死生学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/15 17:34 UTC 版)
死生学(しせいがく)は、英語では「thanatology」や「death studies」などと呼ばれるものに該当し、死についての学問的研究と定義することができる。前者はギリシャ語で「死」を意味するタナトス( θάνατος)と「言葉・理性・学」などを意味するロゴス(λόγος)が結びついた造語である。日本語の「死生学」は「death and life studies」などと英訳することもある。死にゆく過程や死別後の悲嘆などを理解し、対処する臨床系の死生学と、死や死後についての哲学的、宗教的な思想や観念、つまり死生観や、埋葬法や葬送の実践などを研究する人文系の死生学とがある[1]。
- ^ 『死生学【全5巻】 - 東京大学出版会』 。
- ^ 長尾龍一「生と死」『法哲学批判』信山社、1999年、p.86-88
- ^ 1997年から1998年にかけて日本における自殺率は大幅に上昇し、2002年に横浜で行われた第12回世界精神医学会では推計で日本の自殺率は実質世界1位であるとの見方が示された。自殺問題は近年かなりクローズアップされ、大きな社会問題となっている。もちろん自殺率の高まっている理由は必ずしも死生観の問題であるわけではなく、むしろ経済問題などが影響していると思われるが、死生観教育を通じてこれを抑制することは可能であろう。参考資料:平成17年中における自殺の概要資料、平成16年中における自殺の概要資料、平成15年中における自殺の概要資料、世界最高水準の自殺率の構造を探る
- ^ これはネアンデルタール人の化石とともに花粉が発見されたことから埋葬儀礼の成立をネアンデルタール人に由来するという説である。これについては異論も存在する。
- ^ プラトン『パイドン』
- ^ 田中美知太郎「ロゴスとイデア」『田中美知太郎全集 第1巻』筑摩書房、1968年、p.33-36
- ^ ハイデガー著、桑木務訳『存在と時間』岩波文庫、1963年、中巻、p.206-249、下巻、p.68-75
- ^ 自殺予防のために教育分野での充実を図るといったようなことは条文中では明言されていないため、自殺予防教育としての「死の準備教育」が導入されるかは明確でない。一方で道徳教育の充実を求める声は根強く、「ゆとり教育」の目的の一つも道徳・情操教育の充実にあった。「ゆとり教育」以前は道徳の授業を他の科目に振り替えることも行われていたが、現在道徳の授業時間は基本的に確保される傾向にある。ただし道徳教育の内容自体はしつけや善悪判断などの従来型の道徳観教育が中心で、死生観教育の観点から行われる事例は少なく、市民もルール的な規範教育を期待している傾向にある。参考資料:gooリサーチ 「子どもの学力状況」に関する調査結果
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