近縁な群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/06 01:21 UTC 版)
ラブルベニア類は長らく他の群との関係のわからない、孤立した群とされてきたが、ピキシディオフォラ Pyxidiophora を含む群が本群と近縁なものであることが判明した。この菌は通常の子嚢菌と同じく菌糸体を形成し、内生出芽型の分生子柄から連鎖する分生子を生じ、また無色から黒褐色の子嚢殻を形成し、その内部に子嚢を作り、子嚢壁は消失性、子嚢胞子は2細胞性である。様々な基質上に発生し、例えば糞、有機物塊、打ち上げられた海藻、キクイムシの坑道などに出現する。また菌寄生性と考えられている。この菌は従来はヒポミケス科 Hypomycetaceae に含めたこともあったものであるが、この2細胞の子嚢胞子の一方に本群の子嚢胞子に見られる付着器のようなものがあり、この部分でダニの体表に付着して散布される。さらに遺伝子の解析でこれが本群に近縁なものであることが判明し、すると本群の菌として記載されていたものの中に、実はこの類の子嚢胞子が含まれていたことまで判明した。この属と Mycorhynchidium はピキシディオフォラ科 Pyxidiophoraceae にまとめられ、この科単独でピキシディオフォラ目 Pyxidiophorales としてラブルベニア綱の元に置かれている。 なお、Alexopoulos & Mims(1979)ではラブルベニア亜綱(この書では分類階級が全体に1段階低くなっている)に本目と共にスパチュロスポラ目 Spathulosporales が含められており、近年にこの亜綱に含めることが提案されたもので、本目と他の核菌類を結ぶ存在と思われるもの、と紹介している。この科にはスパチュロスポラ属 Spathulospora の4種が含まれ、いずれも海産の紅藻類に寄生するもので、その形態も本属のものに似ており、違いとしては子嚢胞子が1細胞であること、としている。この群はしかしながら現在では本群からは縁の遠いものと判明している。当初の判断が間違えたのは乾燥した標本でしか検討がなされなかったためでもあるという。
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