妊産婦死亡率とは? わかりやすく解説

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妊産婦死亡率

人口学者は次のような死亡特定の側面特別な注意向けている。それは個人遺伝的体質先天異常 2出産に伴う傷害、あるいは加齢に伴う退化的な疾病によって引き起こされる内因性死亡 1と、それとは反対に感染症寄生虫病事故による傷害出産時子供が被る傷害は除く)等のような外的な原因によって引き起こされる外因性死亡 3である。また、妊娠分娩および産褥 4にかかわる傷病にも特別の注意向けられている。これらの傷病による死亡妊産婦死亡 5呼ばれる。妊産婦死亡率 61年間妊産婦死亡数の、同じ年における出産数に対す比率として計算される老衰 7による死亡割合は、主に死因報告不充分さの指標として関心持たれている。


妊産婦死亡率

【英】:MMR, Maternal Mortality Ratio

妊産婦死亡とは、妊娠中または分娩後42以内母体死亡をいう。日本では、妊産婦死亡率は、Maternal Mortality Rate使っているが、実際上、開発途上国では、Rateを取ることは不可能なため、Ratio使っており、英語訳Maternal Mortality Ratioとする。Maternal Mortality Ratio−妊産婦死亡率は出産数(出生数10万対す年間妊産婦死亡数で示される
世界で妊娠・出産結果死亡する女性毎年50万人以上おり、その内90%以上が開発途上国起きている。世界出生10万対の妊産婦死亡率は400であり先進国が9に対して開発途上国450データ:UNICEF2005)である。世界全体の妊産婦死亡率がやや減少したがその理由は、もともと死亡率低かった国での減少よるもので、死亡率の高い国では、過去15年間ほとんど進展みられない
妊産婦死亡には妊娠合併症による死亡出産に伴う死亡がある。その主要原因としては産後弛緩出血妊娠中毒症不潔な出産取り扱いによる産褥感染妊娠中毒合併症などがある。また開発途上国における妊産婦死亡背景には、早婚若年妊娠多産妊娠中の母体保護欠如伝統的産婆家族介助による出産医療機関医療関係者の不足や緊急時搬送手段の不足、異常時の対応の遅れなどがある。
開発途上国妊産婦死亡減少するためには、このような背景要因適切に把握して対策をたてる必要がある国際的に1987年以来WHOとUNICEF開発途上国安全な妊娠・出産運動Safe Motherhoodプログラムイニシアチブ)を推進している。国連ミレニアム開発目標では、妊産婦死亡率を4分の1減少することが掲げられているが、2007年発表によると、その減少率は、年間1%未満とどまっている。(黒瀧 安紀子

参考URL:WHOホームページ 
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2007/...

妊産婦死亡率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/08 08:09 UTC 版)

妊産婦死亡率(にんさんぷしぼうりつ)(英語表記ではMaternal Mortality Ratio)、とは、世界保健機関厚生労働省、世界の諸国の保健医療政策を統括する行政機関が定めている、保健医療政策の統計に用いられる概念・結果指標のひとつであり、妊産婦10万人中の死亡数のことである[1][2]

定義と計算式

妊産婦の定義は、1978年以前は妊娠中および妊娠終了後満90日未満、1979年以後は妊娠中および妊娠終了後満42日未満である[1][2]

計算式は、妊産婦死亡率 = 年間妊産婦死亡数 ÷ 年間出産数(出生数+死産数) × 100,000である[1][2]

妊産婦死亡数の定義は、妊娠出産または妊娠・出産に関連する病気が原因にある死亡である。妊娠に関連しない病気や、事故犯罪テロ戦争自然災害自然破壊気候変動などの外的な原因による死亡は含まない[1][2]

直接産科的死亡とは、妊娠・出産中に妊娠・出産自体が原因で死亡した事例、間接産科的死亡とは、妊娠前から発症していた病気や障害が、妊娠・出産の影響で悪化して死亡した事例である[1][2]

妊産婦死亡率の推移

医学医療技術の進歩と向上、経済力と財政力の増大、医療制度・社会保障制度・健康保険制度の整備・普及により、妊産婦死亡率は世界保健機関、厚生労働省、世界の諸国の保健医療政策を統括する行政機関が定めている、周産期死亡率新生児死亡率乳児死亡率乳幼児死亡率・成人死亡率(15歳から60歳の死亡率)などの、保健・医療政策の統計に用いられる概念・結果指標と同様に、日本、世界の諸国、地域別国家群の平均値、所得水準別の国家群の平均値、世界全体において、時代の経過とともに減少し、大部分の国では史上最少記録を更新している[3][4][5][6][7][8][9]。世界の諸国の中で妊産婦死亡率が最少グループの国では、妊産婦10万人中の死亡率が5人以下まで減少すると、継続的な減少傾向が収束し、5人以下の範囲内で微増・微減を繰り返しながら停滞する状況になっているので、妊産婦10万人中の死亡率が3人から5人が、人の遺伝形質をもつ生物種の集団である人間社会が到達できる限界値と推測される[3][4][5][6][7][8][9]。妊産婦死亡率が10年単位で継続的に増大傾向になる事例は、戦争・内戦、著しい貧困化・絶対的貧困化、保健医療政策の破綻・縮小・機能不全などの原因が長期間継続されている国であり、世界の諸国の中では少数事例である[6][7][8][9]。日本では妊産婦死亡率の統計を最初に算出した1899(明治32)年の妊産婦10万人中409.8人から、2016年には1899年の100分の1未満の3.4人まで減少した[3]。個々の国の妊産婦死亡率は、高所得国・上位中所得国・下位中所得国・低所得国などの経済の発展段階や、医学と医療技術の発展段階、国の医療制度・社会保障制度・健康保険制度により差があり、最も高いグループの国と最も低いグループの国では100倍以上の差がある[4][5][6][7][8][9]

