(sop, orch, 1933年)
  • 暁の郎坊(vo, pf, 1937年)
  • 少年の夢多し(女声高声二重奏、pf, 1938年以前)
  • 日本詞華集(1938年以前)
  • 紅梅 op.21(vo, または朗読, orch, 1939年以前)
  • 農民の歌(vo, orchまたはpf. 1939年)
  • 半壁山奪取の日(vo, 管弦楽, 1939年頃)
  • 熊野 - ソプラノと管弦楽のための3つの小品(1942年)
  • 南十字星(br, pf, 1942年)
  • ソプラノのためのソナチネ(sop, pf, 1958年)
  • 戀の重荷 (cho, vo, tim, 1974年)

映画・放送音楽

  • 暖流(岸田国士原作、吉村公三郎監督、1939年)
  • 鉄輪(英語劇、1940年)
  • 隣組記(日本映画社、1942年)
  • 激流(松竹映画、1944年)
  • 物語「愛子」(1947年)

校歌

著書

句集

音楽理論書

米印の入っているもののみAmazonから入手可能。

  • 対位法――理論及実習(古賀書店/1941年)
  • 対位法(音楽之友社/1950年)
  • 楽典(音楽之友社/1951年)- 外崎幹二との共著※
  • 聴音練習書(音楽之友社/1951年)- 外崎幹二との共著
  • 作曲法講義(全音楽譜出版社/1959年 - 1961年)- ヴァンサン・ダンディの『作曲法講義』(池内友次郎訳)とは別
  • 和音外音(音楽之友社/1965年) doi:10.11501/2506144
  • 二声対位法(音楽之友社/1965年)
  • 和声――理論と実習(音楽之友社/1964年 - 1972年) - 共著。全3巻と別巻を合わせた4冊※
  • 和音構成音(音楽之友社/1966年 - 1981年)-「(I)協和音」「(II)不協和音」「課題・実習 実施篇」の3冊
  • 三声 - 八声対位法(音楽之友社/1975年)
  • 学習追走曲(音楽之友社/1977年)doi:10.11501/12432452
  • 新版二声対位法(音楽之友社/2024年)※
  • 新版三声 - 八声対位法(音楽之友社/2024年)※
  • 学習フーガ(音楽之友社/2024年)※

訳書

その他

  • 父・高浜虚子 わが半生記(永田書房/1989年)

門下

1955年には門下生による作曲家グループである「深新会」が結成される。

脚注

注釈

  1. ^ 池内姓である理由については高浜虚子#経歴を参照。

出典

  1. ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 87頁。
  2. ^ Kristina Reiko Cooperプロフィール(Aspen)
  3. ^ オーケストラ・ニッポニカ (Orchestra Nipponica)”. www.nipponica.jp. 2023年2月15日閲覧。
  4. ^ 楽器編成応用概論”. ci.nii.ac.jp. 2018年11月6日閲覧。

関連項目


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