将棋電王戦FINAL
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2015年の3月から4月にかけて開催。持ち時間は各5時間・秒読み1分。昼食・夕食休憩(合計1時間30分)がある。出場棋士は、本番と同じソフトおよびハード(Intel Core i7 Extreme5960X EE 3.0GHz 8コア)で練習対局が行なえる。また、「5対5の団体戦はこれで最後」と発表された。電王戦FINALで使用されるハードは、コンピューター将棋の通常探索のときの性能で考えるなら、第3回将棋電王戦で使用されたハード(Intel Core i7 Extreme4960X EE 3.6GHz 6コア)とあまり変わらない。 コンピューター側の指し手は「電王手(でんおうて)さん」が利用された。前回利用された「電王手くん」は産業用ロボットを、今回の「電王手さん」は医薬・医療用ロボットを改造しており、駒を空気で吸着していた電王手くんとは違い、人間と同じく爪状の部分で挟んで動かし、成駒にする際にも駒台に一旦置くことなく裏返す事が出来る。「電王手さん」に光沢がある理由は、滅菌のための過酸化水素ガス洗浄などへの耐性を考慮して表面塗装を廃し、入念な磨き上げ処理と3層のメッキ加工を施したからである。 2014年10月12日に行なわれた出場棋士発表会で報知新聞の記者が出場棋士全員に対して「勝つ為に戦うのか? それとも自分が強くなる為に戦うのか?」「両方はナシでお願いします」と質問している。全員が「勝つ為に戦う」と回答した。 2014年11月26日に対戦カードが発表され、先後を決める振り駒も行なわれ、ガルリ・カスパロフが務めた。 ガルリ・カスパロフは「文明は発達が止まる事はない。コンピュータが人間を超える事は必然なんだ。そしてそれさえも人間の知性の勝利と言える。チェスも将棋もその真理はひとつ。2つの知性の闘いだという事だ。コンピュータに敗れようとも、人間に知性がある限りチェスも将棋も続いていく。知性の闘いは揺るがない」「人間が1試合でも勝てる限り、人間vsコンピュータは終わらない。なぜならこの実験は、人間が100パーセント中の100パーセントを発揮した時、最強の人間はそれでもコンピュータを倒せることを証明するためのもの。たった1試合でも勝てれば、それは大きな勝利だ」と述べた。 将棋連盟は、当時竜王だった糸谷哲郎(八段、26歳、2014年12月に竜王就位)の出場を考え内諾を得ていたが、稲葉の出場となった。 週刊新潮2014年12月4日号のコラムで渡辺明は、今回の出場棋士に対して「コンピューター将棋に詳しい世代かつ、活躍中の精鋭棋士という顔ぶれになった。これよりも明らかに上位というメンバー構成は容易ではなく、もし結果がでなければ、タイトル保持者が出るしかないという雰囲気になるだろう。5番勝負であるから2勝3敗は誤差の範囲内つまりははっきり負けとは言えないが、第3回のように1勝4敗以上の差がつけば敗北を認めざるを得ない」と述べた。 出場棋士に関して、タイトル保持者が出るのかといった点が注目されたが、「将棋ファンだけでなく、将棋界全体やタイトル戦を主催するスポンサーへの責任や配慮がついてまわる」といった問題があり、渡辺は「(電王戦に)出たいか出たくないかで言えば出たくない(笑)」、羽生善治は「私に聞かないでくださいって、いつも言っているんですけど(笑)」「そういう声が大きければ、実現する方向に向かっていくことにもなりますし」、森内俊之は「出るということになれば万全の準備をして、確実に勝つという方向になると思うんですけど」と述べている。 電王戦FINALへの道・小手試し 先手:永瀬拓矢六段 vs 後手:第3回電王戦ver.ponanza 持ち時間は各20分切れ負け。ponanzaの勝利。 先手:阿久津主税八段 vs 後手:第3回電王戦ver.ツツカナ 持ち時間は各20分切れ負け。ツツカナの勝利。 後手:村山慈明七段 vs 先手:第3回電王戦ver.ponanza 持ち時間は各20分切れ負け。ponanzaの勝利。 先手:斎藤慎太郎五段 vs 後手:第3回電王戦ver.ツツカナ 持ち時間は各20分切れ負け。ツツカナの勝利。 先手:稲葉陽七段 vs 後手:第3回電王戦ver.やねうら王 持ち時間は各20分切れ負け。稲葉の勝利。 先手:斎藤慎太郎五段 vs 後手:Apery (電王戦FINAL Ver.) 1分将棋。斎藤の勝利。 後手:永瀬拓矢六段 vs 先手:Selene (電王戦FINAL Ver.) 1分将棋。永瀬の勝利。 先手:稲葉陽七段 vs 後手:やねうら王 (電王戦FINAL Ver.) 1分将棋。稲葉の勝利。 後手:村山慈明七段 vs 先手:ponanza(電王戦FINAL Ver.) 1分将棋。ponanzaの勝利。 先手:阿久津主税八段 vs 後手:AWAKE(電王戦FINAL Ver.) 1分将棋。AWAKEの勝利。 先手:斎藤慎太郎五段 vs 後手:Apery (電王戦FINAL Ver.) 持ち時間は各30分切れ負け。Aperyの勝利。 先手:稲葉陽七段 vs 後手:やねうら王 (電王戦FINAL Ver.)持ち時間は各30分切れ負け。やねうら王の勝利。 後手:村山慈明七段 vs 先手:ponanza(電王戦FINAL Ver.)持ち時間は各30分切れ負け。ponanzaの勝利。 後手:永瀬拓矢六段 vs 先手:Selene (電王戦FINAL Ver.)持ち時間は各30分切れ負け。Seleneの勝利。
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