改正部分の特定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:17 UTC 版)
改正部分の特定は、おおむね次のように行う。 同一の字句のうちの一部のみについて改正する必要があるときは、〝第○条中「□□□を」を〟、〝第○条中「「□□□」を〟、〝第○条中「その□□□」を〟などのように、前後の字句や記号とともに引用する。 また、カギ括弧により引用する際、元の規定自体に含まれるカギを更にカギで引用することとなる場合がある。一部改正法令ではそのまま〝第○条中「□□□」の下に「」と、「◇◇◇」とあるのは「△△△」を加える〟とカギの中にカギを含む字句をそのまま引用する形式によるが、修正案の場合には〝第○条中「□□□」の下に『」と、「◇◇◇」とあるのは「△△△』を加える〟と二重カギの中にカギを含む字句を引用する形式によることもできる。 区分改正規定の例備考原則 題名 題名中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 目次 目次中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 特に各章等に係る部分を特定しない。 前文 前文中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 前文の段落 前文中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 ワークブックでは、「前文の各段落を「項」と呼ぶことには違和感があるので・・・、段落を特定することなく「前文中」として改正を行えば足りるものと考えられる」としている。 前文(のうち)第一項中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 章名等 第一章の章名中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 章等 第一章中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 章全体に及ぶ字句の改正の場合にこのような改正を行う。 一部の条について当該字句の改正を行わない場合には、「第一章(第二条を除く。)中」のように除外する。 また、当該字句が全改し、又は削るべき条項中に含まれる場合にも、改正内容が抵触しないように、当該条項を除外する。 条 第一条中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 項 第一条第二項中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 号 第一条第二項第三号中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 号の細分 第一条第二項第三号ニ中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 段 第一条第二項第三号前段(後段)中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 段及び本文について、内閣法制局の例規では「特記することを妨げない」ものとされるが、法令では必要な場合にのみ使用されることが多い。 本文 第一条第二項第三号本文中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 ただし書 第一条第二項第三号ただし書中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 ただし書は、常に明示する。 連続する規定 複数の章等又は条等 第一条及び第二条(第一条第二項及び第三項)中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 内閣法制局の例規では、「第○条から第○条まで中」、「第○項から第○項までの規定中」及び「第○号から第○号までの各号中」のうちでは2つ目によるとし、「第○条から第△条まで及び第×条の規定中」、「第○条から第△条まで及び第×条中」及び「第○条から第△条までの規定及び第×条中」のうちでは3つ目に、「第○条及び第△条から第×条までの規定中」及び「第○条及び第△条から第×条まで中」のうちでは1つ目によるとする。 また、号の細分を引用する場合において、「第○条第一号イ、ロ及びハ」及び「第○条第一号イからハまで」のうち、後者によるとする。 ただし、内閣法制局の法令整備会議(同じ条(項)の連続する三以上の項(号)と他のある項(号)の同一の文言について同じ内容の改正を行う場合の改正規定の表現について(平成17年9月5日))の議事要旨によれば、「「の規定」とすることにより「第◇条」とのつながりが不明瞭になる項又は号の場合については、「第○項(号)から第△項(号)まで及び第×項(号)中「……」を「……」に改める。」表現を許容するとする」意見が多数を占めたとする。ワークブック法制執務でも同表現が許容される旨記載されている。 第一条から第三条までの規定(第一条第二項から第四項までの規定)中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 第一条から第三条までの規定及び第五条中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 第一条第二項から第四項まで及び第六項中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 第一条及び第三項から第五条までの規定(第一条第二項及び第四項から第六項までの規定)中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 各号 第一条第二項各号中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 内閣法制局の法令審査メモ第7号(各号のある条項について、各号に共通して改正すべき部分があり各号列記以外の部分には改正すべき部分がない場合の改正方式の例(昭和50年7月3日))では、単に「第○条中」又は「第×条第×項中」として改正した例として、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律(昭和50年法律第29号)、農業信用保証保険法施行令の一部を改正する政令(昭和50年政令第158号)を紹介している。 第一条第二項中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 本文及びただし書 第一条第二項中「□□□」を「◇◇◇」に、「×××」を「△△△」に改める。 内閣法制局の法令整備会議(「ただし書中」の用法について(平成8年9月2日))の議事要旨によれば、本文及びただし書に共通する字句の改正の場合には、本方式によるべきという意見が大勢であったとする。 