岩座神(加美町)
出展:日本の棚田百選 |
基 礎 諸 元 | 平均勾配 | 団地面積 |
1/6 | 11.8 ha |
維持・保全・利活用状況 |
平成6年度より「いにしえの里づくり」構想に取組み、自然環境と共生するた めの農産物の栽培や特産加工品の商品化に取組み、また、平成8年度には棚田保存会を結成し、棚田保全事業として兵庫県では初めての試みとして棚田オーナー制度を始めた。また、棚田の保全のため万年草をこれまでに一万本ほど老人会が植栽している。今現在、都市住民も交えた棚田整備検討委員会を設け、棚田の保全と整備計画を策定しており、集落住民が一体となって棚田と自然景観の保全に取り組んでいる。 |
推薦項目 | 景観 伝統文化の維持保全 |
推薦理由 | 景観:棚田の法面の石積みは垂直に切り立っており、春から夏にかけての緑と、秋の明るい実りの色を区切る境界線に見え、冬には積雪の白と石積みの暗色のコントラストが美しい。集落の周りを緑深いスギやヒノキの植林におおわれ、隠れた山懐の中に段差の急な石垣の棚田を中心とした特徴的な田園風景が、人と自然が共存してきた歴史を感じさせる地域である。また、棚田に点在する住居の特徴として茅葺きの棟もあり、谷川の護岸は自然の岩石や石積みがほとんどで、夏場はほたるが飛び交うなど自然に近い生態系が今も残っており、自然素材で構成された伝統的な物がほとんどで自然と融和している山里景観である。 伝統文化の維持保全:この地区の一番の特徴である、約400年前に築かれた寺勾配工法で積み上げられた高い石垣がある。中には700年ぐらい前に築かれたと言われる石垣もあり、高い石垣は2段になっており草刈り用の足場ステップと思われる珍しいものもある。毎年10月10日に五穀豊穣を祈る曳き山祭が何百年も続いている。曳山の中の飾りはめでたい内容のものや、元気に子供が育ってくれる願いから金太郎、桃太郎、一寸法師、花咲爺さん、牛若丸、高砂、鶴亀などがあり、材料は木、藁、苔、桧葉等の自然のものを基礎に五穀を使って細かく飾り付けをし、まわりには竹笹をつけ七夕のように短冊や祝儀袋も飾っている。当日は漬物と御酒による神事のあと、曳山おどりを踊りながら村中を練り歩く祭として秋の風物詩となっている。棚田開墾当時に築かれたとみられる、高度な技術を用いた暗渠が今も農業用水として利用されており、集落の文化遺産として守っている。 |
棚 田 の 概 況 | 枚 数 | 344 枚 | 水 源 | 河川 |
事業導入 | 有 | 法面構造 | 石積 | |
開発起源 | 近世(戦国、江戸時代) |
営 農 の 状 況 | 対象農家数 | 20 戸 | 10a当収量 | 375 kg/10a |
戸当り営農規模 | 0.59 ha/戸 17.2 枚/戸 | |||
高付加価値農業 | 平成7年度に普及センター、農協の指導のもと婦人会員の有志により、「岩座神わさびグループ」を設立し、畑わさびの栽培を行い、葉わさびとして「道の駅」の朝市で販売する他、加工品(わさびのしょうゆ漬)の本格的な商品化にも取り組んでいる。また水利、土地条件に恵まれないため、このような土地にでもあうような「そば」の試験栽培に取組み、オーナーとの年越しそば、新春そば打ち大会を行ったり、加工品への取組みを検討している。 |
特記事項の有無 | 兵庫県の景観形成地区指定を平成11年度に受ける予定である。 |
(注:この情報は平成11年のものです)
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