映画音楽でのエピソードとは? わかりやすく解説

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映画音楽でのエピソード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 02:37 UTC 版)

伊福部昭」の記事における「映画音楽でのエピソード」の解説

映画音楽デビュー作銀嶺の果て』は、監督谷口千吉にとっても、また主演三船敏郎にとってもデビュー作であった。その『銀嶺の果て』の打ち上げの席で、小杉義男に、「あんた、監督さんにあんなふうに口答えするなんてどういうつもりなんだ」と、論争したことをとがめられた。しかし小杉離れたあと、志村喬がやってきて、「音楽入れ方監督論争する人は初めてだ。これから大い頑張りなさい」と励まされた。 1948年昭和23年)、映画の仕事京都滞在していた際に、撮影所そばの小料理屋二階月形龍之介とこたつで酒を飲んでいると、途中から入ってきた男がいた。「またもらい酒か」などと言われながらもニコニコしながら酒をおごってもらい、名前も名乗らぬままおごり酒に酔いつつ飄逸洒脱な話題延々大飲した。その際俳優映画会社への愚痴から、伊福部は「不遇な映画人」という印象受けたという。伊福部その男と気が合いその後数年間、お互いの名前も分からないままたびたび会っては酒をおごらされていた。この男こそ特技監督円谷英二で、当時円谷公職追放中の身であった。のちに映画『ゴジラ』の製作発表現場でバッタリ再会し2人とも大変驚き、またお互いに初め相手の名前知ったという。 円谷英二特撮のラッシュ・フィルム(編集前の現像されたばかりフィルム)を、他人に決し見せなかったが、特別にラッシュ見せてもらい、作曲活かしていた。これも数年間にわたる円谷へのおごり酒が背景にあり、冗談めかして「なにしろ円谷さんにはそういう“神の施し”があったもんですから」と語っている。また、サンダカン八番娼館 望郷』などでコンビ組んだ熊井啓も、「作曲家はふつう、編集ずみのフィルム見て音楽をつけるが、伊福部さんは撮影されフィルム全部見ていた」と証言している。 『座頭市』シリーズなどで仕事を共にした勝新太郎とは、「勝っちゃん「先生」呼び合う仲で、後に勝が舞台で座頭市を行う際、オープニング伊福部ボレロなければならないと言うこと伊福部音楽依頼したと言う伊福部は、映画音楽では録音テストの際、必ず自ら指揮棒振った伊福部映画作品でのコンビ長かった指揮者森田一によると、その際、普通の倍の長さ指揮棒を使うのが常だったまた、このテストの際の指揮テンポ次第遅くなって、スクリーン映写した画面といつも合わなくなるのだが、それは伊福部音楽響きチェックしていたためだという。 これも森田によると、伊福部スコア作曲時間短さ関わらず、非常に細かくしっかりと書き込まれており、曲の途中複雑な変拍子が入るのも特徴で、この変拍子を振るのはコツがいるものだった『ゴジラ』では、なかなか決まらず難儀していたゴジラの鳴き声表現に、コントラバススル・ポンティチェロというきしんだ奏法の音を使用することを発案したり、劇中での秘密兵器オキシジェン・デストロイヤー水槽内で実験するシーンでは、弦楽器グリッサンドしながら高音きしんだトレモロ奏でた後、ピアノ低音部でトーン・クラスター奏するなど、映画公開され1954年昭和29年)にはまだ現代音楽界でも認知されていなかった手法大胆に用いたことは、世界的に見て特筆価するのだった。さらに『空の大怪獣ラドン』では、ピアノ内のピアノ線直接ゴムバチ叩いたり、『キングコングの逆襲』メインタイトル曲では、同じくグランドピアノ内の弦を100円玉でしごくという奏法使用している。怪獣効果音で最も苦労したものとして、『キングコング対ゴジラ』大ダコ挙げている。 『フランケンシュタイン対地底怪獣』では、伊福部フランケンシュタインテーマ曲のためにバス・フルートという通常のフルートより低音楽器日本の映画界で初使用している。この楽器当時日本には1本しかなかった非常に珍しいもので、音量低さからオーケストラ演奏では稀にしか用いられないものだが、伊福部は「映画音楽しかできませんね」と、マイクロフォン用いることで効果的な旋律実現している。 伊福部東宝作品の音楽数多く手がけたが、黒澤明作品は、『静かなる決闘』1作のみである。映像音楽弁証法的融合目指し黒澤にとって、伊福部訴求力完結性の高い音楽相容れないものであった考えられる伊福部自身も、黒澤作品における音楽付けにくさについては後に証言している。だが、音楽にも造詣の深い黒澤は、作曲家としての伊福部能力を非常に高く評価しており、『静かなる決闘』における土俗的な音楽について一定の評価をしていた。また、伊福部映画音楽デビュー作銀嶺の果て』(谷口千吉監督)は、黒澤脚本を手がけ、製作にも関わっていたが、あるシーン入れ音楽のことで伊福部監督谷口対立した際、黒澤全面的に伊福部支持している。この時は結局伊福部主張通ったとなったが、出来上がった音楽谷口をも十分納得させるものであった書籍東宝特撮映画全史』での寄稿特撮映画音楽」で、特撮映画音楽について感ずこととして、 一般映画においては納得しがたい観念的な芸術論悩まされることが多いが、特撮映画ではこれはほぼ皆無である ドラマツルギー支配されすぎると、音楽自律性失いスポイルされるものだが、特撮映画にはその危険性はなく伸び伸び作曲ができる 音楽は本来、音楽以外表現できないものだが、スクリーン映像結合すると「効用音楽」として不思議な効果生む述べ、「音楽としての自立性失わずに、こういった効果万全に利用できるのが特撮映画音楽特質一つである」と結論付けている。同時に今日、テクノロジイが発達しすぎたためか、映像音楽無機質流れ人間性から離れる傾向があり、今一度本来の人間性にたちかえった特撮映画復活を望む」と締めくくっている。また、伊福部特撮映画作品別全長サウンド・トラックレコード1980年代まで長らく発売されなかったが、これも「映画音楽は、映像合わさって効果生むものなので、一般音楽とは違うもの」との考えから許可を出さなかったものと述べている。 自身担当していなかった時期ゴジラシリーズについては、作品コミックになっていったため自身作風ではイメージ表現しづらいとの考えから引き受けなかったと述べている。

※この「映画音楽でのエピソード」の解説は、「伊福部昭」の解説の一部です。
「映画音楽でのエピソード」を含む「伊福部昭」の記事については、「伊福部昭」の概要を参照ください。

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