合理的選択理論とは? わかりやすく解説

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合理的選択理論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:20 UTC 版)

政治学史」の記事における「合理的選択理論」の解説

1950年代以降行動科学政治学主流となる一方で経済学方法論政治学導入することを端緒として、これまではまった異なるアプローチ登場した。それらを総称して合理的選択理論と呼ぶ。合理的選択理論に共通する特徴は、ミクロ経済学いくつかの仮定受け入れということである。すなわち合理的選択理論において政治現象は、自己の利益効用最大化しようと行動する政治的アクター相互作用総体となる。これはアクター合理性仮定ともいわれる同時に合理的選択理論は個々アクター選択焦点当て、その選択帰結として政治現象説明する。つまり、方法論的個人主義立脚した理論である。アクター合理性仮定方法論的個人主義は、程度の差はあれ合理的選択理論に共通する大前提である。このような前提立ってマクロ政治過程ミクロ観点から分析する或いはマクロ政治現象ミクロによる基礎付けを行う理論として発生した。このミクロ分析視角体系的に確立したというのは、合理的選択理論の斬新なであった。また他の方法論的特徴としてはフォーマル・セオリーによる手法、すなわち演繹主義挙げられる。合理的選択理論に立つ論者理論モデル構築し、その正当性検証するために実際の事例データ用いてきた。このことは、行動科学政治学帰納的アプローチとは対照的である。こうした特徴から、合理的選択理論のモデルとしては数理モデルがよく用いられる戦略的状況の下でのアクター意思決定分析するゲーム理論政治学導入したのも、合理的選択理論の系譜である。 他方経済学においては非市場意思決定研究が既に行われていた。第二次世界大戦後発達した公共経済学分野がそれに当たる。他の経済学における研究は後に合理的選択理論のうちでも特に社会的選択理論呼ばれる分野結実したいわゆる集合的意思決定に関する研究であり、その1つの記念碑的研究の成果アロー一般可能性定理である。アロー研究は『社会的選択個人的評価』(Social Choice and Individual Values,1951)に纏められている。 政治学における合理的選択理論の先駆となる研究は、ブラックによりなされたブラック社会的選択理論研究を行う一方選挙における有権者政党研究対象とし中位投票者理論構築した。しかし、合理的選択理論を政治学において確立する契機となったといえるのはダウンズとその著書民主主義経済理論』(1957)である。ダウンズブラックらの議論空間モデル一次元空間モデル)などを駆使して精緻化し、体系付けた。これ以降有権者政治家政党議会立法府)・行政府官僚等の政治的アクター分析本格化した。 ブキャナンとタロックによる『公共選択理論合意経済論理』(1962以降研究は、これまでのケインズ経済学、及びケインズ理論立脚する経済政策正当性疑問投げかけるものであった。すなわち市場の失敗解決公共財供給のためには政府介入が必要とされ、実際に政府介入により効率的な資源分配公共財供給が行われるという見解従来主流であった。また不景気の際に政府市場への介入具体的に政府支出増大させる財政政策をとることが解決策になるという主張一般的であったブキャナンらは財政学視点交えて政治過程における多様なアクター相互作用分析した結果政府による介入がかえって非効率つながり効果得られない場合があることを明らかにした。 この他の合理的選択理論の知見としては、集合行為論挙げられるオルソン著書集合行為論』(1965)でアクター合理性仮定した場合どのように集団形成されるかを明らかにした。これ以降集合行為公共財供給におけるフリーライディングなどの問題政治学の場で正面から扱われるようになった。またライカーは『政治的連立理論』(1962)でゲーム理論政治学分析応用した先駆者となったこのようにライカーゲーム理論はじめとしてフォーマル・セオリーを使い合理的選択理論を精緻化、ほぼ完成導いたライカーは合理的選択理論をベースとした実証政治理論Positive Political Theory)の創始者とも看做されている。 現在では合理的選択理論は公式・非公式様々な制度分析、及び制度アクター相互作用分析取り組んでいる。これがいわゆる合理的選択新制度論(合理的選択制度論)である。

※この「合理的選択理論」の解説は、「政治学史」の解説の一部です。
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