強風から紫電へとは? わかりやすく解説

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強風から紫電へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 00:29 UTC 版)

紫電改」の記事における「強風から紫電へ」の解説

1941年昭和16年)末、川西航空機(以下、川西)は水上機需要減少見込み川西龍三社長の下、次機種制作討議した川西社内二式大艇陸上攻撃機化、新型艦上攻撃機開発川西十五水上戦闘機(「強風」)の陸上戦闘機化の三案を検討した結果十五水上戦陸戦案が決まった川西菊原静男設計技師12月28日海軍航空本部訪れ技術本部多田三少将に計画提案三菱開発進められていた局地戦闘機雷電」と零戦後継機烈風」の開発遅延悩んでいた日本海軍川西提案歓迎しその場承認された。しかし海軍技術者から陸上機製作の経験浅い川西の技術力に対して疑問の声があがったため審議会開かれ1942年昭和17年4月15日に「仮称一号局地戦闘機」として試作許可受けた完成を急ぐため可能な限り水上戦闘機強風」の機体流用することになっていたが、実際に発動機を「火星」から大馬力かつ小直径の「誉」へ換装したこと、尾輪装備したことなどから、機首部の絞り込み機体後部大幅に変更されており、そのまま使用できたのは操縦席付近のみであった。しかし主翼については、車輪収容部分加えた他はほぼ原型のままで、翼型航空研究所開発されLB翼型層流翼)が強風より引き継がれている。自動空戦フラップ装備していたが、初期段階ではトラブル見舞われた(後述)。 1942年昭和17年12月27日試作一号機が完成し12月31日伊丹飛行場現在の大阪国際空港)で初飛行行ったが、当初から「誉」の不調に悩まされた。川西は「紫電ではなくエンジン実験だ」という不満を抱き志賀淑雄少佐テストパイロット)も「完成していなかった『ル』(誉の略称)の幻を追って設計された」と述べている。搭乗員岩下邦夫大尉エンジン不調と共に紫電操縦席排気ガス入ってきて苦労したという。 紫電は「強風」の中翼形式を継承しており、降着装置主脚ある程度長さを必要としていたが、長すぎると格納時に多く空間占有するのが問題となった。そこで主脚二段式とし油圧伸縮する機構採用した試作型では主脚縮めるのに1-2分かかり、後に20秒に改善された。ブレーキ効き左右で違うこともあり、ベテランパイロットであっても安心して着陸できなかった。脚部収納にかかる時間は、零戦12秒対し紫電改は9秒と若干短縮されている。 また着陸時には引き込み脚部トラブルにより、343空戦闘301隊では1945年昭和20年1月1日から8日にかけて、3日に1機の割合脚部故障により紫電失っている。 離着陸時の事故多発前方視界不良連合国軍新鋭機に対す速度不足などの問題紫電つきまとった計画では最高速度653.8km/hを出すはずだったが、実測値は高度5,000mで570.4km/hであった上昇力は6,000mまで5分36秒 、航続距離増槽なし)全力30分+巡航(高度3,000m、360km/h)で2.8時間という性能だった。速度低下原因は、オクタン価100燃料節約するため92オクタン代用したこと、翼下面に20mm機銃おさめたポッド装着したことによる抵抗力増大等が指摘される。しかし試作機は、問題未解決のまま1943年昭和18年7月24日に軍に領収され、8月10日に「紫電一一型」として量産命じられた。これは、従来海軍主力戦闘機である零戦では英米軍の新鋭戦闘機太刀打ちできなくなってきたこと、ようやく完成した雷電実戦配備遅れていたことが主な原因である。だが、紫電操縦参考書には「紫電強風急速に陸上戦闘機に改設計したものだから、計画と設計不備により、改善余地大なり」と記されていた。

※この「強風から紫電へ」の解説は、「紫電改」の解説の一部です。
「強風から紫電へ」を含む「紫電改」の記事については、「紫電改」の概要を参照ください。

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