また、同議事要旨では、本文及びただし書に共通しない字句の改正の場合にも、ただし書を特記すると「ただし書を含む条全体を表す「第○条中」と「ただし書中」との間に重複が生じ、疑義の生ずるおそれがある」ことから、単に「第○条中」として本文及びただし書中の字句を改めることを適当とする意見が大勢であったとする。 第一条第二項中「□□□を」を「◇◇◇を」に、「×××」を「△△△」に改め、同項ただし書中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 『平成30年度内閣法制局職員法制執務研修―第四部提出資料―』(平成30年7月内閣法制局)によれば、土地改良法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成29年政令第241号)第一条のうち土地改良法施行令第53条第2項の改正規定に関する長官指摘事項として、法令整備会議(「ただし書中」の用法について(平成8年9月2日))での議事要旨にかかわらず、この方式によるものとされたとする。 柱書きと各号 第一条第二項中「□□□」を「◇◇◇」に改め、同項第三号中「×××」を「△△△」に改める。 取扱いが本文及びただし書の場合と異なるので、注意を要する。 この方式では、柱書き中の「□□□」だけでなく、各号中にも「□□□」があれば同時に改められることになる。 法制執務詳解では、この場合にも「各号列記以外の部分中」を活用すべきとする(もっとも、現行の内閣法制局の例規では認められないであろう。)。 第一条第二項中「□□□に」を「◇◇◇に」に改め、同項第三号中「×××」を「△△△」に、「□□□」を「◇◇◇」に改め、同項第四号及び第五号中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 柱書き中の「□□□」と各号中の「□□□」を同時に改める方式では、各号中にも「□□□」が含まれるか分かりづらく、溶け込みミスの原因になるというので、柱書き中の字句について直前又は直後の字句を含めて引用することで、柱書き中の字句と各号中の字句を別々に改める方法を採ることもある。 規定の一部 柱書き 第一条第二項各号列記以外の部分中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 各号列記以外の部分については、内閣法制局の例規では「これを用いるほかに方法がないためやむを得ない場合に限り、用いる」ものとされる。 第一条第二項表以外の部分中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 各号列記以外の部分と同様に、やむを得ない場合に限り用いられる。 第一条第二項中「□□□と」を「◇◇◇と」に改める。 柱書き中の当該字句の直前又は直後の字句を含めて引用することで、各号中の当該字句との違いを明らかにする方式である。 現在では、この方式の方が一般的ともされる。 各号のあるただし書の柱書き 第一条第二項ただし書(各号列記以外の部分に限る。)中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 輸出貿易管理令及び輸入貿易管理令の一部を改正する政令(昭和55年政令第264号)第2条では、「ただし書各号列記以外の部分」の語が、私立学校教職員共済組合法施行令等の一部を改正する等の政令(昭和61年政令第66号)第1条では「各号列記以外の部分ただし書」の語が用いられている。 第一条第二項ただし書中「□□□と」を「◇◇◇と」に改める。 ただし書中の当該字句の直前又は直後の字句を含めて引用することで、各号中の当該字句との違いを明らかにする方式である。 法令では、輸出貿易管理令の一部を改正する政令(平成2年政令第297号)が「ただし書(各号列記以外の部分に限る。)」という用語を用いる唯一の例であることからして、この方式の方が一般的であると考えられる。 条の見出し 見出し中の字句のみ 第一条の見出し中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 見出し以外の部分中の字句のみ 第一条中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 見出し及び見出し以外の部分中の字句の両方 第一条(見出しを含む。)中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 第一条の見出し及び同条中の改正の場合にこのように表現する。 当該法令全体 「□□□」を「◇◇◇」に改める。 各号による改正 数個の法令 次に掲げる法律の規定中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 一○○法第一条第二項第三号 二××法第四条第五項第六号 加え・削りも同様に可能である。 また、字句の改めが一般的であるが、表の項や各号を削ったり、表の項をカギ括弧で加えたりした例もある。いずれにしても、1文で書ききれる改正である。 数個の改正規定 次に掲げる改正規定中「□□□」を「◇◇◇」に改める。 一第一条のうち○○法第二条の改正規定 二第三条のうち××法第四条の改正規定 修正案で用いることができるとされる。加え・削りも同様に可能である。 表による字句の改正 同一の欄中の数個の字句 別表第一名称の欄中次の表の上欄に掲げる字句を同表の下欄に掲げる字句に改める。 □□□ ◇◇◇ ××× △△△ 別表第一所在地の欄中次の表の上欄に掲げる字句を同表の下欄に掲げる字句に改める。 □□□ ◇◇◇ ××× △△△ 内閣法制局の例規では、「下級審裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律(昭和三〇年法律第二五号)の場合のような特殊な場合に例外的に認める」とする。もっとも、最近では、用いられない。 数個の規定中の字句の改正 次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句をそれぞれ同表の下欄に掲げる字句に改める。 第一条第二項第三号 □□□ ◇◇◇ ××× △△△ 第一条第二項第五号 ××× △△△ 地方公共団体手数料令の一部を改正する政令(昭和57年政令第318号)等 次の表の条例名の欄に掲げる条例の同表の条項の欄に掲げる規定中同表の改正前の欄に掲げる字句をそれぞれ同表の改正後の欄に掲げる字句に改める。 A条例(令和○年○○県条例第○号) 第一条第二項第三号 □□□ ◇◇◇ ××× △△△ 第四条第五項 □□□ ◇◇◇ B条例(令和○年○○県条例第○号) 第一条第二項第五号 ××× △△△ 中央省庁改革等に伴う関係条例の整理に関する条例(平成12年鳥取県条例第69号)等に事例がある。なお、法令では、読替規定でこれに類する方式を用いる。
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