初期のGSX
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最初期のGSXモデルは2気筒のGSX250とGSX400である。 これらのスズキGSXモデルは、気筒当たり2バルブの空油冷4ストローク車のGSシリーズの進化系である。最初の4バルブエンジンは1980モデルイヤーに生産されたが、合衆国とカナダでは1986年にGSX-Rシリーズが発売されるまで”GS”と名付けられていた(合衆国外ではGSX-Rは1985年に発売されている)。これらのGSX型エンジンはスズキのTSCC(ツイン・スワール燃焼室)式エンジン設計を基本としており、以前の2バルブ型との共通点は少ない。1999年、アジア市場専用のスポーツツアラー Thunder GS250が投入された。その後、2001年にGSXの型式名が与えらえたが、2005年には完全に製造中止となった。スズキ・カタナも同じTSCCエンジンを搭載するが、型式名はGSX-Sとされた。しかしながら、これは前述の Thunder のように、より現代的なスポーツ・ツアラーのGSX-Fカタナとはほとんど共通点がない。 TSCCエンジンは、1983年に完全に新しいスズキ初のモノショックを搭載したネイキッドモデル(海外のみ、GSX750E)とハーフカウルを備えたGSX750E(海外ではGSX750ES)の2機種のスポーツモデル導入に向けて再設計された。このバイクはテスト雑誌から確かな評価を受けたが(そして、その年のテスターの好む750㏄スポーツモデルとなったが)、ホンダVF750Fの新設計のV4エンジンとのタイミングの悪い対決となってしまった。 1983年式GSX750Eはエアスプリング調整付きアンチダイブフォーク、プリロードおよび圧縮調整付きモノショックのリアサスペンション、前後ディスクブレーキ、燃料計およびディジタルギアポジション表示を備えていた。さらに重要なことに、83年式GSX750Eは、前輪に以前のモデルの19インチホイールに替えて16インチとした、スズキ初の一般向けオートバイだった。スズキでの16インチホイールの最初の量産車はGS650ターボだった。16インチの前輪は前輪のジャイロ効果が減少することと、前輪接地面を短く幅広くすることによるハンドリングの素早さから、1980年代初期から中ごろにかけて500㏄グランプリで開発されて使われていた。公道上では16インチホイールはでこぼこの多い路面での不安定性からすぐに人気がなくなった。 米国政府が700㏄を超えるオートバイに50%の関税を課したため(1988年に廃止)、1984年に米国市場にエンジンストロークを減らして、外観をすこしかえたGS700が投入された。その他の市場では引き続き750ccモデルが販売された。700㏄への変更にはより高いピストンと、やや異なるカムプロファイル(リフト量とタイミング)が含まれていた。これに加えて、工場でのギア比の変更によって、スズキはエンジン排気量が15%小さくてもGSX750Eとほぼ同じ性能を備えた米国専用のオートバイを製造することができた。50%の関税は、1980年代なかばに米国で販売された、ショートストローク化でされた650㏄と700ccの日本製オートバイが多いことの背景であり、米国独自のものであり、世界の他の地域に比べて米国市場でGSX-Rのデビューが一年遅れた理由でもある。ネイキッドモデルのGS700Eと、ビキニカウルを装備したGS700ESが入手可能だった。 米国市場以外では、GSX750SカタナがGSX750Eと同じエンジンと、16インチの前輪でフルモデルチェンジされた。1984年には全く新しいGSX-R750の発売が、レーサーレプリカの新しい方向性を示した。GSXシリーズは、スズキのラインナップのフラッグシップモデルの役割から降りることになった。1984年には世界の他の地域でGSX750ES (国内ではGSX750E)のカラーリングが新しくなり、ネイキッドモデルが廃止され、ハーフカウルのESとフルサイズのアッパーカウルと、ロワースポーツカウル(米国では工場オプショとしても利用できない)を備えた"EF"モデルが登場した。 GSX750Eはさらに数年継続したが、最終的に米国でカタナとして販売されているスポーツツーリング指向のGSX-Fシリーズに置き換えられた。オリジナルのハンス・ムートがデザインしたGSX-Sカタナも、1980年代半ばまでにスズキのグローバル・ラインナップから脱落し、スポーツ/レースの役割は軽量なSAC(スズキ・アドバンスト・クーリング・システム)を採用した空油冷のGSX-Rにが担うことになった。GSX1100は1984モデルイヤーに16インチの前輪を与えられ、フルフェアリングを装備した124馬力のマッスルバイクGSX1100EFE(米国ではGSX1150EF)へと大幅に変更された。大型バイクはクラシックなスーパーバイクとして今なお求められているが、デチューンしたGSX-Rのエンジンを搭載し、電動スクリーンを装備するなど大幅にボディ形状が変更され、サスペンションとブレーキのアップグレードと、フレームを更新した1100Fに置き換えられた。
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