日本産両生類への脅威と保護対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/03 21:02 UTC 版)
「日本の両生類一覧」の記事における「日本産両生類への脅威と保護対策」の解説
2012年8月に公表された第4次環境省レッドリストでは、66種(亜種を含む。以下同じ。)の評価対象種のうち、22種が絶滅のおそれのある種(絶滅危惧IA類、IB類、II類の合計)、20種が準絶滅危惧種、1種が情報不足と評価している。第3次レッドリストでは、評価対象種62種のうち、絶滅のおそれのある種が21種、準絶滅危惧種が14種であったが、この増加した要因として、『レッドデータブック2014』では、分類の再検討による独立種の増加をあげるとともに、種が細分化されたことにより、細分化前よりも絶滅リスクが高まるおそれがあることも指摘している。また、日本人にとってカエルの代表種とも言えるトノサマガエルが、その生息環境である水田等の減少に伴い影響を受けているとして準絶滅危惧にランクインしている。2000年に発行された『改訂版レッドデータブック』では、両生類の生息環境となる湿地や小川等の淡水環境や森林環境が開発され、あるいはペットブームによる密猟が絶滅の危機や個体数減少の要因であると述べているが、2014年に刊行された『レッドデータブック2014』でも生息環境の急激な悪化と愛好家や業者の乱獲を指摘している。さらには、徘徊性の両生類は道路の側溝に落ちると這い上がる事ができずにそのまま死亡することもある。これらの影響の結果、絶滅した種は確認されていないもののアベサンショウウオ やカスミサンショウウオ などで地域個体群が消滅した例もある。他にも、近年では、オオサンショウウオと交雑し、遺伝的撹乱を与えているチュウゴクオオサンショウウオ やシロアゴガエルのように在来種と餌や繁殖環境を巡って競争を行うもの、ウシガエルのように在来種を直接捕食するもの など、様々な外来種が確認されている。もちろん同じ両生類のみならずアライグマ やカミツキガメ、卵や幼生を捕食するティラピア などの両生類を餌とする外来生物は多い。これらの生息環境の変化や外来種の脅威によって、日本の両生類相は、その存続を脅かされていると言える。 詳細は「両生類の減少」を参照 具体的な両生類の保護対策の例として、1996年6月18日に環境省と建設省(当時)は、アベサンショウウオを対象に種の保存法に基づく「保護増殖計画」を策定した。本種の生息地である丹後半島で、重要な生息環境である小規模な水溜まりや溝等の現状維持や拡大、その周辺にある森林の保全、モニタリング調査、密猟の防止、普及啓発などの対策が講じられている。また、それを担保するために、兵庫県豊岡市と京都府京丹後市の2箇所の生息地が、生息地等保護区に指定されている。また民間によるトウキョウサンショウウオのビオトープの創出も成果をあげている。その他、上記の天然記念物に指定されている3種も文化財保護法に基づく規制がかけられており(天然記念物#を参照。)、国際的な商取引を規制する目的で、オオサンショウウオが国際希少野生動植物種に指定されている。加えて、国の天然記念物等に指定されていなくても、都道府県や市町村の条例に基づく天然記念物や希少野生動植物種に指定され、保護されている種もいる。 2005年の外来生物法の施行を契機に、外来両生類の駆除や調査なども進められており、例えば沖縄県においてはオオヒキガエルやシロアゴガエルを対象とした事業が行われており、また、チュウゴクオオサンショウウオ及びオオサンショウウオとの雑種個体の除去も実施されている。また、2015年3月には、『我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)』が作成され、外来生物法に基づく特定外来生物の対象外や国内外来種の対策も進められている。
※この「日本産両生類への脅威と保護対策」の解説は、「日本の両生類一覧」の解説の一部です。
「日本産両生類への脅威と保護対策」を含む「日本の両生類一覧」の記事については、「日本の両生類一覧」の概要を参照ください。
- 日本産両生類への脅威と保護対策のページへのリンク