本編の主要人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:01 UTC 版)
「食糧人類-Starving Anonymous-」の記事における「本編の主要人物」の解説
伊江(いえ) 本編の主人公。画家を目指しており、画力をはじめ自分が見たものを瞬時に記憶し、物や風景を描く瞬間記憶能力を持つ。 普段は内向的かつ気弱な性格でナツネや小倉に言われるがままであることがほとんどだが、その記憶力を活かし機転を利かせて迫り来る追跡者に立ち向かうなど勇敢な面もある。 ナツネ達によって巨大生物が壊滅したことでゆりかごから生還する。その後は高校へは復帰せずカズと共同生活を送っていたが、ゆりかごに残ったナツネの事を忘れることができず単身ゆりかご跡地へ向かい掘削作業を行う。意識朦朧状態の中、夢と現実の狭間でナツネと山引に再会する。巨大生物壊滅の真相を聞かされた後「一緒に帰ろう」と提案するも断られ、ナツネから再会の言葉と別れを告げられ日常生活へと戻っていった。 カズ 伊江の親友。本名は不明。祖父母が熱中症で亡くなったことがきっかけで気象学者を目指す。 伊江とバスに同乗した時、催眠ガスで眠らされ施設に連れ出される。施設で伊江と再会するも養殖用の薬液の影響で急激に肥満体型になり、また中毒性の高い薬液により人格も別人のようになってしまう。脱出しようとする伊江に連れて行かれる。 ナツネ達によって巨大生物が壊滅したことでゆりかごから生還する。接種した薬液が微量だった為か以前の状態に戻りつつあり、伊江と共に共同生活を送っている。 ナツネ 本編のキーマンの1人。人間飼育場の中で出会った黒髪の青年。後述の特殊な出生と経歴のため言葉によるコミュニケーション能力が低く、目的のためなら暴力を振るうことも辞さないなど乱暴な言動が目立つ。しかし壮絶な末路が待つ生殖種に対して哀れみを見せ、不器用ながらも伊江と交流しようとするなど人間として真っ当な感情を持っている。 実は、施設の医療部が巨大生物に対する食糧の安定供給のために開発していた増殖種の被験体である女性の子供であり、完全体の増殖種。そのため中枢神経を損傷しない限り体のあらゆる部位が欠損しても再生する能力を持ち、文字通り肉を切らせて骨を断つ戦法で戦う。また通常の人間に比べて成長速度も速く、実年齢は6歳。不完全体であった母親は死亡し、自身を生み出したゆりかごに対して復讐のために戦う。 施設から脱出しようとする伊江とカズ、小倉と別れて山引と同行するが、伊江達が夕凪の会に捕まった事を知ると駆けつけて助ける。その直後、停電が起き、和泉に呼び出される形で所長室に乗り込むが、和泉にショットガンで頭を吹き飛ばされ絶命する。しかし、山引がナツネの脳を体内に取り込んだことで背中から飛び出して復活を遂げた。巨大生物との決着をつけるべく山引に自らの体を齧らせ、数多くのクローンを作り上げ、クローン達と共にゆりかご内に留まり半永久的に喰われ続けることでプリオン病を誘発させ巨大生物を壊滅させた。その後は自身を助けに来た伊江と再会し「一緒に帰ろう」という誘いを断り再会の言葉を告げてどこかへ去っていった。 山引(やまびき) 本編のキーマンの1人。ナツネと同行している中性的な青年。あらゆる不思議な物が大好きな知的好奇心を持つ。また男女問わず性的欲求を覚えるバイセクシャルかつ貞操観念も低く、様々な場面で性的興奮を催す変人。しかしその見た目や言動による雰囲気から意図せずとも周囲の者を惹き込み味方にしてしまう謎の人間的魅力を持つ。 かつては桐生が教授を務める研究室の研究生で、その奇抜な発想によって遺伝子学において新発見を繰り返すなど天才的な才能を見せていた。しかし人間の遺伝子を利用して人造生物を作るなどの禁忌を犯したことや前述の人間性を危険視した桐生の罠によって事故に見せかけ致死量の放射線を浴びせられる。自身に種々雑多な生物の遺伝子を移植することで破壊された細胞を補っており、それを知った自身に傾倒していた桐生の一人娘・有希も後を追って放射線を浴びた結果、最終的には有希のみ小型猿と人間を融合したような姿にしてしまった。 巨大生物を根絶させる一手としてナツネのクローンを作り出し延々と喰わせることでプリオン病を誘発させる策をナツネに提案し実行に移す。ナツネの細胞を直接採り込むことで自身の体を媒介に大量のクローンを作り出すが、やがて体の全てがナツネのクローンへと分裂し消滅してしまった。その後はナツネたちを助けに来た伊江と再会し、巨大生物壊滅の真相を伊江に語った後、ナツネと共にどこかへ去っていった。 小倉 年雄(おぐら としお) 施設の天井裏に隠れている男性。浮浪者と思わせる要望をしている。伊江たちからは「オグっちゃん」と呼ばれている。 元はゆりかごの機密を暴くために職員として潜入したルポライターであったが、巨大生物に人間たちが平然と捕食されていく異常な光景を見たことでその場から逃げ出し、以降は脱出することもできずに天井裏に潜伏していた。 施設からの脱出は叶わず天井裏を拠点として長年に渡り潜伏を続けているが、それゆえに施設内の機密情報や構造などを知り尽くしている。しかしあまりにも孤独な時間を過ごしたことで性格はやや歪んでおり、絵で描いた女性を裕子と呼び、あたかも存在するかのように接する。 ナツネ達によって巨大生物が壊滅したことで伊江、カズと共にゆりかごから生還する。その後はゆりかご内での出来事を書籍で出版しベストセラー作家となった。
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