日本の妊産婦死亡率の推移

日本の妊産婦死亡率の推移
1899年 - 1919年 1920年 - 1939年 1940年 - 1959年 1960年 - 1979年 1980年 - 1999年 2000年 - 2019年
年度 死亡数 死亡率[3] 年度 死亡数 死亡率[3] 年度 死亡数 死亡率[3] 年度 死亡数 死亡率[3] 年度 死亡数 死亡率[3] 年度 死亡数 死亡率[3]
1899 6,240 409.8
1900 6,200 397.8 1920 7,158 329.9 1940 5,070 228.6 1960 2,097 117.5 1980 323 19.5 2000 78 6.3
1901 6,671 402.6 1921 7,181 337.3 1941 4,929 207.0 1961 1,914 108.2 1981 294 18.3 2001 76 6.3
1902 6,556 392.9 1922 6,565 312.4 1942 4,586 196.9 1962 1,813 100.9 1982 279 17.5 2002 84 7.1
1903 6,071 369.3 1923 6,897 316.8 1943 4,542 193.6 1963 1,701 92.7 1983 234 14.8 2003 69 6.0
1904 5,742 361.7 1924 6,273 295.3 1944 1964 1,699 90.1 1984 228 14.6 2004 49 4.3
1905 6,185 387.8 1925 6,309 285.4 1945 1965 1,597 80.4 1985 226 15.1 2005 62 5.7
1906 6,237 403.9 1926 5,721 256.7 1946 1966 1,266 83.9 1986 187 12.9 2006 54 4.8
1907 6,728 379.4 1927 5,765 264.7 1947 4,488 160.1 1967 1,365 65.5 1987 162 11.5 2007 35 3.1
1908 7,091 388.4 1928 5,997 265.8 1948 4,437 157.0 1968 1,275 63.3 1988 126 9.2 2008 39 3.5
1909 6,399 344.9 1929 5,867 267.4 1949 4,601 159.2 1969 1,094 53.9 1989 135 10.4 2009 53 4.8
1910 6,228 333.0 1930 5,681 257.9 1950 4,117 161.2 1970 1,008 48.7 1990 105 8.2 2010 45 4.1
1911 6,192 325.4 1931 5,667 255.4 1951 3,691 156.7 1971 905 42.5 1991 110 8.6 2011 41 3.8
1912 5,770 306.1 1932 5,530 240.2 1952 3,417 154.7 1972 827 38.2 1992 111 8.8 2012 42 4.0
1913 5,900 309.7 1933 5,763 257.8 1953 3,373 163.6 1973 801 36.3 1993 91 7.4 2013 36 3.4
1914 6,418 328.4 1934 5,709 264.7 1954 3,262 166.7 1974 700 32.7 1994 76 5.9 2014 28 2.7
1915 6,452 332.5 1935 5,698 247.1 1955 3,095 161.7 1975 546 27.3 1995 85 6.9 2015 39 3.8
1916 6,337 325.8 1936 5,384 243.3 1956 2,838 153.9 1976 474 24.5 1996 72 5.8 2016 34 3.4
1917 6,368 326.1 1937 5,444 237.5 1957 2,677 153.6 1977 406 21.9 1997 78 6.3 2017 33 3.4
1918 6,812 352.1 1938 4,877 240.5 1958 2,560 139.2 1978 378 21.0 1998 86 6.9 2018 31 3.3
1919 5,910 309.2 1939 4,818 240.9 1959 2,381 131.7 1979 376 21.8 1999 72 5.9 2019 29 3.3
  • 死亡数の単位は人、妊産婦死亡率の単位は妊産婦10万人中の人。
  • 1944年 - 1945年は空爆激化による混乱状況、1946年は終戦直後の混乱状況が原因で統計は無い。
  • 1945年 - 1972年は沖縄県はアメリカ合衆国による占領統治下で、日本の行政機関による統計が無いので、日本全体の統計に含まない。

世界の妊産婦死亡率の推移

世界全体と地域別の国のグループの妊産婦死亡率の推移
年度 妊産婦死亡率
世界全体 アフリカ アメリカ 東南アジア ヨーロッパ 中東 西太平洋
1990[5] 385 965 102 525 44 362 114
1995[5] 369 914 89 438 42 340 89
2000[5] 341 840 76 352 33 304 75
2005[5] 288 712 67 268 26 250 63
2010[5] 246 620 62 164 19 199 50
2015[5] 216 512 52 102 16 166 41
  • 妊産婦死亡率の単位は妊産婦10万人中の人。

脚注

関連項目




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