行動的発現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 15:47 UTC 版)
バールーフ・デ・スピノザが心の哲学で使った限りでの「コナトゥス」の概念は古代及び中世の典拠に由来する。ストア派、キケロー、ディオゲネス・ラエルティオスと、特にホッブズやスピノザが発展させた原理をスピノザは再構成する。コナトゥスに関して彼の理論がホッブズのものと違うのは「コナトゥス・アド・モートゥム(conatus ad motum)」(運動に対するコナトゥス)は精神的では「なく」物理的であるとした点である。 スピノザは、その決定論とともに、人間と自然は首尾一貫した一揃いの法則の下に統一されるに違いないと信じる。神と自然はもとより一つであり、自由意思は存在しない。同時代の哲学者達に反して、そして現代の哲学者達と一致して、スピノザは、心、志向性、倫理、そして自由が物理的な存在や出来事からなる自然世界とは分けて考えられる二元論的な臆説を否定する。彼の目的は自然主義的な枠組みの下でこういったすべてのものの統一的な説明を与えることで、彼の考える「コナトゥス」はこの計画の中心となるものである。例えば、スピノザにとってある活動が「自由」だというのは、その活動が実体の本質や「コナトゥス」から生じている場合のみである。そして、人間の活動や選択を含む自然的世界のすべての出来事は逃れ得ない普遍的な自然法則に従って決定されるので、無条件で絶対的な自由意思は存在しえない。しかしながら、外的な力に束縛されたり、さもなければ従わされたりしていないという意味でなら活動はまだ自由であり得る。 それゆえに人間は完全に自然の一部である。スピノザは一見したところ不規則な人間の行動を本当は「自然」で、合理的で、「コナトゥス」に動機づけられていると説明した。その過程で、自由意思という考えを「コナトゥス」、いわば人間だけでなく自然全体に適用できる原理で置換した。
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