婚活普及の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 21:30 UTC 版)
日本では、1965年からお見合い経由結婚数を新たに自由恋愛結婚数が上回った。男性と女性が上司等の斡旋による社内見合いを含む職場恋愛結婚も衰退し始めた。7割程を占める恋愛に奥手やモテない男女も、受動的なマッチングで結婚出来ていた事で、日本国は高い結婚率を誇っていた。しかし、自由恋愛主義が広がり、お見合いと職場結婚の衰退した。1965年に25歳だった適齢期の男性が「生涯未婚の判断基準となる50歳になった時」となるのが1990年である。つまり、お見合いと職場結婚の結婚比率が恋愛結婚比率を下回った第1世代が、そのまま生涯未婚率上昇の第1世代となった。1960年代から2015年までのお見合い結婚数と職場結婚数による婚姻数の合算の推移をみると、構成比が1960年代の7割から半分の31.9%にまで激減している。会社・上司が男女関係の話をすること自体もセクハラと見なされるようになり、恋愛に受け身な男女は結婚お膳立ての環境喪失で受動的な婚姻機会を失った。自由恋愛主義へ疑念を呈した記事のNewsPicksにおいて、長谷川智史 SO Technologies株式会社によるとインドの恋愛結婚の離婚率は50%に対し、お見合い結婚の離婚率は僅か5%である。自由恋愛だと半分は結婚に失敗するのに対して、お見合い結婚だと95%もうまくいくことを明かしている。1980年の生涯未婚率は男性が2.6%、女性が4.5%であり、かつては地域や職場の世話好きな人が未婚者へ縁談を持ってきた。2020年現在、男性25.7%、女性16.4%にまで上昇し「おせっかい」扱いされてしまう。更には候補者比較が容易になったことで、容姿の良い又は若い恋愛強者女性は出合いを主体的に求めない又は直ぐに結婚成功で市場から卒業してしまう。恋愛強者の男・女性慣れした遊び人には効率的な集客手段が出来たことで、集中的に集まった女性らを本命候補以外は遊び終わったら捨てるために、容姿の良くない男性・老いた男性・老いた女性は婚活市場に余る事態になっている。ハイスペックな男性であっても、婚活するような恋愛面の弱いお金のあるだけの非モテ男性の場合は、顔・対女性トーク力に投資することが求められる状況である。自分がいかにハイスペックであろうとも、膨大な婚活市場上では必ず前により良いスペックを持つ者がいるということを理解すること、同年収ならより若い男性、さらによりイケメンをという上昇婚を好む女性心理を踏まえた婚活戦略を求められる。女性の場合も自己を加齢と共に需要が落ちる株式であること、若くて市場価値が高く、現状の自己の市場価値を踏まえ、妥協出来るスペック・容姿の男性らが本気で結婚意思がある内に売り抜く戦略が必要だと指摘されている。結婚相手を自力で探したり、お見合いや結婚相談所を利用したりすること自体は以前から行う者も居るにはいたが、2000年代以降の社内見合い衰退時に新社会人時点で結婚相手のいない者は結婚相手・候補者を自力・主体的に探すことが実質唯一の結婚手段となった。このような背景の元で、『AERA』2007年11月5日号で就職活動(就活)に見立て、社会学者の山田昌弘が考案・提唱した造語である。 2022年のリクルートブライダル総研の調査によると、未婚女性による結婚相手へ求める条件(複数選択可)は1位が経済力(63.7%)、2位が価値観(48.4%)、3位は人柄(40.7%)であった。海外の先進国OECD(経済協力開発機構)加盟7か国を対象とした5年ごとの意識調査で、2018年度に「結婚したほうがよい」とした割合は日本50.9%(2013 年度62.5%)であり、一位のアメリカ(52.7%)の次に高く、英国(47.44%)、韓国(46.1%)、ドイツ(45.9%)、フランス(41.5%)などを上回っている。その上、「結婚しない方がよい」は日本が35.4%で、調査対象のOECD7か国中で最も低かったように、国際的には他の先進国民よりも日本人の結婚への関心は依然として高い。読売新聞は「婚活」という言葉のように「結婚に意欲を持ち、自分から機会をつかみにいかなければ後押しは得にくい」という結婚への日本人の意識の変化が、少子化による若年層の減少との相乗効果で婚姻数の急減につながったと報道している。
※この「婚活普及の背景」の解説は、「結婚活動」の解説の一部です。
「婚活普及の背景」を含む「結婚活動」の記事については、「結婚活動」の概要を参照ください。
- 婚活普及の背景のページへのリンク