日本の両生類相とは? わかりやすく解説

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日本の両生類相

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/03 21:02 UTC 版)

日本の両生類一覧」の記事における「日本の両生類相」の解説

日本爬虫両棲類学会の『日本産爬虫両生類標準和名2015年5月28日改訂案)』及び国立研究開発法人国立環境研究所侵入生物データベース』に基づいた下記の一覧を見ると、日本生息する両生類は、定着した判断される外来種含み、2目10247681亜種である。内訳は、在来種が2目9科207176亜種外来種が2目5科5属5種である。また、在来種のうち、日本固有種6166亜種であり、固有種割合は約86%にもなる。『日本産爬虫両生類標準和名2015年5月28日改訂案)』より前の2014年9月発刊された『レッドデータブック2014』(環境省自然環境局野生生物希少種保全推進室編、2014iii頁)でも両生類の約8割が日本固有種であるとしている。 目の単位では、有尾目サンショウウオ目)が32種(外来種除く)、無尾目カエル目)が38種(外来種除く)であるのに対し世界における現生両生類は、有尾目が約436種、無尾目が約4383種 である。後述するように、2014年現在においても新種記載がされていることから単純に比較できないものの、世界対す日本分布する在来両生類割合は、前者が約7.3%、後者が0.87%となり、世界陸地面積対す日本の国土面積との割合0.25% よりも、ともに大きい値である。それを示唆するものとして、新種記載進んでいない1980年代において、千石1982)は、『(サンショウウオ類の)発生の地と考えられるユーラシア大陸東部でも、その広大な地域合わせてすら種類数が日本およばない。』 と説明している。 両生類一般的に移動性低く変温動物で、成体皮膚乾燥に弱いため水系から離れることが困難であり、産卵幼生オタマジャクシ)の生息水系依存するという特徴を持つ。これらの基本的な特徴踏まえて日本における多様な両生類相を概観する有尾目の中で、サンショウウオ科地理的分化著しく、ほとんどの種の分布域は非常に狭い。これは、サンショウウオ類の移動能力低さ加え日本では山地発達したことで、両生類繁殖環境かつ幼生生息環境となる水系分断されることをあげている。現に、サンショウウオ科28種のうちキタサンショウウオを除く27種が固有種である。また、2012年から2014年にかけて、多く隠蔽種が新記載されており、特にもともとハコネサンショウウオ1種であると考えられていたハコネサンショウウオ属が6種に細分されている。また、千石1982)や上野2000)は、琉球列島奄美大島以南サンショウウオ科確認されていないことや、本州太平洋側よりも日本海側分化著しいことなどから、サンショウウオ科多くは、朝鮮半島経由西日本侵入した祖先種に由来するではないか考察している。また、最大両生類であり、国の特別天然記念物オオサンショウウオ や、両生類の中では珍しく陸上産卵するという特徴をもったイボイモリ などの遺存種が、本州中部琉球諸島生息することも日本の両生類相の特徴として挙げられるカエル類(無尾目)では、北海道から本州四国九州にかけて生息するものは、分布域広くアカガエル類等の北方起源のものが多いとされている。個々の種を見てみると、本州から四国九州生息するものはアマガエルのように広く分布する種もいれば、ニホンヒキガエルとアズマヒキガエルのように亜種日本の東西に分かれる分布を示すものもいる。また、カエル代表格であるトノサマガエル注目すると、近縁ダルマガエルの2亜種のうち関東地方分布する亜種トウキョウダルマガエルとは異所的分布を示すのに対し瀬戸内地方分布する亜種ナゴヤダルマガエルとは同所的分布するという亜種間で異なった様相をみせる。タゴガエルは、本州広く分布する亜種タゴガエルと、隠岐諸島固有のヤエヤマハラブチガエル屋久島固有のヤクシマタゴガエルの3亜種に、島嶼間で区別されるこのように種によって独特な分布パターンを示す。一方で琉球列島においては渡瀬線より南のトカラ列島以南著しく分化しており、さらに、中琉球トカラ海峡とケラマ海峡挟まれ琉球列島中部奄美諸島沖縄諸島等が含まれる。)にしか分布しておらず、琉球列島南端八重山諸島においても近縁なものが確認されていない種が多いことが特徴的である。他にも興味深い分布をする種としては、中国広く分布するアジアヒキガエルが最も近縁な群考えられている宮古諸島固有亜種ミヤコヒキガエル や、奄美大島徳之島沖縄島石垣島及び西表島分布し隔離され島嶼間における種分化異所的種分化)の結果であると考えられているハナサキガエル類、ヤエヤマハラブチガエルアイフィンガーガエル などの八重山諸島台湾分布する種などがあげられる海水を苦手とする両生類移動分散するためには、大陸との陸橋形成不可欠であり、琉球列島成り立ち検討する上で欠かせない。その一例として、太田高橋2006)は、九州琉球列島島嶼群及び台湾大陸分布する両生類相の類似度野村シンプソン指数求めているが、琉球諸島はまず「宮古諸島八重山諸島グループ」と「奄美諸島沖縄諸島グループ」にグルーピング化され、「宮古諸島八重山諸島グループ」は「台湾」に類似し、ついで「宮古諸島八重山諸島台湾グループ」と「大陸」が近似、さらに「宮古諸島八重山諸島台湾大陸グループ」と「奄美諸島沖縄諸島」が近似し最後に奄美諸島から大陸グループ」が「九州」と類似するという結果となった爬虫類でも概ね同様な結果得ており、この類似度単純に地域間歴史的関係反映しているとの前提であれば、「九州」と「奄美諸島から大陸グループ」の間が先に分断され、ついで上記と逆の順に、陸橋分断されていった事を示唆している。

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