歴史的注釈書とは? わかりやすく解説

歴史的注釈書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 02:19 UTC 版)

源氏物語」の記事における「歴史的注釈書」の解説

『源氏物語』については、平安末期以降数多く注釈書作られた。『源氏物語』注釈書中でも、特に明治時代以前までのものを古注釈と呼ぶ。一般には、『源氏釈』から『河海抄』までのものを「古注」、『花鳥余情』から『湖月抄』までのものを「旧注」、それ以後江戸時代末までのものを「新注」と呼び分けている。『源氏釈』や『奥入』といった初期注釈書は、もともとは独立した注釈書ではなく写本本文末尾書きつけられていた注釈があとになって独立した1冊の書物としてまとめられたものである。『源氏大鏡』や『源氏小鏡』といった中世数多く作られ梗概書それぞれ注釈含んでいる。 詳細は「源氏物語の古注釈書の一覧」を参照源氏釈げんじしゃく)』(平安時代末期、全1巻藤原伊行) - もっとも古い源氏物語注釈書。もともとは藤原伊行写本書きつけたもの。 『奥入おくいり)』(1233年ごろ、全1巻藤原定家) - もともとは藤原定家が自ら作成した証本本文末尾書きつけたもの。池田亀鑑写本にこの「奥入」があるかどうか写本青表紙本であるかどうか判断する条件挙げている。大島本明融臨模本書かれている第一次奥入」と定家自筆本大橋本)に書かれている第二次奥入」とがある。 『水原抄すいげんしょう)』(13世紀中ごろ源親行) - 河内方による最初注釈書。現在は大部分散逸した一部残存。 『紫明抄しめいしょう)』(13世紀後半、全10巻、素寂) 『異本紫明抄(いほんしめいしょう)』(著者未詳) - 諸注を集成したもの。『河海抄』の説をまったく引用していないため、それ以前成立であると思われる。 『幻中類林げんちゅうるいりん)』(光源氏物語本事華洛非人桑門了悟) 『弘安源氏論議こうあんげんじろんぎ)』(1280年弘安3年)、源具顕) - 最古討論形態注釈書飛鳥井雅有等8名が参加。 『雪月抄せつげつしょう)』 『原中最秘抄げんちゅうさいひしょう)』(1364年源親行) - 最古秘伝書形態注釈書。『水原抄』中のもっとも秘たる部分抄録して諸家の説を加えたとされる。 『河海抄かかいしょう)』(1360年代、全20巻四辻善成) - 『源氏物語』著作由来物語時代準拠物語の名称、作者の伝や旧跡物語歌道の関係などについて幅広く述べている。全体通して、これ以前考証詳しく触れとともに今案」として自説多く述べている。 『仙源抄せんげんしょう)』(1381年長慶天皇) - 最古辞書形態の注釈書源氏物語語句約1,000いろは順並べた辞書。 『珊瑚秘抄(さんごひしょう)』(1397年四辻善成) - 源氏物語注釈書河海抄』の秘説書。『河海抄』で注を省略した秘説三十三条集めたもの。 『源氏物語千鳥抄げんじものがたりちどりしょう)』(南北朝時代平井相助) 『山頂湖面抄さんちょうめんしょう)』(1449年、祐倫) 『源氏物語年立げんじものがたりとしだて)』(1453年一条兼良) - 源氏物語作品世界内における出来事時間的に順を追って記したもの、つまり年立であるが、独立した年立としては最初のもの。 『花鳥余情かちょうよせい、かちょうよじょう)』(1472年、全30巻、一条兼良) - 冒頭部分自序において「『河海抄』の足りない部分誤っている部分正しくするため著した」とを述べている。注釈特徴としては、単に語句のみを採り上げるのではなく長く文を引用して説明していることと、著者自身左大臣関白勤めていたため有職故実に関して詳しく正確であることが挙げられる。 『源語秘訣(げんごひけつ)』(1477年一条兼良) - 『花鳥余情』の秘伝書。 『種玉編次抄しゅぎょくへんじしょう)』(1499年宗祇) 『弄花抄ろうかしょう)』(1504年三条西実隆) 『細流抄さいりゅうしょう)』(1510年三条西実隆) 『明星抄みょうじょうしょう)』(1530年三条西実枝) 『万水一露ばんすいいちろ)』(1545年能登永閑) 『紹巴抄しょうはしょう)』(1565年20巻20冊、里村紹巴) 『山下水やましたみず)』(1570年三条西実枝) 『孟津抄もうしんしょう)』(1575年九条稙通) 『花屋抄(はなやしょう)』(1594年花屋玉栄) 『岷江入楚みんごうにっそ)』(1598年中院通勝) 『首書源氏物語しゅしょげんじものがたり)』(1673年一竿斎) 『湖月抄こげつしょう)』(1673年、全60巻、北村季吟) 『源氏外伝』(1673年ころ、熊沢蕃山) 『源注拾遺げんちゅうしゅうい)』(1698年契沖) 『紫家七論しかしちろん)』(1703年安藤為章) 『一簣抄』(いっきしょう)(1716年近衛基煕) 『源氏物語新釈げんじものがたりしんしゃく)』(1758年賀茂真淵) 『源氏物語年紀考げんじものがたりねんきこう)』(1763年本居宣長いわゆる新年立。 『紫文要領(しぶんようりょう)』(1763年上下2巻本居宣長) 『源語梯(げんごてい)』(1784年五井純禎(洲)) - 辞書形態の注釈書。 『源氏物語玉の小櫛げんじものがたりたまのおぐし)』(1796年、全9巻本居宣長) - 「もののあはれ」を提唱。 『すみれ草(すみれくさ)』(1812年、全3巻北村久備) - 系図2巻年立1巻からなる。 『源氏物語評釈げんじものがたりひょうしゃく)』(1861年萩原広道) - 古注釈最後に位置づけられる。

※この「歴史的注釈書」の解説は、「源氏物語」の解説の一部です。
「歴史的注釈書」を含む「源氏物語」の記事については、「源氏物語」の概要を参照ください。

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