委員会の運営と様子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 08:39 UTC 版)
「第44回世界遺産委員会」の記事における「委員会の運営と様子」の解説
委員会の様子は例年通りユネスコ世界遺産センターの公式サイトにてYouTubeを介してライブ中継され、オンライン会議であっても自由にアクセス閲覧することが可能であった(発言などの参加行為はユネスコからアカウントを発給されログインIDを登録した者に限る)。以下の記述の内、出典明記がないものは、その閲覧による。現実問題として、オンラインによる国際会議の難しさが露見した。 オンライン会議のシステムとしてはZoomを使用したが、オーストラリア・インド・ドイツなどは政府機関としてZoomの使用を禁じており(Zoom (アプリケーション)#Zoomの使用禁止などの措置をとる機関や企業参照)、これらの国では例外的措置となった。 委員国の代表(主としてユネスコ大使)は赴任地であるパリの自国大使館か自宅やその庭・車内からの参加もあり、本国から参加した他の委員や助言のため同席した専門家は概ね自国の文化・環境分野担当省庁内からの参加となった。そのため背景の騒音を拾う場面があったり、途上国を中心に通信事情から時折フリーズし、議事が一時的に中断したり、進捗インジケータ(スプラッシュスクリーン)が表示される場面が見られた。 従来より委員会では英語とフランス語の同時通訳が行われているが、回線状況によるタイムラグや音途切れにより議長や委員国・諮問機関の発言を聞き取れず、通訳が遅れる場面があった(今回議長は終始英語で議事進行したが中国の委員は中国語を使用)。 時差で昼夜逆転となる対蹠地からの出席者の中には、自身が関わる議事を終えたところで通信を遮断(ログアウト)して退席し、参加者が写る分割画面(画面共有)がブラックアウトした状態で次の議題へ進む場面が見られた。 1日4時間の集中審議となった今委員会だが、大きな議事を終えると議長判断で5分の小休止を挟むことがあったが、休憩明けにそのまま委員が戻らない場面が見られた。 世界遺産の持続可能性の検討など、委員国だけで決めにくい議題については、オブザーバー参加している国の発言も認められたが、システムエラーで「手を上げる」機能が作動せず、音声で発言をリクエストするも指名されない場面が見られた。 7月19日の回で開始から40分程経過したところで、通信障害が発生し、会議が一時中断したばかりか、20分間程ユネスコ公式ホームページまでエラー(HTTP 503)する誘発となった。障害は10分程で復旧したが、委員個々人が使用する端末のスペックによってはビットレート不足から再起動するなどしたため、時間を要した。会議は2日目に跨った海商都市リヴァプールの登録取り消しをするかの審議中であった。 取り扱い件数が多かった保全措置報告(SOC)は複数の副会場を用いて手分けして実施。全ての議事進行を中国が賄う予定でいたが、一部で専門分野を牽引できる人員が確保できなかったため、座長権限を副議長国に委譲した部会があった。この様子はユネスコ公式サイトでは配信されず、中国が準備した別の専用サイトで一部が公開された。 新規登録審査2日目となる7月25日は1件目の審査が中国の泉州:宋朝・元朝における世界のエンポリウムであったため、議長国の中国が公正を期すため議長役を離れ、副議長国のグアテマラに議長役を委任して開幕した。 諮問機関による情報照会・登録延期の勧告が出されていた物件の登録が相次いだ。これは勧告が委員会開催の6週間前までに発表されるため、通常は追加情報の準備が間に合わなかったり、従来の会場入りして行われる委員会では委員と同席できる人員に限りがあるため反論できなかったものが、オンライン形式では研究者などの専門家による発言の機会があり、質問に対して口頭で即答しながら反証できたこと(上掲「審議対象の推薦物件一覧」参照)が大きく影響している。世界遺産センターとしても後日追加情報を文書化して提出することを求め了承した。このことに関して、並行開催中の東京オリンピックになぞらえ「全ての出場選手に金メダルを与えたようなもの」という論調を示したメディアもある。 オードレ・アズレユネスコ事務局長 メヒティルド・ロスラー世界遺産センター長 田学軍議長 報告担当のMiray Hasaltun Wosinski 中国の副会場内の様子 協議中のギャラリービュー(モブ)画面
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