兄・島とは? わかりやすく解説

兄島

島嶼名辞典では1991年10月時点の情報を掲載しています。

兄島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/09 19:50 UTC 版)

兄島

父島の長崎展望台から望む兄島。手前の海峡は兄島瀬戸
所在地 日本東京都
所在海域 太平洋
所属諸島 小笠原諸島
座標 北緯27度7分17秒 東経142度12分51秒 / 北緯27.12139度 東経142.21417度 / 27.12139; 142.21417座標: 北緯27度7分17秒 東経142度12分51秒 / 北緯27.12139度 東経142.21417度 / 27.12139; 142.21417
面積 7.87 km²
最高標高 254 m
最高峰 見返山
     
プロジェクト 地形
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兄島(あにじま)は、小笠原諸島父島列島の一部をなし、東京都小笠原村に属する無人島

概要

兄島の空中写真。
2014年撮影の16枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

小笠原諸島の主島である父島とは、幅約800 mの兄島瀬戸をはさんだすぐ北に所在する。

当初無人島であったが、1888年に2人が入植した。しかし、地形全体が岩がちで水を得ることが難しかったために継続的な移住は行われなかった[1]。そのため、大正時代旧日本軍によって買収された。現在、島全体が国有地となっている。

小笠原空港の建設予定と自然保護

小笠原諸島は本土とは大きく隔たれているにもかかわらずアクセスは事実上船舶のみに限られているためアクセスを容易にするための空港建設が要望されていた。兄島は父島のすぐ北側にある上に、島の中央部が比較的平坦な地形をしており、小笠原諸島が日本に返還された直後に策定された復興長期計画の中で「空港建設予定地」とされた。

1987年6月の小笠原諸島返還20周年式典の席上で、東京都知事鈴木俊一は兄島に空港を建設することを表明した。しかし、これまで本格的な人間の定住が行なわれたことがなく、小笠原諸島の中では自然の保存状態が良好であった兄島に空港を建設することに反対意見が噴出した。

1991年には研究者たちが合同で兄島の空港建設予定地の調査を行い、小笠原群島特有の乾性低木林が良好に保たれている兄島には、父島や母島では絶滅した陸産貝類が10種以上も生き残っていることが判明した。そして父島列島の主要島である父島、兄島、弟島の中では、兄島は小笠原諸島本来の生物多様性を保っていて、帰化種も少数に止まっている極めて良好な自然環境であることが判明した[2]

1996年1月、環境庁(現:環境省)は東京都に対して兄島の空港建設計画見直しを求める文書通達を行なった。これを踏まえて東京都は小笠原環境調査委員会を設け、小笠原群島全体の自然についての評価が行なわれた。この結果兄島全域が無条件保護・保全地域とされたため、兄島の空港建設計画は頓挫した[3]

現在、小笠原諸島の中で貴重な生態系が保存されている兄島では良好な自然環境を保護するとともに、環境に脅威を与えるクマネズミなどの外来種の駆除が計画されている[4][5]

地勢

  • 面積: 7.87 km2
    • 見返山(標高254 m)
    • 大丸山
    • 立神山
    • 尖山
    • 菅笠山
    • 北二子山
    • 丸山

脚注

出典

  1. ^ 加藤(2007)pp.101-103
  2. ^ 清水(1998)pp.142-144
  3. ^ 清水(1998)pp.142-145
  4. ^ 環境省林野庁文化庁東京都小笠原村 (2010年1月). “世界自然遺産推薦地小笠原諸島管理計画” (PDF). 2016年4月4日閲覧。
  5. ^ 関東地方環境事務所関東森林管理局、東京都、小笠原村 (2010年1月). “世界自然遺産推薦地小笠原諸島生態系保全アクションプラン” (PDF). 2016年4月4日閲覧。

参考文献

  • 清水善和『小笠原自然年代記』岩波書店〈自然史の窓 3〉、1998年12月7日。ISBN 978-4000066631 
  • 京都大学総合博物館編『日本の動物はいつどこから来たのか』(第3刷)岩波書店〈岩波科学ライブラリー 109〉、2005年8月。 ISBN 4-00-007449-0 
    • 加藤真「小笠原諸島の動物は生き残れるか」

関連項目



兄島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 09:19 UTC 版)

小笠原諸島の自然」の記事における「兄島」の解説

兄島は比較乾燥した環境を得ることが困難であったため、開墾進めることが困難であったことが幸いして、島の中央部中心に小笠原諸島独自の乾性低木林がよく残っている。構成する植生多く小笠原諸島固有種である乾性低木林には、現在兄島でのみ生息確認されているオガサワラハンミョウ、そして父島母島ではほぼ絶滅したとされる小笠原固有の陸産貝類であるエンザガイ属が生存しており、兄島の生態系重要性は高い。現在、兄島に生息する陸産貝類クマネズミによる食害受けて生息数減少しており、貴重な生態系保全することを目的としてクマネズミノネコ、そしてモクマオウなどの外来植物の駆除計画されている。

※この「兄島」の解説は、「小笠原諸島の自然」の解説の一部です。
「兄島」を含む「小笠原諸島の自然」の記事については、「小笠原諸島の自然」の概要を参照ください。

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