千鶴の友人達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:10 UTC 版)
「君の手がささやいている」の記事における「千鶴の友人達」の解説
阿部 とおる(あべ とおる) 千鶴が小学校1年生の時のクラスメイト。それまで手話を見たことが無く、町で母親との会話に手話を使う千鶴を見かけた後、「お前の家はへんだ」とからかっていじめていた。千鶴は傷ついて登校拒否になるが、美栄子は一計を案じてとおるを野辺家に招待し、聞こえない人の居る家庭を理解してもらうように努めた。最初は戸惑っていたが、サッカーが好きで、サッカーを表す手話に興味を持ったことがきっかけとなり、千鶴とも打ち解けた。 川崎 俊太(かわさき しゅんた) 美栄子達が仙台に住んでいた頃、千鶴が英会話教室で知り合い仲良くなった隣町に住む別の小学校に通っている男の子。母親が世界的なピアニストで英語が堪能なため自身も発音が上手く、学校の成績も優秀な優等生で、千鶴にとって憧れの存在だった。母親のピアノ発表会に千鶴と美栄子を誘うが、母が聴覚障害者であることを言い出せないでいた千鶴は、思わずその事を隠してしまったことで顔を合わせ辛くなり、英語教室を休むようになってしまう。 木田 文子(きだ あやこ) 仙台から東京に戻った千鶴が、転校先の小学校で知り合った「たんぽぽ学級(障害者クラス)」に通う知的障害を持つ女の子。いつもよだれをたらしてニコニコしていることから、同級生の間では「ニヤリン」と呼ばれて不当に嫌われる対象となっていた。転校したての千鶴はその事に全く気付かず、単なる親切心から文子のよだれをハンカチで拭いてあげたことから、クラスから「よだれ菌」と呼ばれて文子と同様のいじめの対象になってしまう。千鶴が構うまでは友人などは一切できなかったようで、そのせいかみんなと集まっても1人遊びをすることが多い。障害のために自己表現が下手なだけで、実は相手を深く思いやる優しい心の持ち主。千鶴とのり子が喧嘩をした時も、その事が原因で自らが心痛を起こして倒れてしまうほど。 傷ついた千鶴を目にして、美栄子は千鶴を守りたいがために「障害者の人と仲良くしてはいけない」と文子に近付かないように言い聞かせるが、それは美栄子の存在をも否定することと同じであった。その事に気付いていた千鶴はクラスで孤立することを覚悟で文子を受け入れることを選ぶ。その後、千鶴との付き合いの中で文子も少しずつ成長し、千鶴のクラスメイトにも徐々に受け入れられるようになっていった。 サッカー好きの新田くんという男の子に恋心を抱いていて、その感情をそのままストレートに出して追い掛け回してしまう。 のり子 千鶴のクラスメイトで大の仲良し。お互いの我儘で時々喧嘩もするが、根は優しい気持ちを持っている。千鶴と友達になってからは木田文子とも一緒に遊ぶようになる。のり子の父はかなり厳しいらしく、のり子がこっ酷く怒られているところを見た千鶴は、美栄子から「怒るのはその人のことを誰よりも想っているから」と教えられ、博文が自分を怒らないのは愛情が無いからではないかと思い、博文を怒らせようと様々な悪戯をするようになる。 姉がいるらしく、姉の持つ漫画本などから性知識を学んでいるので非常にませている。 万梨花(まりか) 千鶴のクラスメイト。クラスで新しい洋服を自慢し、「病気をして休んだらいつもより母親が優しくなった」という話をする。それを聞いた千鶴は一計を案じ、仮病を使って学校を休んで美栄子に優しくされるように仕向ける。しかし、美栄子が留守にしている間にベッドを抜け出し、パンとはしゃいでいたところを帰宅した美栄子に見つけられ大目玉を喰らう。 3年生進級時のクラス換えでただ1人千鶴達とクラスが別れてしまい、人見知りをして新しいクラスでなかなか友達を見つけられず、千鶴たちのところへ付いて来てしまう。その様子に千鶴は「新しいクラスの子と仲良くしたい。けど、万梨花も1人でかわいそう」と美栄子に相談する。美栄子は「私にはクラス換えは無かったけど、耳のことを気にしないでもう少し勇気を持っていたら、もっとたくさんお友達が出来たかもしれない」と話し、自分から他の人に話し掛ける勇気を持つ大切さを説く。 戸田 麻子(とだ まこ) 千鶴のクラスメイト。父とデパートに買い物に出かけていたところで、博文と千鶴に会う。父親が長い間仕事一筋だったため、親子のコミュニケーションがあまりなく、それ故冷たい態度を取っているが、心の内では父ともっと触れ合いたいと思っていた。博文に誘われて初めて授業参観に訪れた父は、麻子が算数の掛け算問題で正解を書いた時に思わず大声を出して喜ぶ。麻子の父は、調子に乗って麻子に恥をかかせてしまった、と落ち込むが、自分のことをちゃんと見てくれていたと感じた麻子は、そんな父を許し、打ち解ける。 