行動論主義
行動論主義(こうどうろんしゅぎ、英:behavioralism)は、第二次世界大戦後のアメリカ政治学学会に興った、自然科学をモデルに価値中立的で実証主義的、計量的な方法論で人間の政治行動を研究する立場。
政治過程論の確立に貢献した。行動科学の一種とみなされることもある[1]。
関連項目
- デイヴィッド・イーストン
- カール・ドイッチュ
- ロバート・ダール
- ガブリエル・アーモンド
- ハインツ・ユーロー
外部リンク
脚注
- ^ Guy, James John (2000-08-01). People, Politics and Government: A Canadian Perspective. Pearson Education Canada. p. 58. ISBN 0-13-027246-9 . "The term behaviouralism was recognized as part of a larger scientific movement occurring simultaneously in all of the social sciences, now referred to as the behavioural sciences."
行動科学政治学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:20 UTC 版)
1950年代に入ると、シカゴ学派の研究を基礎として、政治学は新しい局面を迎えた。行動科学的アプローチという新しい手法が導入され、「行動科学革命(行動論革命、behavioralist revolution)」と呼ばれるほどのインパクトを与えた。 行動科学政治学の先駆は1945年、サイモンによる『経営行動--経営組織における意志決定過程の研究』である。同書において「行動」「意志決定」「組織」といった用語が使われ、政治学に定着した。サイモンは多才で学際的な性格の研究者で、社会学や経営学など隣接諸科学とも積極的に学的交流をはかり、その結果社会学の分野でもこれらの用語が定着した上、サイモンによって現代行政学が基礎づけられ、政治学からの独立の契機となった。次に、キーは『南部の政治』を著して政党研究の先駆となり、トルーマンはベントリーの政治過程論を見直した。アーモンドは政治システム論を比較政治学の分野に導入した。彼ら行動科学政治学の開拓者達は、いずれもシカゴ学派の系譜に属する研究者であった。 行動科学政治学において、政治学は行動科学の一種と看做される。すなわち政治現象を行為者としての人間及び集団の行動と考え、行動科学の方法論に従ってその科学的説明を行い人間の行動としての政治現象に関する一般法則を樹立する立場である。より具体的には次のような方法論的特徴を持つ。政治現象についての客観的データを計量的、統計学的な手法により収集する。そのデータから実証的に理論を構築する。政治行動はどんな環境にあっても統一性・共通性を持つとする観点から、理論の一般性を重視する。政治現象を人間の行動と看做す立場から、分析単位として制度を退け人間及び集団により現実に作動する政治の過程を選択する。以上が際立った方法論的特徴である。こうした特徴は価値中立的で、自然科学の方法論に類似したものと考えられた。行動科学政治学はデータに基づく実証分析を確立し、その後の行動科学的手法以外の手法をとる政治学にも大きな影響を与えた。一方でこのようなデータに基づく実証は、膨大なデータを処理することが可能なコンピュータの出現により可能なものとなった。 行動科学政治学は、政治過程の分析と比較に関してこれまでにない成果を挙げた。代表的な論者であるイーストンは政治現象を捉える一般的な枠組みとして、政治システム論を構築した。これは政治現象を政治システムへの入力・政治システムからの出力・フィードバックの総体と捉えるものである。政治システム論は特定の、或いはある政治社会に固有の制度を乗り越えて政治現象のあり方を分析できる画期的な一般理論であった。こうしたアプローチは、制度が未発達なところでの政治現象の分析には特に優位性を持つ。さらにアーモンドは政治システム論を発展させ、比較政治学に適応した。すなわち、社会学者パーソンズの構造=機能分析を政治システムに応用するとともに、政治システム論を基に政治文化論を提唱した。これにより従来の制度的比較を超克し、政治過程に関してのより意義ある比較が可能となったわけである。ダールはポリアーキーなどの概念を用いて、行動科学政治学の視点からデモクラシーや政治的多元主義を説明した。国際政治学にシステム論を応用しようと試みたカプランや、ドイッチュも有力な論者である。
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