光の描写とは? わかりやすく解説

光の描写

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 04:55 UTC 版)

教会の聖母子」の記事における「光の描写」の解説

中世ヨーロッパでは聖母マリア崇敬が盛んで、15世紀初頭にはマリア主題とした美術作品数多く制作された。マリアは『ヨハネによる福音書』(1-14) の「想い肉体となった (Word was made flesh)」肖像として表現されることも多く、神の聖なる光 (en:divine light) を直接その身に受けた人物として描かれた。中世美術において光は、マリアの懐胎キリスト誕生意味する視覚的象徴として使用されていた。窓から射し込んだ神の聖なる光がマリア身体貫いたときに、キリストマリア胎内宿った信じられていたのである。 『教会の聖母子』において光が聖なる存在として表現されていることは、マリアドレスのすそに刺繍されているラテン語文章オリジナル額装の銘からも明らかである。降り注ぐ光の光源は、太陽からの自然光ではなく聖なる存在発しているかのように描かれマリア表情明るく照らし出している。マリア背後の床に描かれ二つの光のスポットがこの作品神秘的な雰囲気与えとともに、神が存在しているということ表現する効果もたらしている。マリアきらめく光を全身浴び、その背後壁龕にはキリスト顕現象徴である二本ロウソク照らし出され聖母子像がある。自然に存在しえない光の描写が教会内部幻想的な表情与えており、ペヒトはこの雰囲気を創り出したヤン・ファン・エイク色彩感覚高く評価している。 15世紀にはアルプス以北北方ヨーロッパ画家たちにとって、キリスト顕現秘跡表現する手法として光を使用することが普通になっていった窓ガラス貫いた光が処女であるマリアキリスト懐胎もたらしたとする手法で、これは12世紀フランス人神学者ベルナルドゥス著書といわれる説教集』の「さまざまな説教 (Sermones de diversis)」の一節から着想得ている。「輝く陽光いささかも色あせることなくガラス窓貫き何らつけたり破壊することはない。このようにして素晴らしき全能の父たる神のみ言葉処女聖母マリア)の寝室入り込み、その胎内から人の姿となって顕現したのである初期フランドル派台頭以前には、絵画における聖なる光の表現技法は十分とはいえず、天界からの輝き表現する際にはきらめく黄金として描写されるけだった降りそそぐ光の動きに意味を持たせるではなく、光そのもの重点置いた描写なされていたのであるヤン・ファン・エイクは光の彩度重視した最初画家ひとりで周囲明るく照らし出す様子と、画面満たす光の色調変化描いた様々な明度の光によって照らし出され物体精緻な色彩感覚描き分けた躍動する光が『教会の聖母子』にも表現されており、とくにマリアドレス宝冠、髪、外套描きあげられている。

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光の描写

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 15:46 UTC 版)

ルネサンス期のイタリア絵画」の記事における「光の描写」の解説

ジョット色彩階調表現することによって対象物描写したジョットのもとで修行したタッデオ・ガッディサンタ・クローチェ聖堂バロンチェッリ礼拝堂夜景描いた作品に、光の表現絵画劇的な効果もたらす例を見ることができる。さらにガッディからおよそ100年後の画家であるパオロ・ウッチェロ描いた、ほとんど単色彩色されフレスコ画からも、ウッチェロが光を効果的に絵画表現できる優れた技量有していたことが分かるウッチェロ描いた「緑なる大地」には、ヴァーミリオンで光の表現加えることによって、作品生き生きとした表情もたらされている。ウッチェロ作品でもっとも有名な絵画一つに、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂壁画ジョン・ホークウッド騎馬像』(1436年)があげられる。この作品と、ウッチェロ聖堂内の時計文字盤描いた4人の預言者肖像には強い明暗法使用されており、実際聖堂の窓から射し込む自然光によって、それぞれの人物像照らし出されているかのような光の表現なされている。 ピエロ・デッラ・フランチェスカは、さらに光の描画追求した画家といえる。『キリストの鞭打ち』(1455年 - 1460年頃、ドゥカーレ宮殿付属マルケ美術館ウルビーノ))では、光がその光源からどのように拡散していくのかが描き出されている。この作品には屋内屋外の二箇所光源設定されており、屋内描写では光源そのもの明確に描かれてはいないが、数学的な計算によって光源の場所を特定することが可能である。このデッラ・フランチェスカの光の描写手法は、後年になってからレオナルド・ダ・ヴィンチ作品によってさらなる発展見た

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