由真(ゆま) 千鶴のクラスメイト。大人しい性格で動物好きであり、クラスで飼っていた文鳥の「ブン太」を早起きして皆の気づかないところで積極的に世話をしていた。しかし、元気が無かったブン太を見るため外に出したちょっとした隙に逃げられてしまい、その事を言い出せないでいた。担任の先生から「全員で目を瞑って、逃がした人は手を挙げて」と言われて恐る恐る手を挙げるが、それを千鶴に見られてしまう。千鶴は「私も先生の約束を破ったから、由真ちゃんのことは誰にも言わない」と約束するが、翌日になるとブン太を逃がした犯人が由真である事が何故かバレていて、由真は千鶴が言いふらしたと思い込んでしまった。千鶴は自分を信じようとしない由真の事を美栄子の前で非難するが、美栄子は「人にわかってもらうのって難しいよね」と言い「由真ちゃんの気持ちになって考えてみたら」とアドバイスする。千鶴はその言葉によりブン太を逃がしてしまった由真が一番悲しんでいることを察して、学校を休んでいる由真を思い、クラスメイトと共に文鳥のポスターを作って町中を探し回る。 柴田 可奈子(しばた かなこ) 千鶴のクラスに編入された転校生。転校早々から頑なな態度で友達を作ろうとせず、協調性に欠ける面を見せる。千鶴は「友達を作るのが下手なだけかも」と気を利かせて自分の家に誘うが、勝手に冷蔵庫を開けてジュースを飲むなど、常識を欠いた行動をしたことで、他の千鶴の友人たちから総スカンを喰ってしまう。千鶴は、可奈子がわざと人に嫌われるような態度をしているのには何か事情があると察して、親身になって聞いてみると、実は可奈子が千鶴の小学校に転校してきたのも両親が協議離婚し母親に引き取られたことが原因で、それ故に姓を母親方の柴田にさせられていた。可奈子は父親をたいへん好いており、大人の都合で父に逢えなくなってしまった事で拗ねていたのだった。可奈子は父に逢いたい気持ちを抑えきれず、千鶴に「他の人にはナイショで一緒に付いて来て欲しい」と頼み込み、2人は子供だけ電車に乗って、可奈子の父の住む町へと向かう。 瀬戸 裕子(せと ひろこ) 母が有名な美人ピアニストであり、裕福な家庭で育ち、豪邸に住んでいる。誕生日会に招かれた千鶴は、裕子の歌とピアノ伴奏する裕子の母の姿に羨望と嫉妬を覚え、聴覚障害者の母を持つ決して裕福とはいえない我が身とを比べてしまい、コンプレックスから裕子と顔を合わせ辛くなってしまう。後日、美栄子とスーパーに買い物に出ていた千鶴は偶然裕子に会って慌てるが、すぐに閑念して美栄子が聴覚障害者である事を説明。すると美栄子は早速裕子を自宅に招待し、千鶴は母の余計なおせっかいを心の中で苦々しく思う。美栄子と千鶴と一緒にクッキー作りをしていた裕子は、最初こそ無邪気に楽しんでいたものの、突然泣き出してしまう。自宅を留守にしがちな母よりもいつも家にいて自分に構ってくれる母親がいい、と言う裕子に、美栄子は「自分は耳が聞こえないから、千鶴に教えてあげられないことがたくさんあった。でも、それはわたしだけじゃなく、母親はみんな、自分の子供に何かしてやりたいといつも思っている。お母さんは、きっとあなたの気持ちを解かってるよ」と母が我が子を思う気持ちを伝える。母が決して自分を粗末に扱っているわけではないことを思い出した裕子は、千鶴達と共に作ったクッキーを手に帰宅してゆく。 岡田(おかだ) 少し体の弱い千鶴のクラスメイト。眼鏡に坊ちゃん刈り、物腰柔らかな優等生タイプ。隣の席に座った縁と気が合ったことで友達となる。普段からノートの貸し借りなどをしていたが、それを周囲から男女の仲とはやし立てられたことでお互いを意識し出してしまい、千鶴は瞬間的に「岡田くんの事はなんとも思っていない」と口にして岡田もまたそれを肯定したことで、それ以来顔を合わせ辛くなってしまう。後日岡田が親の都合で転校することがクラスに発表され、別れの言葉をかけられなかった千鶴は、自分の気持ちに整理がつけられなくなり、美栄子に相談すると、美栄子は「千鶴は岡田くんに恋をしている」といい、自分の気持ちに素直になることの大切さを説く。岡田にきちんと別れの言葉を言うべく文子と共に岡田の家の前まで来るが、なかなか踏ん切りがつかない。そこに偶然現れた岡田に思わず背を向けてしまうが、文子が無邪気に「2人とも大好きな顔だぁ」と顔が真っ赤になっている千鶴と岡田をちゃかしたため、2人は思わず笑い出し、心のわだかまりが解ける。 別れて以降は千鶴と頻繁に文通していたが、千鶴は突発性難聴を患い耳が聞こえなくなったことを岡田に知られたくない、とその事はずっと伏せていた。
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