乾性低木林
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 09:19 UTC 版)
小笠原の自然環境の特徴の一つとして乾性低木林の存在が挙げられる。乾性低木林は冬も温暖な亜熱帯性気候であり、また梅雨が明けた後の夏季に乾燥した時期が続くという、現在の小笠原群島の気象環境の中で形成されていったと考えられる。 乾性低木林は樹高5-8メートル程度の、他の地域で見られる近縁種と比べて葉が厚いなど、乾燥に強い形態に進化した低木で構成された植生であり、地中海性気候の硬葉樹林との類似性が指摘されている。父島列島の父島、兄島に広く分布し、母島列島にも母島南部、妹島などにも存在している。乾生低木林ではかつて小笠原群島がもっと湿潤であった時代の遺存種であると考えられるムニンノボタン、ムニンツツジなどや、逆に乾燥化が進みつつある環境に適応したトベラ類など、貴重な固有植物を数多く見ることができる。乾性低木林が最もよく保存されている兄島では、他の島々では見ることができなくなった固有の陸産貝類が多く生存していることが確認されており、小笠原固有の貴重な自然環境として保護が進められている。 父島の乾性低木林で見られるムニンノボタンと、母島のハハジマノボタン、北硫黄島のイオウノボタン、南硫黄島のノボタンの比較などから、元来小笠原群島はもっと大きく標高も高い島であったものが、次第に島の面積が小さくなって標高も低くなり、島の気候が乾燥化する中で乾燥に耐えられる植物によって構成される乾生低木林が形成されていったとの仮説が立てられている。
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